が、店の2階で商売をする売春婦・麻子(野口かおる)とすさまじいぶつかり合いを演じ、突如物語の中心ににじり寄ってくる展開には驚きを禁じ得ない。麻子の語る「相手のことを想像しなくてははじまらない。10年先が想像できたふたりが結婚し、死ぬまでが想像できたらそれは永遠」という言葉の意味はその後も重くのしかかってくる。ウエスタンショーに出ていたはずの甲冑姿の「武田くん」は実はその後のさらなる展開のキーパーソンとなり、彼もまた「想像しろ」と繰り返し訴えかけてくる。そして弟は兄に「想像を行動に移せ」とけしかける――。
福原が「この劇団では、『あの役者がよかったな』と思えるような作品をつくりたい」と語っていたとおり、終わってみれば個々の役者の力が光って見える公演だ。何も変わらない日常がそのまま続いていくように見えて、一人ひとりがそれぞれのキャラクターらしいやり方で、ほんの少しだけ前に進む。希望を見出す。
観客は後半、冗談のように立て続けに起こる驚きの展開を通して、ベッド&メイキングスの標榜するテーマ「サルでもわかる哲学」を身体に刻み込むことだろう。公演は11月18日(日)まで。チケット発売中。
取材・文/釣木文恵
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