市井の人々にまなざしを向けたふたりの写真家を紹介する『本橋成一とロベール・ドアノー 交差する物語』展が、6月16日(金)〜9月24日(日)、東京都写真美術館で開かれる。本橋成一は1940年東京生まれの写真家、映画監督。60年代から上野駅や築地魚河岸などに通いながら人々の営みを撮影。90年代にはチェルノブイリ原発事故の被災地を訪れ、そこに暮らし続ける人々と美しい風景を撮影した写真集とドキュメンタリー映画『ナージャの村』『アレクセイと泉』で、国内外で高い評価を受けている。一方、ロベール・ドアノーは1912年パリ生まれの写真家。自動車会社ルノー社のカメラマンなどを経て1939年からフリーで活動。以後、パリの街を歩き回り、庶民たちの日常を撮影した。そこには各界著名人のポートレートとも分け隔てない視線が感じられる。国際的な評価を受け、1994年82歳で没した。時代や地域の異なるふたりだが、炭鉱、サーカス、市場などのテーマで優れたルポルタージュを残しているところに共通点が見られる。また、本橋は幼少期に空襲に遭い、ドアノーは従軍するも結核で除隊し、以後レジスタンスに参加するなど、第二次世界大戦の混乱期を経験している。ふたりとも、そのような苦境の中でつつましくも懸命に生きる人々にたくましさや真の豊かさを見出し、失われゆく風景とともに写真に収めてきた。本橋は「写真や映像は、相手に対する想いとイマジネーションだ」と語り、ドアノーは「相手をこよなく愛してこそ、写真を撮ることが許されるのだ」という言葉を残している。これまで、このふたりの作家を並べて語ることはほとんどなかったのではないだろうか。しかし、世界各地で争いが絶えない現在、愛や優しさ、ユーモアを持って現実や社会と関わり続けてきたふたりの作品を通じて、人間にとって大切なこととは何か、改めて思い起こさせてくれるだろう。<開催情報>『本橋成一とロベール・ドアノー 交差する物語』会期:2023年6月16日(金)~9月24日(日)会場:東京都写真美術館2階展示室時間:10:00~18:00、木金は20:00まで(入館は閉館時間の30分前まで)休館日:月曜(祝日の場合は開館翌平日休)料金:一般800円、大学640円、高中・65歳以上400円公式サイト:
2023年06月14日ニューヨーク・メトロポリタン歌劇場(MET=メト)の世界最高峰の最新オペラ公演を大スクリーンで楽しむMETライブビューイングの過去の演目の中から、選りすぐりの名作を上映している「METライブビューイング プレミアム・コレクション」。4月9日(金)から上映される第3作は、ワーグナーの『ワルキューレ』だ。そしてこの上映を記念して、『ニーベルングの指輪』4部作の一挙上映が発表された(東劇のみ)。「シルク・ドゥ・ソレイユ」の演出などで知られるロベール・ルパージュの演出によるワーグナー空前の大作『ニーベルングの指環』4部作は、世界の存亡と救済を描いたストーリー。世界の在り方が変貌する「今」だからこそ観るべき作品に違いない。「メトロポリタン・オペラ史上最大の挑戦」と言われたルパージュ演出版の『ニーベルングの指環』は、METでの上演が見納めとなっていることから、この壮大な舞台が楽しめるのはMETライブビューイングのみ!このチャンスは見逃せない。指揮は、3月9日に77歳で他界したジェームズ・レヴァイン。40年以上に渡ってMETの音楽監督を務めてきた偉大なマエストロ渾身の指揮姿も要チェックだ。さらに、『ワルキューレ』の上映においては、「2010-11シーズン版」に加え、「2018-19シーズン版」も上映されることから、指揮者・キャストでの違いを楽しむこともできる。これぞまさにクラシックに親しむ醍醐味だ。●上映詳細: ●『ニーベルングの指環』4部作一挙上映【上映期間】4/23(金)~5/6(木)【上映劇場】東劇(東京/東銀座)【上映ラインナップ】序夜:『ラインの黄金』、第二夜:『ジークフリート』、第一夜:『ワルキューレ』(2011版) (2019版)、第三夜:『神々の黄昏』
2021年03月31日代表作《パリ市庁舎前のキス》で世界的に有名となった写真家ロベール・ドアノー。ありふれた日常から愛すべき瞬間を切り取ってきた彼は「イメージの釣り人」と呼ばれ、没後25年以上が経った今も人々を魅了し続けている。「写真家ドアノー/音楽/パリ」は、パリを舞台に多くの傑作を生み出したドアノーの作品の中でも、音楽シーンを題材に構成した初の試み。1930年代から’90年代にかけて撮影された、日本初公開作品を含む約200点の作品群はまさに必見だ。展覧会は、彼の孫で映画監督でもあるクレモンティーヌ・ドルディルの監修により、8章で展開される。第1章では“街角”がテーマに。ある時、下町のビストロや酒場でシャンソンを歌ったり演奏したりする流しの女性に出会い、すっかり魅了されたドアノー。数日間、店から店へと移動し、彼女に密着・撮影した。彼が生活の雑踏へ足を踏み入れたことで残された音楽家の写真からは、その楽しげな音色が聞こえてきそう。また、夜のパリ左岸でワルツを踊るカップルや、バレエ『カルメン』の衣装合わせの様子から窺えるのは、彼が音楽にまつわる様々な場所に足を運んでいたということ。そうして出会い、多大な影響を受けてきたアーティストたちの、素の魅力溢れるポートレートにも注目したい。海外旅行もままならない、そんな今だからこそ、ドアノーの写真を通してパリの街角へ旅に出かけてみるのはいかが。Who’s Robert Doisneau?ルノーのカメラマンを経てフリーに。1994年に亡くなるまで、ファッションはもちろん、若い世代のジャケット撮影なども積極的に手がけた。ロベール・ドアノー《パリ祭のラストワルツ》パリ 1949年7月14日 ゼラチン・シルバー・プリント ©Atelier Robert Doisneau/Contactロベール・ドアノー《流しのピエレット・ドリオン》パリ 1953年2月 ゼラチン・シルバー・プリント ©Atelier Robert Doisneau/Contactロベール・ドアノー《ロベール・ドアノーのセルフポートレート》ヴィルジュイフ 1949年 ゼラチン・シルバー・プリント ©Atelier Robert Doisneau/Contact「写真家ドアノー/音楽/パリ」Bunkamura ザ・ミュージアム東京都渋谷区道玄坂2-24-12月5日(金)~3月31日(水)10時~18時(金・土曜~21時予定、変更の場合あり。入館は閉館30分前まで)会期中無休一般1500円ほかTEL:050・5541・8600(ハローダイヤル)※『anan』2021年2月3日号より。(by anan編集部)
