「不可解なる」女性たちの関係をシリアスに描くKERAの新作
ふたりの女性に扮するのは、犬山イヌコと峯村リエ。「別に松永(玲子)や村岡(希美)でもできると思うんだけど、最初に浮かんだのはこのふたり。やっぱり劇団健康(ナイロン100℃の前身)時代から一緒っていうのが大きいのかな。このふたりのシーンを書くのが好きだし、凸凹なシルエットも面白いでしょ」。若手が加わりさらなる充実を見せるナイロン俳優陣に加え、ゲストの萩原聖人、山西惇らがふたりの人生に絡んでいく。
ところでKERAは長年、“女性を描くのが上手い作家”と言われてきた。自身も「男ふたりの物語を書くことには全く興味がなかった」とキッパリ。「女性のことはわからないから想像で書いてるだけ。
要は……不可解だってことなんですけどね。女性作家が書く女性ってどこか言い訳めいた感じがするでしょ?僕は『こう見えるよ』ってところから描いているから、その不可解さに説得力があるのかなとは思う」。そうしたKERA目線からすると、“女性の友情”も不可解なもの。「男に比べて女性は、環境などによってサバサバと生き方を変えていく印象がある。だから女性同士の友情ってピンと来ないんですよ。友情とはまた違う、もっと複雑でデリケートな関係を描ければ」。