堤真一と千葉哲也がふたり芝居に挑戦!“兄弟ゆえの深い愛憎劇”で火花を散らす
と笑う。
舞台は現代のアメリカ。黒人社会の底辺でもがく兄弟の物語だ。白塗りをし、暗殺されたリンカーン大統領を演じる遊園地のバイトで食い扶持を得る兄(千葉)。生活能力のない弟(堤)は、居候の兄に生活費をすべて払わせ平然としている。果たしてどちらがトップドッグ(勝者)で、どちらがアンダードッグ(敗者)になるのか。「互いに嘘をついているのか本音を言っているのかわからない」と堤が言うように、微妙なバランスで成り立つ兄弟の関係には徐々にほころびが生じていく。「たとえ兄弟でも相手の腹の中は読めないもの。
ふたりが何を隠し、どう嘘をついているのかがきちんと出せると面白いのでは」と千葉が語れば、堤は「どちらがトップでもアンダーでも、しょせん犬は犬。そんなちっぽけな世界でも比較対象がないと自分の位置が計れないところが、人間の哀しさだと思う」と、人間の本質に思いを馳せる。兄弟ゆえに愛憎はより深く、滑稽で切実なパワーゲームの行方は、最後の瞬間まで予断を許さない。演出の小川絵梨子とはふたりとも初の顔合わせ。「男の兄弟の話だから、女性の演出家に客観的に見てもらえるのは大きい。何より、小川さんが訳した上演台本が面白い!」