2021年02月02日巨匠ロベール・ブレッソン監督の映画『少女ムシェット』が、4Kリストア・デジタルリマスター版で復活。2020年10月30日(金)より新宿シネマカリテほか全国順次公開される。一人の少女の悲運な運命を描いた名作『少女ムシェット』は、一人の少女の悲運な運命をまざまざと描いた作品。厳格なフレーミング、俳優たちの演技を最小限に抑制することで、冷酷さを隠し持つ現実世界を表現した。中でも鮮烈な印象を残すラストシーンは、多くの観客や監督たちを魅了し、映画史に残る名場面として今もなお語り継がれている。絶望の淵にたちながらも反抗心を秘めた少女ムシェットは、この映画のために抜擢されたナディーヌ・ノルティエが演じている。ストーリー重病に苦しむ母と、酒に溺れ暴力を振るう父。自分が面倒を見るしかない赤ん坊を抱え、14歳のムシェットは、貧しい生活のなか、ひたすら孤独な日々を過ごしていた。家でも学校でも居場所のないムシェットは、森の中に逃げ込むが、突然の嵐で道に迷ってしまう。やがて森をうろつく密猟者のアルセーヌと遭遇したムシェットは、その夜、彼に強姦される。翌朝帰宅した少女は、母親の死去という悲劇に見舞われる。いつものように牛乳をもらいに出かけたムシェットは、ただ一人、村はずれの池に向かう…。ロベール・ブレッソン監督作『バルタザールどこへ行く』も同時公開なお公開同日より、ロベール・ブレッソンが遺した名作映画『バルタザールどこへ行く』も全国公開。4Kリストアのデジタルリマスター版で、スクリーンに蘇る。【詳細】『少女ムシェット』公開日:2020年10月30日(金)より新宿シネマカリテほか全国順次公開※一部の劇場を除き、上映は 4K リストア・デジタルリマスター版から変換された2K上映となる。監督:ロベール・ブレッソン脚本:ロベール・ブレッソン出演:ナディーヌ・ノルティエ、ジャン=クロード・ギルベール、マリー・カルディナル、ポール・エベール、ジャン・ヴィムネ、マリー・ジュジーニ原作:ジョルジュ・ベルナノス「新ムシェット物語」配給:コピアポア・フィルム+lesfugitives
2020年09月14日巨匠ロベール・ブレッソン監督の映画『バルタザールどこへ行く』が、4Kリストア・デジタルリマスター版で復活。2020年10月30日(金)より新宿シネマカリテほか全国順次公開される。映画史に残る最高傑作がスクリーンに復活1966年公開の『バルタザールどこへ行く』は、フランス映画界の巨匠ロベール・ブレッソン監督の代表作として映画史に輝く最高傑作だ。ロベール・ブレッソンが長年映画化を望んだ本作は、聖なるロバ“バルタザール”をめぐる現代の寓話。ドストエフスキーの長編小説「白痴」の挿話から着想し、一匹のロバ“バルタザール”と少女マリーの数奇な運命を繊細に描いている。純粋さから悪の道へと堕ちていく少女マリーを演じたのは、当時17歳のアンヌ・ヴィアゼムスキー。初の映画出演作となった本作を皮切りに、『中国女』など、ゴダール作品への出演を重ねていくこととなる。ストーリー小さな農村で、農園主のジャックと幼なじみのマリーは、生まれたばかりのロバに「バルタザール」と名づけ可愛がる。だが年月が経ち、「バルタザール」は別の飼い主のもとへ。やがて逃げ出した「バルタザール」は、美しく成長したマリーと再会し、まるで愛し合う恋人のように慰め合う。だが運命は、「バルタザール」にもマリーにもあまりにも過酷な試練を与えていく。マリーの両親は誇り高さゆえに没落し、マリーは不良少年ジェラールに拐かされ悪徳の道に落ちていく。「バルタザール」もまたマリーの元を引き離され、次々と人手に渡っていく…。ロベール・ブレッソン監督作『少女ムシェット』も同時公開なお、公開同日より、一人の少女の悲運な運命をまざまざと描いた映画『少女ムシェット』も全国公開。ロベール・ブレッソンが遺した名作が、4Kリストアのデジタルリマスター版でスクリーンに蘇る。【詳細】『バルタザールどこへ行く』公開日:2020年10月30日(金)より新宿シネマカリテほか全国順次公開※一部の劇場を除き、上映は 4K リストア・デジタルリマスター版から変換された2K上映となる。監督:ロベール・ブレッソン脚本:ロベール・ブレッソン出演:アンヌ・ヴィアゼムスキー、フランソワ・ラファルジュ、フィリップ・アスラン、ナタリー・ジョワイヨー、ヴァルター・グリーン、ジャン=クロード・ギルベール、ピエール・クロソフスキー、ロバのバルタザール配給:コピアポア・フィルム+lesfugitives
2020年09月14日20世紀を代表する写真家、ロベール・ドアノーの作品約75点を紹介する『何必館コレクションロベール・ドアノー展パリからのまなざし』が、2月1日よりスタート。3月15日(日)までそごう美術館にて開催されている。時代を超えて愛され続ける写真家、ロベール・ドアノー(1912〜1994)。パリの雑踏の中の恋人たちをとらえた《市役所前のキス》は、誰でも一度は目にしたことがあるはず。パリ郊外の町に生まれたドアノーは、石版画を学んだのち、18歳の頃より本格的に写真を開始。雑誌『ヴォーグ』や『ライフ』などの仕事を行う一方、パリの街をくまなく歩き回り、その日常をユーモアと愛情を持って写し出した。その卓越した観察眼により、パリとパリの人々の撮影に生涯を捧げたという。同展は、機械(カメラ)ではなく、あくまで人間を感じさせるドアノーの作品を「恋人」「街路」「子供達」「酒場」「芸術家」といった5つのセクションにわけ、オリジナルプリント約75点で展観するもの。会場では「アトリエ・ロベール・ドアノー」を訪ね、撮影した写真や娘たちへのインタビュー映像が紹介されるほか、毎土曜の午後3時からは、ドキュメンタリー映画『パリが愛した写真家 ロベール・ドアノー 永遠の3秒』の上映も行われる。ドアノーの世界を多角的に探る同展で、改めて彼の作品とパリの魅力を感じてみてはいかがだろうか。【開催情報】『何必館コレクションロベール・ドアノー展パリからのまなざし』 2月1日〜3月15日(日)そごう美術館にて開催【関連リンク】 そごう美術館()《パピヨンの子供》1945年何必館・京都現代美術館蔵《ピカソのパン》1952年何必館・京都現代美術館蔵
