岡田達也と川原和久が語る、愛する者を守ろうとした男の物語とは
覚えることがたくさんあるしね」と横から言葉をかける川原。続けて「成井さんがあえて原作に忠実に舞台化したので、登場人物が発する言葉は小説のまま。役者には難しいリズムだけれど、それが原作ファンの方にも好評だった理由のひとつかもしれないですね」と初演を振り返った。
物語は、湯川も認める天才数学者でありながら、家庭の事情によって高校教師の道を選んだ石神(近江谷太朗)と、その想い人の靖子(西牟田恵)が起こした事件を軸に展開。石神が抱える闇に戸惑いながらも事件を解明しようとする湯川と、“湯川ファン”を自認して捜査の進捗を教えてしまう間宮とのやりとりは、劇中でもホッとするひとコマだ。
「川原さんは普通のセリフでも、ニヤッとするような色をつけて投げてくれるからうれしい」という岡田に、「緊張感のある舞台だから、箸休めになればいいと思って」と少々照れ気味の川原。一方、物語の根幹を成す石神の愛については、「冷静に考えたらいびつな愛のかたち。でも泣けてしまうのは何故なんだろうと思います」と川原が言えば、「本来なら肯定しづらい人間の汚い部分。
でもこんな風に読者や観客の心を動かしてしまうのがすごい」と岡田も口を揃える。