吹越満が新演出で挑む世界的演出家ルパージュの美しきミステリー
と吹越。そうすることで「場面場面を切り取ってつなげてゆく展開が、他人の夢の中に入っていくような不思議な感覚」と太田が表現する台本へと変貌していったという。
吹越に加え、フランス人と日本人の血を引き独特の存在感を放つ太田、ダンサーとして国内外で高い評価を得る森山と、まさに“フィジカルシアター”(身体と言語が融合した作品)と呼ばれるルパージュ作品に相応しい3人。取材時、稽古はまだ前半戦だったが「ダンスでは時間や場所を飛び越えるのが当たり前。でもこの作品のように、現実的な役柄を演じる中で、自在に時空を行き来するというのは珍しいと感じます。だからどういうアプローチで作り上げようかと考えることが面白くて」と森山。吹越も「今は映画でいうと“撮影”の段階。僕の気持ちとしてはカメラをどんどん回して、役柄と素の両方でふたりを撮りまくっているところです」と、それぞれに創作の過程を楽しんでいる様子を明かした。
過去の殺人事件が次第に明らかになるストーリーについては、「三人芝居ならではの絶妙なバランスを意識したい」という森山の言葉にうなずきつつ、「意外とシンプルですよね」と言う太田。続けて、「でも合間に挟まれる身体的な表現によって“共感覚”(色彩が音として聞こえるなど、ある知覚が別の知覚でも感じられるという一部の人間に起こる現象)