2020年02月02日「鼓童×ロベール・ルパージュ」製作記者発表会太鼓芸能集団・鼓童が パフォーマンスを行い、ロベール・ルパージュが演出を手掛けるNEW BEAT VISION PROJECT「鼓童×ロベール・ルパージュ<NOVA>」の世界初演・全国巡演が2020年5月にスタートする。その製作発表会見が行われた。【チケット情報はこちら】本プロジェクトは、1981年にベルリン芸術祭でデビューし50か国6500回以上の公演を行う太鼓芸能集団・鼓童と、シルク・ドゥ・ソレイユ「トーテム」などを手掛け“映像の魔術師”と呼ばれるロベール・ルパージュがコラボレーションし、日本文化と最先端ビジュアルテクノロジーが融合する、これまでにない“視聴体感芸術”を生み出すというもの。会見では、まず鼓童の母体である北前船の代表・青木孝夫が本作について「鼓童の音、映像、お客様の想像力、その三位一体でつくりあげる、今までに観たことのない、感じたことのないような視聴体感芸術をお届けできると確信しています」と挨拶。演出のロベール・ルパージュと、音楽を担当する住吉佑太(鼓童)によるクロストークでは、住吉が「本作に限らず、私たち鼓童が舞台で表現したいものは“人の本能に訴えかける何か”です。今回はそこにロベールさんによるテクノロジーを使った演出を掛け合わせ、作品をつくっています。そのふたつは真逆の存在のようですが、テクノロジーが入ることで逆に生身の人間が浮き彫りになっていく、より強くお客様に伝わっていくものを作りたいと思っています」、ロベールは「かねてから私は鼓童の作品づくりに感心していました。厳しさと規律の中に身を置きながら鍛錬されている。鼓童のステージは、音だけでなく動きや身体、そしてそこから発するエネルギーまでもが表現されています。今回は“音”と“イメージ”のインタラクティブな作品ですが、それだけでなく、その“動き”も取り入れています」と語った。その後、「音を見る(サイマティクス)」をテーマにしたライブパフォーマンスを初お披露目。住吉が「サイマティクスという事象をただ再現するのではなく、自然の中から生まれる音、文明の中から聞こえてくる音、自分たちの鼓動の音、魂の音、そういったものがすべて可視化できるかどうかが鍵になってくるのではないかと思っています」と語った通り、映像と音をただ掛け合わせるのとは違う、鼓童の太鼓、そしてその奥にある本質的な魅力が、テクノロジーによって可視化されるような、これまでにない表現が印象的。“音を見る”面白さを体験できるパフォーマンスとなっていた。鼓童×ロベール・ルパージュ<NOVA>は2020年5月23日(土)から31日(日)まで東京・東京建物 Brillia HALLにて上演。12月15日(日)の一般発売に先駆け、12月2日(月)11:00まで先行抽選申込受付中。取材・文・撮影:中川實穗
2019年11月14日シルク・ドゥ・ソレイユ日本公演最新作「シルク・ドゥ・ソレイユ ダイハツ トーテム 仙台公演」の開幕まで約1か月と迫る中、仙台公演PR大使のLiLiCo、古坂大魔王らがトーテムの魅力を語った。シルク・ドゥ・ソレイユ ダイハツ トーテム チケット情報まずは、公演紹介のVTRを見ながら3人が「カッコイイ!」「こんなこと、生まれ変わっても出来ない!」と、身を乗り出して演目のひとつひとつにコメントをした。オリジナリティーあふれる演目ばかりで「VTRを見ながら2時間は語れる!」とキャイ~ン・天野が言い出すと、堰を切ったようにLiLiCoも「イケメンが自分のところまで飛んでくる演目がお気に入り! あとプロジェクションマッピングが最初すごすぎて、理解できなかった!」と、興奮を隠せない様子だった。実際の自然の映像を撮影して作られたプロジェクションマッピングは、気づかないくらいさりげなく、しかし華やかに演出に使用されている。また、演出家が日本を訪れて花道をイメージして作られた可動式ステージなど、最新技術を駆使した、独創的かつ幻想的なステージにも注目だ。この「トーテム」という作品は、人の好奇心・欲望・情熱を追い求め、人類の誕生から現在、そして未来へと数億年の旅を続ける、“不可能を可能にする人類の進化”をテーマにした壮大な物語である。ラスベガスで大ヒット中の『KA』の演出家 ロベール・ルパージュが創り出す、幻想的でアートな世界観、最新技術で七変化するステージ。そのステージを、世界最高峰の人間の限界を超えた究極のアクロバットでシルク・ドゥ・ソレイユが表現、観客を魅了する。シルク・ドゥ・ソレイユのアーティストが披露した演目は「ローラー・スケート」。照明が変わり音楽が流れ、会場は一気に幻想的なステージに。結婚式を連想させるステージで、ローラー・スケートを履いた男女のアーティストが、直径1.8mの小さな台座の上を、思わず息を呑んでしまうほどのスピードで回転、旋回する。どんどんスピードアップ、レベルアップしていく演技を観てLiLiCoは「セクシーだけれど、所作の美しさに感激。ふたりの空気感、究極の信頼関係が象徴されている」と話した。古坂大魔王は「とんでもないことが現実に間近で起きる。大人はめっちゃ驚くし、こどもが観てもおもしろい! 音楽も全部ひっくるめて楽しんでほしい」と話し、LiLiCoも「息ができないほど世界観へのめりこまれる。観終わった後の会場の外がおかしいと感じるくらい惹きこまれた」、キャイ~ン・天野は「演目が次から次へと変わりいっさい飽きない。どれも世界チャンピオンレベルなので、想像をはるかに超えるものが目の前で起きることに気分が高まる。日本でトーテムが観られる最後のチャンスがこの仙台公演!」とアピールした。『シルク・ドゥ・ソレイユ ダイハツ トーテム 仙台公演』は4月6日(木)から5月21日(日)まで仙台ビッグトップ(あすと長町)にて。チケット発売中。
2017年02月20日20世紀を象徴するフランスの国民的写真家ロベール・ドアノーの人生と創作に迫る、初のドキュメンタリー映画『パリが愛した写真家 ロベール・ドアノー<永遠の3秒>』が、2017年4月22日(土)より東京都写真美術館ホールとユーロスペースにて公開。順次、全国でも上映される。ロベール・ドアノー、その名は知らなくとも「パリ市庁舎前のキス」という写真を目にしたことのある人は少なくないだろう。1950年にアメリカの雑誌「LIFE」の依頼で撮影され、1980年代にポスターとして発売されると世界中に広まった。この写真が撮られた当時のパリでは、恋人たちが街中でキスすることなど珍しい時代であったという。ドアノーの演出によって生まれたこの一枚は、誰もが憧れる恋人たちの都・パリのイメージを創り上げていった。生涯を通してドアノーは、“パリの日常”をとらえた数々の名作をのこしていくこととなる。街角に潜む“瞬間のドラマ”を職人技で釣り上げ、ときには演出によって“人生の真実”をより深く表現した。しかし、彼の独自の写真哲学による撮影現場はあまり知られてこなかった。本作は、撮影風景やインタビューなどの当時の貴重な資料映像や、親交のあった著名人による証言により、写真家ロベール・ドアノーのすべてに迫る、初のドキュメンタリー映画。今では世界でもっとも有名な写真のひとつとなった「パリ市庁舎前のキス」の知られざる撮影秘話も明かされる。さらに、ピカソ、フランソワーズ・サガン、ロマン・ポランスキー、サビーヌ・アゼマ、イザベル・ユペールなど、ドアノーが撮った同時代を代表する著名人のポートフォリオ作品も楽しめる。監督は、ドアノーの孫娘であるクレモンティーヌ・ドルディル。家族だからこその視点で、優しさにあふれた祖父、撮影にこだわりぬく写真家の両面を描き出し、愛とユーモアに溢れたドアノーの写真家人生を浮き彫りにする。【概要】映画『パリが愛した写真家 ロベール・ドアノー<永遠の3秒>』公開日:2017年4月22日(土)劇場:東京都写真美術館ホール、ユーロスペースほか全国順次公開監督:クレモンティーヌ・ドルディル出演:ロベール・ドアノー/ダニエル・ペナック/サビーヌ・アゼマ/ジャン・クロード・カリエール/堀江敏幸制作:2016 年/フランス/フランス語/アメリカンビスタ/80分原題:ROBERT DOISNEAU: THROUGH THE LENS字幕翻訳:星加久実/字幕監修:佐藤正子/配給:ブロードメディア・スタジオ©2016/Day For Productions/ARTE France/INA ©Atelier Robert Doisneau
