中村福助が“歌舞伎役者”の役で主演! 命を賭けた男の友情とは?
俳優として長年活躍している津川雅彦には、もうひとつの顔がある。マキノ雅彦の名前での映画監督、演出家としての顔だ。日本映画界の名匠・マキノ雅弘を叔父に持つ。そのマキノ雅弘が監督した『男の花道』が、中村福助、中村梅雀の共演で舞台になる。演出を引き受けたマキノ雅彦に話を訊いた。
『男の花道』チケット情報
「男の友情をこれだけ上手く描いた作品はないのではと思う」とマキノ雅彦は言う。『男の花道』は、歌舞伎役者と医師の友情と信義を描いた名作だ。女方として人気を集める歌右衛門は、江戸・中村座への出演を控えていたが、実は失明の危機にあった。
それを見抜いた医師・玄碩(げんせき)は難しい手術を成功させ、ふたりの間に深い友情が結ばれる。ところが玄碩に災難がふりかかり、その窮地を救うために歌右衛門は大切な中村座の舞台を抜け出すことを決断する。
「友情と何かを天秤にかける場合、“何か”が軽いと友情も軽くなってしまうでしょ、この話では役者生命を賭けるのだから、大変な重さです。今回、ひとつ掘り下げたいのは、歌右衛門が金をかき集めたり、苦労して苦労して、やっと中村座の出演を勝ちえたこと。その中村座にもう戻れないかもしれないのに、友を助ける。