エネルギーとか、粒子とか、泡とかだと感じられるような何かで出来ているようにしたかった」と振り返る。このイメージを実際にアニメーションで描くため、スタッフは試行錯誤を繰り返した。彼らは3か月超の時間を投じて、ヨロコビの輪郭の粒子の表現、光の粒が落ちるタイミング、彼女自身が発する青い光の加減を探っていった。「問題を解決したことで、素晴らしかったことは、他のキャラクターがどういう見た目になるべきかも考えられたことです。これは彼らの皮膚で、これが材料だ、ということがわかったんです」。
取材してわかったことは、ピクサーのメンバーはどの部門に所属していても、全員が観客に“ストーリー”を伝えることに注力している、ということだ。スクリーンでヨロコビが元気に駆け回っているその姿、表面の様子、動きは彼らが時間をかけて調べて、想像して、試しては失敗した末に出来上がったものだが、多くの観客はそんなことは意識せず、物語に夢中になっている。しかし、それこそがピクサーの全スタッフが時間と情熱をかけて目指す映画づくりだ。
『インサイド・ヘッド』
公開中
MoMAK Films 2024「逃走者たち―1980年アメリカ映画特集」京都国立近代美術館にて開催