音楽を禁じられた、音楽の天才の、数奇なる一生を描いた感動作
演劇集団キャラメルボックスの新作『無伴奏ソナタ』が、5月25日、東京グローブ座で開幕した。本作は、劇団初期の作品に取り組む「アーリータイムス」シリーズの1作目。1987年に発表された同劇団の舞台『北風のうしろの国』のもとにもなり、オースン・スコット・カードの同名SF小説が原作となっている。
演劇集団キャラメルボックス『無伴奏ソナタ』チケット情報
物語は、政府によりすべての人間の職業が幼少期に決まってしまう時代に生まれた、クリスチャン・ハロルドセンを軸に展開する。クリスチャンは2歳にして音楽の神童と認定され、“メイカー”として生きていくことに。両親からも引き離され、音楽に関するすべての情報が遮断された、森の中の一軒家で暮らすこととなったクリスチャン。そこで、ただひたすら大好きな音楽を作り、演奏をする日々を送っていた。そして30歳になったある日、運命を大きく変えるものが彼の手に渡ってしまう。
それは外界の男が持ち込んだ、バッハの『無伴奏ソナタ』が入ったレコーダーだった……。
原作はわずか30ページほどの短編というが、脚本・演出の成井豊(共同演出:有坂美紀)が舞台上に表現したのは、ある音楽の天才が辿った壮大な一生の物語だ。