2017年01月16日フランスのシューズメゾン、ロベール クレジュリー(Robert Clergerie)の期間限定ストアが伊勢丹新宿店にオープン。期間は2016年9月14日(水)から20日(火)まで。フランス国内で作られるロベール クレジュリーのシューズは、高品質な素材のみを使用。存在感あふれるデザインは、時代に左右されない美しさを放っている。またシューズひとつひとつには、女性の名前が付けられ、これまで数々の“ミューズ”が誕生してきた。今回の期間限定ストアでは、同ブランド創立35周年を記念して発表された「ロエル コレクション」が展開される。世界で一般初公開となる11足を販売。アバンギャルドなデザインや異素材ミックス、鮮やかなカラーパレットが魅力のコレクションとなっている。ほかにも店内では、2016年秋コレクションの新作シューズや特別なカプセルコレクションが登場。コレクションの予約者には、イニシャルを施す刻印サービスも提供される。【詳細】ロベール クレジュリー 期間限定ストア期間:2016年9月14日(水)〜20日(火)場所:伊勢丹新宿店本館 2階=婦人靴/プロモーション住所:東京都新宿区新宿3-14-1TEL:03-3352-1111
2016年09月09日フランスの国民的写真家・ロベール・ドアノーの写真展「ロベール・ドアノーと時代の肖像 -喜びは永遠に残る」が、9月15日から17年1月17日まで静岡県のベルナール・ビュフェ美術館にて開催される。ロベール・ドアノーは、日常の小さなドラマを絶妙に捉え、“イメージの釣り人”と評されるフランスの国民的写真家。パリの恋人たちや子どもたちの豊かな表情、ユーモアや風刺の効いた街頭の一場面など、人間に対する無限の愛情と好奇心に満ちた写真作品の数々を生み出している。また、ロベール・ドアノーを語る上で欠かせないのがポートレート。鋭い洞察力と観察眼に裏打ちされた芸術家のポートレート群は、ロベール・ドアノー自身の見る喜びを見事に体現した作品となっている。同展では、アルベルト・ジャコメッティ、ピカソといった画家や彫刻家をはじめ、イヴ・サン=ローランなどのデザイナーや作家、思想家、舞踊家、美術批評家など、あらゆる分野の“時代の肖像”約70点を展示。未公開作品を含むこれらのポートレートを通して、当時の文化的背景を探ると同時に、ロベール・ドアノーによる写真表現の真髄を紹介する。また、遺族が設立したアトリエ・ロベール・ドアノーで管理されている膨大な作品の中から精選した代表作30点も展示される他、ロベール・ドアノーの憧憬する小説家、ジャン・ジオノへのオマージュとも言える作品「ある羊飼いの物語」も登場する。【展覧会情報】「ロベール・ドアノーと時代の肖像 -喜びは永遠に残る」会場:ベルナール・ビュフェ美術館住所:静岡県長泉町東野クレマチスの丘515-57会期:9月15日~17年1月17日時間:10:00~17:00(11月~1月は16:30まで、入館は閉館の30分前まで)料金:一般1,000円、高大生500円、中学生以下無料休館日:水曜日(祝日の場合は翌日休)、12月26日~17年1月6日
2016年08月03日2010年に初演、世界中で400万人以上を動員するシルク・ドゥ・ソレイユ『ダイハツ トーテム』大阪公演が、中之島ビッグトップで開幕した。「ボナセーラ、大阪!」と語りかける陽気なキャラクター・バレンティーノに観客も拍手で応えるなど、街中に出現したテントの中は大空間を感じさせない一体感に包まれた。シルク・ドゥ・ソレイユ「ダイハツ トーテム」チケット情報“人類の進化”をテーマに魚や両性類、類人猿などが登場し、驚異のアクロバットを繰り広げる本作。映像の魔術師と称されるロベール・ルパージュの演出により、プロジェクションマッピングを使って海や湖、火山島などをリアルに表現。可動式ブリッジの変化も圧巻、“生命の起源”の象徴である亀の甲羅のセットほか、大掛かりな舞台装置が生み出す幻想的な世界観にまず心奪われる。さらにプリミティブな響きがどこか懐かしい生演奏や歌、750着もの独創的な衣装、それを着こなすパフォーマーの豊かな表情。カエルはペロペロと舌を出し、カップルはすごい技を見せながらも恍惚とした表情を浮かべる。どこをとっても目が離せないシルク・ドゥ・ソレイユ(以下、シルク)ならではの芸術的な世界が、演劇的にも緻密に進化していた。カエルたちが鉄棒から鉄棒へ宙を舞う「カラペース」から客席の目は釘付け。男女3人が愛の駆け引きを見せる「リングス・トリオ」。吊り輪を大きく揺らし、客席の頭上まで飛ぶパフォーマンスに歓声が。この女性といい美男美女揃いなのも観ていてワクワクする。携帯片手のビジネスマンは猿人たちに服をはぎとられ、肉体美を見せながら棒の上で驚異のバランス。猿人は彼を挑発、これは覇権をかけた戦いなのだ。高いブランコの上でカップルが淡い恋模様を演じる「フィックスト・トラピス・デュオ」は、空中バランスをする女性の頭を男性が腕一本で支えるといった難技を次々と披露。少女たちが高さ2mの一輪車に乗りながら、金属製カップを足で蹴って互いの頭上へと乗せてゆく「ユニサイクル・ウィズ・ボウル」も目を見張る。“人類の進化”は科学や文明にまで及び、サイエンティストが七色に光るボールでジャグリング。色彩的にも美しく子どもの脳裏に焼き付くはず。直径1.8mの台座の上で、男女が超高速回転&旋回を見せる「ローラー・スケート」は人間技とは思えない域。愛の無限さをこの力強い旋回で表現。ふたりの絆が表情からも伝わりウットリする。宇宙飛行士たちが幅たった11cmの長いバーからバーへと宙返りしながら跳び移る「ロシアン・バー」。究極の精神統一が必要な瞬間を観客は息をのんで見守り、成功すると拍手喝采! このライブ感は祝祭的なフィナーレで頂点を迎える。人類の起源から未来まで数億年を旅する、“愛”と“調和”に溢れたドラマティックなシルク。夢のような2時間だ。公演は、10月12日(水)まで中之島ビッグトップにて開催中。その後、11月10日(木)から2017年1月15日(日)まで名古屋ビッグトップ、2月より福岡ビッグトップ、4月より仙台ビッグトップにて開催予定。大阪、名古屋公演のチケットは発売中。取材・文:小野寺亜紀
