森山未來、現代の日本を写し取る新たなヘドウィグを熱演
主演・森山未來、演出・大根仁という組み合わせによる『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』が8月29日に東京・Shibuya O-EASTで開幕した。性転換手術の失敗で股間に「アングリーインチ(怒りの1インチ)」が残ってしまったロックシンガー、ヘドウィグ。愛と自由を求め続ける彼の半生を描いたこの物語は世界中で公演され、熱狂的なファンを持つ。今回はどんなヘドウィグが生み出されるのか、公演前から注目を集めていた。
会場に一歩足を踏み入れると、通常の舞台では考えられないスタンディングエリアが際立ち、まさに音楽のライブ開演前の雰囲気。舞台上にはバンドセットが組まれ、その後方には部分的に骨がむき出しになった大きな壁。そこに投影されるのは地震、津波、原発……そんな言葉が躍る新聞だ。ひときわ大きな音楽が鳴りだすと、ものものしい防毒マスクをつけたギタリストが登場し、ギターをかき鳴らす。
ドラム、ベースと次々にバンドメンバーが登場したところで、叫び声をあげながら客席から拡声器を持った小柄な人物がステージに登場した。マスクを外すと、イツァーク役の後藤まりこだ。
彼女に気をとられているとステージ上方からつぎはぎのマントを身にまとった森山が降りてきた。