だが、「きっと年寄りのはず」と勝手にイメージしているせいで、彼女は目の前に現れた若き青年ジャーヴィスが当の支援者だと気づかない。一方、ジルーシャへの気持ちが慈しみから愛情へと変化していながら、ジャーヴィスは自らの正体を明かせずにいる。
純粋であるがゆえに、遠回りしてしまう。そんな男女の心の機微を、“ふたり芝居のミュージカル”として描く趣向が新しい。ジャーヴィス役には、坂本とは初共演の井上芳雄が扮する。「ポスター撮影で初めてお会いしたんですけど、足が長いし、背が高くて、すごくかっこよかった。同い年で、“おじさん”呼ばわりするのが申し訳ないような。とても魅力的なジャーヴィスになると思います」と坂本。
楽曲については、「歌うのが楽しいナンバーばかり。ポップスやカントリーのテイストが入っていて、作品の世界観にぴったりです」と印象を語った。
「あらためて読み返してみると、こんなにもキュンとするラブストーリーだったのか、と気づかされました」との言葉に実感がこもる。原作小説は年代を問わずに親しまれているが、生身の男女が目の前で演じる舞台では、大人のためのラブ・ロマンスという側面がより際立つに違いない。