2016年07月15日絵画やスクリーンの中の人が、目の前に飛び出してくる。漫画や映画ではよくある光景だけど、そんなことを舞台の上でやってのけてしまう人がいる。それがロベール・ルパージュという演出家。日本では、現在絶賛公演中のシルク・ドゥ・ソレイユの『トーテム』の演出を手がけた人、というとわかってもらえるかもしれない。ちなみに『トーテム』では、ステージの床に投影された池で泳いでいたカエルたちが岸にたどり着き、地上(舞台の上)に上がってくるという仕掛けがあった。ほかにも、昨年10月に来日上演された舞台『針とアヘン』では、箱型の小さな部屋が回転するたびに、投影される映像によって、ホテルの一室になったり野外になったり。しかも、ホテルでは実際のベッドが現れて俳優が横たわるし、壁に投影された窓が実際に開いて人が顔を出したりするものだから、さらに驚かされる。映像を駆使しながら、舞台の上でそんなマジックみたいなことを次々としてみせることから“映像の魔術師”なんて異名がついている。世界でも稀有な才能の持ち主ということで、『トーテム』以外にもシルク・ドゥ・ソレイユの依頼でラスベガスの常設ショー『KA(カー)』を演出したり、NYのメトロポリタン歌劇場の依頼でオペラの演出を何作も手がけていたり、世界各地で引っ張りだこ。当然、日本にもファンは多く、野田秀樹さんのほか、演出家で俳優の白井晃さん、狂言師の野村萬斎さん、宝塚の演出家の小池修一郎さんに俳優の吹越満さんなど錚々たる面々が。つまり日本のトップクリエイターたちが、こぞって彼の生み出す作品世界に注目しているということ。そんなルパージュの新作が待ってましたとばかりに日本に上陸を果たす。タイトルの『887』とは、カナダ・ケベック生まれのルパージュが、幼い頃に住んでいたアパートの番地だとか。そこから記憶を巡らせて、彼の幼少時代からここまでのさまざまな記憶の断片が舞台の上で展開されていくという自叙伝的作品。というわけで、この主人公は当然、ルパージュ自身。彼が来日し、自分で自分を演じるひとり舞台なのだ。興味が湧いたら、まずは何よりも公式HPの動画をチェック。数分で、そのすごさがわかるから!◇6月23日(木)~26日(日)池袋・東京芸術劇場 プレイハウス作・演出・美術・出演/ロベール・ルパージュ英語上演・日本語字幕付きS席6000円A席4000円(当日券は各500円増し、すべて税込み)東京芸術劇場ボックスオフィスTEL:0570・010・296www.geigeki.jp7月2日、3日に新潟公演あり。◇大層なキャッチフレーズと思うなかれ。彼の舞台を一度観れば、魔術なんて言葉じゃ足りないくらい驚かされること間違いなし。Photo:Jocelyn Michel/Consulat(leconsulat.ca)※『anan』2016年6月22日号より。インタビュー、文・望月リサ
2016年06月18日画家・ロベール・クートラス(Robert Coutelas)の画業を集成した2冊組の大型作品集『Robert Coutelas 1930-1985 ロベール・クートラス作品集 ある画家の仕事』の出版を記念した展示会「小部屋のクートラス」が、東京・恵比寿にあるナディッフ ギャラリー(NADiff Gallery)でスタートした。ロベール・クートラスは、1930年にパリに生まれ1985年に急逝したフランス人画家。厚めのボール紙にゼラチンで下地を作り、お尻を突き出した子供や炎の中の聖母子、ギロチン場で断罪される人、股間からのぞく顔など奇怪でユーモラスな図像を描いた、“カルト”とも呼ばれる小作品群「僕の夜 “Mes Nuits”」をはじめ、頭部や動物を象ったテラコッタの彫刻、グァッシュで描かれた多くの肖像画作品「僕のご先祖さま “Mes Ancetres”」などの作品を発表している。3月12日に発売された作品集『Robert Coutelas 1930-1985 ロベール・クートラス作品集 ある画家の仕事』では、カルト、グァッシュの他、ロベールが生前売ることも散逸させることも望まなかった油彩の“リザーブ”と呼ばれる作品群をすべて収録。膨大に残されたデッサンやドローイングなども網羅した他、1999年にジャンヌ・マトション財団に寄贈された作品など主要な作品がほぼ全て詰め込まれた。今回開催される展示会では、同作品集の紹介をするとともに、パリのヴォージラールの小部屋から生まれ出たカルト作品や、グァッシュ、テラコッタ作品の一部などを展示。また、ロベール・クートラスの作品を長きにわたり撮影してきた写真家の平地勲氏による写真も併せて展示される。期間は5月8日まで。【展覧会情報】ロベール・クートラス展「小部屋のクートラス」―『ロベール・クートラス作品集 ある画家の仕事』刊行記念展―会場:NADiff Gallery 住所:東京都渋谷区恵比寿1-18-4 NADiff A/P/A/R/T B1F会期:4月1日~5月8日時間:12:00~20:00休館日:月曜日(祝日の場合は翌火曜日)※5月2日は営業入場無料【書籍情報】『Robert Coutelas 1930-1985 ロベール・クートラス作品集 ある画家の仕事』寄稿:小川洋子発刊:ECRIT上製・函入・二冊組/600ページ/303×215mm発売日:2016年3月12日価格:3万円
2016年04月01日シルク・ドゥ・ソレイユの日本公演最新作『ダイハツ トーテム』が、2月3日、お台場ビッグトップにて開幕。オーストラリア、イギリス、アメリカなど、7か国33都市で400万人以上の観客を魅了した大ヒット作がついに日本に上陸した。本作は“人類の進化”がテーマ。地球上に生命が誕生する46億年前の世界から幕を開け、幻想的な世界が広がっていく。ミラーボールのように煌めくクリスタル・マンが地球に命を吹き込むと、カエルやサカナたちが鉄棒を使って勢いよく全身を躍らせる。次々に宙を舞うスピーディなパフォーマンスに瞬く間に引き込まれていく。天井から降りるリングを使い、観客の頭上にも迫る勢いで優美に飛び回る「リングス・トリオ」に目を奪われ、2メートルの高さがある一輪車で登場した5人の女性たちが金属製ボウルを次々と頭でキャッチする「ユニサイクル・ウィズ・ボウル」では、息の合ったパフォーマンスに拍手喝采。はるか頭上の空中ブランコで信頼を命綱に若い男女がしなやかに動き回る「フィックスト・トラピス・デュオ」は、愛を確かめ合うように体を絡まるスリリングな演技に会場は息を飲んだ。