本場ウィーンから日本版『エリザベート』に参戦。マテ・カマラス インタビュー
すでに彼は昨年『MITSUKO~愛は国境を越えて~』で日本語での舞台を経験しているものの、やはり言語の壁を超えるのは並大抵の努力ではできないだろう。だがこのインタビューに先立ち3月中旬、マテの歌稽古を取材した時、稽古初日にもかかわらず彼はすべての日本語の歌詞を頭に入れて臨んでいた。すごいですね、と言ったところ「日本に行く前に全部覚えたいと思っていました。稽古が始まったら他のことに時間を使わなくてはならないですから。外国人だから特別、というわけにはいかない」。さらりと答えたストイックな返事に、仕事に対する彼の責任感がにじみ出る。
ほかにも課題は多い。演出が各カンパニーに委ねられる『エリザベート』では、同じトート役とはいえ各国ごとに歌うナンバーも登場シーンも異なる。
「日本のトートが一番出番が長いんです」と苦労を語るが、「山は高ければ高いほど、登り切った時の喜びは大きいので」と意欲満々だ。「多分、僕の運命は『エリザベート』と結びついているんじゃないかな。トート役は僕にとって今までの中で一番大きな成功でしたし、オーストリアのミュージカル界で僕は旧共産圏からきて初めて成功した人間。だから日本でもやっていけるという自負はあります」