これまでのシルク・ドゥ・ソレイユと同様に独創的な衣装とメイクにも目を奪われるが、人類のはじまりとあって肌の露出が目立つ衣装も多く、鍛え上げられた肉体美とともにアクロバティックなパフォーマンスが堪能できるのも今作の楽しみのひとつ。また、ラテン系の目立ちたがり屋バレンティーノや道化師クラウン・フィッシャーマンなど、ユニークなキャラクターたちによるシュールなコントも忘れてはならない。時間旅行をするように度々登場し、『トーテム』の幻想的な世界を引き立てていた。今作はラスベガスで大ヒット中のシルク・ドゥ・ソレイユの常設公演『KA』の演出家、ロベール・ルパージュが演出。沼地、湖、火山島など地球上の美しい原風景をプロジェクションマッピングで創り出し、シルク・ドゥ・ソレイユの“進化”をも見せつける舞台となった。『ダイハツ トーテム』は6月26日(日)まで東京・お台場ビッグトップで上演。その後、7月14日(木)から大阪・中之島ビッグトップ(特設会場)、愛知・名古屋ビッグトップ、福岡・福岡ビッグトップ、宮城・仙台ビッグトップを巡演。東京・大阪公演のチケット発売中。撮影・取材・文:門 宏
2016年02月04日真島ヒロ氏が描く人気コミック『FAIRY TAIL』(講談社「週刊少年マガジン」連載)が舞台化され、2016年4月30日より池袋・サンシャイン劇場にて世界で初めて舞台化されることが決定した。本作は、アニメ化・ゲーム化・劇場作品化だけでなく、ジャパンエキスポアワード2009 少年漫画部門 最優秀少年漫画賞を受賞しており、名実ともに海外からも熱い視線を注がれている作品で、舞台化を熱望されてきたが、ついに満を持しての世界初演がはたされる。脚本・演出を務めるのは、宝塚歌劇団の脚本・演出としてデビューした児玉明子氏。児玉氏は、2009年より文化庁の新進芸術家海外研修制度にてカナダ・モントリオールへ演劇留学し、演出家ロベール・ルパージュ氏の下で研鑽を積み、帰国後は、『女海賊ビアンカ』(2013)、『La Vie -彼女が描く、絵の世界』(2014)の脚本・演出を手がけ、2015年のライブ・スペクタクル『NARUTO-ナルト-』では日本国内のみならず世界中を熱狂させた。そして主演は、先日、俳優集団D-BOYSに加入し、舞台Dステ17th『夕陽伝』での好演も記憶に新しい宮崎秋人。若手ながら確かな演技力と柔らかな存在感で、今もっとも注目を集める俳優の一人となっている。■脚本・演出:児玉明子氏のコメント世界に誇る原作漫画の、舞台化の脚本・演出を担当させて頂く事になり、その緊張感を感じつつ、信頼するスタッフやキャストに支えられながら、一歩ずつ舞台化へ向けて準備を進めている毎日です。この上なく舞台を愛する者の一人として、この作品を通じて演劇ファンの方々は勿論のこと、今まで劇場に馴染みのなかった方々や、国境を越え海外の「FAIRY TAIL」ファンの方々にも、作品の世界観を劇場で体感して頂き、そして演劇の素晴しさを少しでも味わって頂けたら、この仕事に生きる喜びをこの上なく感じ、心の底から嬉しく思います。そして一人でも多くの皆様に、劇場でお会い出来る事を望みつつ…。とにかく頑張ります!!!■主演:宮崎秋人氏のコメント世界的に大人気漫画作品「FAIRY TAIL」の舞台化、さらにその主演に抜擢していただき、とても驚いています。座長という大役は非常にプレッシャーを感じますが、それ以上に新たな挑戦が出来ることが何より嬉しいです! "再現"ではなく"舞台にする"ことを一番に考えてナツ・ドラグニルを演じたいです! 自分と、一緒に作り上げる仲間達にとっての代表作にしたいです。舞台『FAIRY TALE』は、2016年4月30日(土)~5月9日(月)の上演予定で、会場は池袋・サンシャイン劇場。そのほか詳細は公式サイトなどをチェックしてほしい。(C)真島ヒロ/講談社(C)「FAIRY TAIL」舞台製作委員会2016
2015年12月04日シルク・ドゥ・ソレイユといえば、これまで世界300都市以上を巡り、延べ1億5千万人超を動員しているサーカス・エンターテインメント。日本でも『ドラリオン』『コルテオ』『クーザ』『オーヴォ』など、来日公演はその都度大盛況になっている。その彼らの日本公演最新作『トーテム』が、来年2月に開幕する。そもそもシルク・ドゥ・ソレイユってどこがすごいの? 『トーテム』の見どころは? ……そんな素朴な疑問を、日本公演のゼネラルプロデューサー、吉田太郎氏にぶつけてみた。「僕とシルクのお付き合いは、『サルティンバンコ2000』(2000~2001年)から。日本公演全体のオペレーション・テクニカルと、統括的なことをやっている立場です。最初にシルク・ドゥ・ソレイユと出会った時は「とんでもないな」と思いました。単純に“凄い”ですよね。そしてその後、カナダの本社に行ってリハーサル風景を見たりする機会も増えていくのですが、さらにその凄さを感じました。制作側にしろ、アーティストひとりひとりのリハーサルにしろ、シルク以上のことをやっているところがあったら、見てみたい。よく、シルク・ドゥ・ソレイユを表現するのに“世界最高峰”と言われますが、あれは本当にそのとおりだと思います」と吉田さん。すべてに理由があり、ストーリー性があること。コンセプトを守っていくことの大切さ。どんなハプニングが起きてもそのコンセプトを守れるように、さまざまな想定に沿った対応が設定されているバックアップ体制。“世界最高峰”なのは、ソフト面においても、ハード面においてもだという。そんなプロフェッショナル集団が贈る、日本公演最新作『トーテム』の見どころは、ずばりどこなのだろう。「演出は、僕の大好きなラスベガスの人気ショー『KA』も手がける“映像の魔術師”ロベール・ルパージュです。プロジェクションマッピングによって、沼地がすーっと別の場面に切り替わる……といったようなことは、シルクのビッグトップ作品で初。ラスベガスへ行かないと観られないような規模のものが楽しめます。『トーテム』は人類の進化の物語。原始時代的なものから始まり、カエルたちが鉄棒をし……次のシーンではいきなり、黄色い海パンを穿いたイタリア人のおにいちゃんが出てきて、女性を取り合う。どんどんイメージも、音楽も雰囲気も変わっていくんですよ。“シルクのいいとこ取り”のように、あんな場面も、こんな場面も観られます。自由に観ていいんです。恩着せがましくない。それなのに、全部観終わって、テーマが“人類の進化”だと思って振り返ると、それが納得できる。良く出来ているんです」。『トーテム』東京公演は2月3日(水)から4月10日(日)までお台場ビッグトップで上演。また、4月19日(火)から5月22日(日)まで追加公演が決定。その後各地で上演される。東京追加公演は、11月21日(土) 10:00よりセブン-イレブン先着先行受付。吉田氏のロング・インタビューは、チケットぴあ特設サイトにて公開中。シルク・ドゥ・ソレイユの凄さの秘密を知りたい方は、ぜひご一読を。
2015年11月17日舞台の真ん中に設置された丸型のガラス窓が、ドラム式洗濯機の丸いガラスの扉や宇宙船のハッチになり、時計に変わる。そして、平面に映し出された映像の階段を、舞台上の俳優が上っていく。いまのCG技術ではどんな壮大な映像にも驚きはないけれど、これが実際に生の舞台の上で繰り広げられているとわかれば、そのすごさは伝わるだろうか。これはどちらも、カナダ人演出家、ロベール・ルパージュの舞台のワンシーン。このルパージュとは、同じケベックで生まれたシルク・ド・ソレイユや、ニューヨークのメトロポリタンオペラなども手掛ける人気演出家。“映像の魔術師”という異名があるとおり、その舞台は映像や照明などを駆使したもの。舞台に映像を使うのは珍しくないけれど、それが単なる風景ではなく、俳優の動きと連動して、不思議な世界を目の前で見せてくれるのだ。そのひとつひとつの場面は美しく、それだけでアートのよう。そんな映像のマジックに驚いているうちに、気づけばルパージュが広げた“想像力”という名前のファンタジックで自由な世界に放り込まれているのだ。そのルパージュの舞台が、4年ぶりに日本で上演される。今回来日する作品『Needles and Opium 針とアヘン~マイルス・デイヴィスとジャン・コクトーの幻影~』は、世界中から上演のオファーが引きも切らない彼の代表作のひとつ。なんと今回は、最新技術を用いた二人芝居として、ルパージュ自身が再構築した完全リニューアル版。このタイトルにある針とは、ヘロイン中毒で苦しんだジャズトランペッター、マイルス・デイヴィスを示唆したもの。そしてアヘンは、一時期アヘン中毒に陥ったことのある詩人で劇作家のジャン・コクトー。失意のどん底でパリを訪れた男が、マイルスの音楽とコクトーの言葉とが行き交う幻惑の世界に誘われていく物語だ。観客はただ、劇場で繰り広げられる世界に身を委ねていればいい。劇場の遥か向こうにあるファンタジーの世界へと自然と導かれていくはずだから。■『Needles and Opium 針とアヘン~マイルス・デイヴィスとジャン・コクトーの幻影~』10月9日(金)~12日(月)三軒茶屋・世田谷パブリックシアター作・演出/ロベール・ルパージュS席7500円SA席7000円SB席7000円A席5500円(すべて税込み)世田谷パブリックシアターチケットセンター TEL:03・5432・1515(10:00~19:00)※『anan』2015年10月7日号より。文・望月リサ
2015年10月05日シルク・ドゥ・ソレイユの日本公演最新作『ダイハツ トーテム』が2016年2月3日(水)東京公演を皮切りに開幕。東京公演のチケット先行が今週末8月29日(土)よりスタートする。【チケット情報はこちら】『トーテム』は2010年の初演以来、アメリカ、カナダ、イギリス、オランダ、オーストラリア、ニュージランドの6か国28都市で、300万人以上の観客を魅了してきたヒット作。人類の進化をテーマにした壮大な物語を、シルクならではのアクロバティックな演技で描く。見どころはシルク日本公演で初めて披露される演目を含めた、スピード感あふれるアクロバティックな演目の数々。幕開けを飾る、鉄棒とトランポリンを融合させた演目「カラペース」、2メートルの一輪車に乗った5人のアーティストによるジャグリング「ユニサイクル・アンド・ボウル」、ローラースケートを履いた男女が1.8メートルの円形プラットホームを高速旋回する「ローラー・スケート」などスゴ技が目白押しだ。さらに話題なのが、シルクの大ヒット作『KA』を手がけたロベール・ルパージュによる映像と演目を融合させた新演出。最新テクノロジーを駆使してシーンごとにまったく異なる世界観を表現する。『ダイハツ トーテム』は2016年2月3日(水)から4月10日(日)まで、東京・お台場ビッグトップで上演。その後、大阪、名古屋、福岡、仙台を周る。東京公演のチケット一般発売は9月26日(土)より。なお、先行受付は8月29日(土)午前10時から25日(金)午後11時59分まで実施。
2015年08月28日世界的エンターテインメント集団「シルク・ドゥ・ソレイユ」は、6月7日(日)の「ダイハツ オーヴォ」最終公演にて、2016年2月からの日本公演最新作「ダイハツ トーテム」の開催を発表した。2014年2月より巡演した「ダイハツ オーヴォ」日本公演は、5都市(東京・大阪・名古屋・福岡・仙台)で558公演、132万人の動員を記録。6月7日に仙台の最終公演にて大盛況のうち に閉幕した。そこで発表された来年2月からの最新作「トーテム」とは一体どんな作品なのだろうか。「トーテム」とは、数億年の物語と、無限の可能性をめぐるスペクタクル・ロマン。過去と未来で繰り広げられる、人類の進化をテーマに語られる壮大な物語。次々と繰り出される究極の感動と驚きの連続。感動のラスト、人類は飛びたいと言う欲求を叶えられるのか!?いまだかつてないミステリアスな作品に仕上がった「トーテム」。その見どころは、「シルク・ドゥ・ソレイユ」日本公演で初めて披露されるスピード感あふれるアクロバティックな演目がノンストップで展開されるところ。また、アーティストや技の美しさを一層ひきたてる、エレガントな衣装も要チェックだ。「トーテム」の幕開けを飾るのは、鉄棒とトランポリンの技を組み合わせた、スピーディでダイナミックな演目「バー(カラペース)」。そして、高さ 2メートルにもなる一輪車に乗る5名のアーティストが驚くばかりの機敏さとバランスで金属製のボウルをジャグリングする究極の足技を披露するのが、「ユニサイクル・アンド・ボウル」や、ローラースケートを履いた2名の男女が直径1.8mの円形のプラットホーム上で超高速回転&旋回する「ローラー・スケート」などなど、どれも拍手が鳴りやまないほどの感動と驚嘆の連続だ。今回の演出を手掛けたのは、ラスベガスで大人気の、「シルク・ドゥ・ソレイユ」の大ヒット作「KA」を手がけた演出家、ロベール・ルパージュ。映像と演目を融合させる最新テクノロジーを駆使した演出で、シーンごとにまったく異なる世界観を表現している。進化した「シルク・ドゥ・ソレイユ」を観るのがいまから楽しみだ。(text:Miwa Ogata)
2015年06月15日シルク・ドゥ・ソレイユの日本公演最新作『ダイハツ トーテム』の開催が決定。2016年2月、東京を皮切りに、大阪・名古屋・福岡・仙台の5大都市を巡演する。昨日の6月7日、仙台で大盛況のうちに閉幕した『ダイハツ オーヴォ』日本公演は5都市で558公演、132万人の動員を記録。この『オーヴォ』最終公演で『トーテム』の開催が発表された。『トーテム』は2010年初演。以来、アメリカ、カナダ、イギリス、オランダ、オーストラリア、ニュージランドの6か国28都市で、300万人以上の観客を魅了してきたヒット作。人類の進化をテーマにした壮大な物語を、シルクならではのアクロバティック演技で描くスペクタクル・ロマンだ。見どころはシルク日本公演史上初お披露目となる演目の数々。幕開けを飾る、鉄棒とトランポリンを融合させた演目「バー(カラペース)」、2メートルの一輪車に乗った5人のアーティストによるジャグリング「ユニサイクル・ボウル」、ローラースケートを履いた男女が1.8メートルの円形プラットホームを高速旋回する「ローラー・スケート」など新演目が目白押しだ。さらに話題なのが、シルクの大ヒット作『KA』を手がけたロベール・ルパージュによる映像と演目を融合させた新演出。最新テクノロジーを駆使してシーンごとにまったく異なる世界観を表現する。日本公演詳細については近日発表予定。
2015年06月08日世界的演出家兼パフォーマーであるロベール・ルパージュの戯曲を吹越満が独自の視点で演出、2012年の初演時に高い評価を得た『ポリグラフ』。その再演が10月19日、東京で幕を開けた。キャストは吹越と、映像に舞台にと幅広く活動を続ける太田緑ロランス、そしてダンサーであり俳優としても活躍中の森山開次という、初演と同じ3人。前回の稽古時には「映像を編集するように場面ごとを作り、それを構築していった」と吹越が語る本作が、今回はどんな表情を見せるのか。残暑が残る先月、稽古場の3人を訪ねた。舞台『ポリグラフ-嘘発見器-』チケット情報物語はカナダの都市ケベックを舞台に、駆け出しの女優ルーシー(太田)と犯罪学者デイヴィッド(吹越)が地下鉄の飛び込み事件をきっかけに親しくなるところから始まる。ルーシーの友人でウェイターのフランソワ(森山)の店に出かけたふたりだが、デイヴィッドは以前関わったポリグラフ(嘘発見器)のことが、ふいに頭をよぎる。3人の関係が奇妙にねじれてゆくにつれ、かつて起きた凄惨な殺人事件が浮かび上がる。点と点が線になってつながったとき、そこに現れたものとは…。初演の舞台では〈ソロアクトシリーズ〉で身体表現を探求してきた吹越らしく、3人の身体能力を最大限に生かすような動きと計算され尽くした映像や照明とが共鳴し、スリリングな舞台を作りだしていた。だが再演に際しては、「ただ初演をなぞるのではなく、初演の続きをやらせてもらう気持ち」と吹越は話す。太田も「初演は本番中から千秋楽の打ち上げまで、3人で毎日“ここはこうしたらいいのでは”と意見を言い合っていました。だからそこで気になっていたことを、こうして再演でやれるのが幸せですね」と語る。森山もうなずきながら、「初演の時はフランソワが素の自分に入り込んできて、稽古帰りの電車のホームでは劇中と同じ感覚になることがよくありました」と、本作が特別な存在になっていることを明かす。再演の稽古場でも3人の“生みの苦しみ”は続いている様子だったが、吹越は今回、パリの日本文化会館で初日を迎えることをあえて選んだという(パリ公演は10月上旬に好評を得て終了)。「ただ、パリ公演を終えたら、今度は東京公演のためにまた作り直すつもり。さすがに一からではないけどね」と笑う吹越を見て、「なんてストイックな人だろうと感動します(笑)」と言いつつ、揺るぎない信頼を寄せている表情の太田。森山が「フランソワはゲイですけど、意外とフツーなんですよ。おかしいのは(吹越演じる)デイヴィッドのほうかも」と現実と登場人物を混ぜて話すと、ふたりが笑いだすひと幕も。抜群のチームワークで見せる、繊細で美しい、練り上げられた舞台に期待。公演は10月19日(日)から11月2日(日)まで東京芸術劇場 シアターイーストにて。取材・文佐藤さくら
2014年10月20日演劇で人間関係を表すのに最も小さい単位“三人芝居”をテーマに、東京芸術劇場が企画した<3×3(さんかけるさん)>シリーズ。その第1弾である『ポリグラフ 嘘発見器』は、世界的な演出家でパフォーマーでもあるロベール・ルパージュの作品を、吹越満が実際の稽古を通して練り直し、新たな演出でおくる舞台だ。キャストは吹越のほかに、フランス人と日本人の血を引く美貌が印象的な太田緑ロランス、俳優活動だけでなくダンサーとしても国内外の舞台に立つ森山開次の3人。初日が開いたばかりのその舞台を、東京芸術劇場・シアターイーストで観た。『ポリグラフ~嘘発見器~』チケット情報カナダの都市ケベック。駆け出しの女優ルーシー(太田)は、地下鉄の飛び込み事件を目撃したのをきっかけに、犯罪学者デイヴィッド(吹越)と親しくなる。2人はルーシーの友人フランソワ(森山)の働くレストランで食事をするが、デイヴィッドはフランソワが以前担当したポリグラフの被験者であることに気づく。数年前に起きた凄惨な殺人事件にフランソワが関わっており、さらに新作映画で演じる役がその事件で殺された女性ということを知るルーシー。3人の関係は、次第に奇妙な様相を見せ始め…。ルパージュの舞台は“フィジカルシアター”(身体と言語が融合した作品)と呼ばれ、芝居と強い身体的表現、さらに映像での効果を取り入れたアーティスティックな構成が特徴。美学に貫かれた世界観を構築するため、キャストは高い身体能力と共に、全編にわたって常とは異なる緊張感を強いられる。自らが演出と主演を兼ねる<ソロアクト>シリーズで同じく身体表現を追求してきた吹越だが、今回はルパージュという他者の演出作法をベースに、オリジナルの文脈で咀嚼した吹越版『ポリグラフ』を展開してみせる。本作は吹越いわく「我々3人の“ポリグラフズ”というユニットが演じている」体裁をとっているとか。キャストはしばしば舞台端のパーテーションの影にたたずむところを客席から目撃され、過去の殺人事件が明らかになってゆくステージ中央では、ルーシーとフランソワ、デイヴィッドの記憶がフラッシュバックのように挿入される。スローモションさながらにゆっくりと倒れ込むルーシー、クラブで激しくトリップするフランソワ、過去のとある記憶に何度も戻ってゆくデイヴィド。観る者は3人の現在と過去、そして“ポリグラフズ”が演じる今を行き来しながら、次第に誰かの夢に入り込んでゆくような心地よさに襲われる。危険と知りながら、美しい誘惑者たちに身を委ねたくなるような。そんなスリリングな魅力にあふれた1本である。公演は12月28日(金)まで東京芸術劇場 シアターイーストにて。その後、2013年1月13日(日)から14日(月・祝)までまつもと市民芸術館(長野)、1月20日(日)えずこホール(宮城)、1月26日(土)から27日(日)までシアター・ドラマシティ(大阪)にて上演。取材・文佐藤さくら
2012年12月17日演劇で人間関係を表すのに最も小さい単位である“三人芝居”。これまで多くの劇作家が手掛けてきたそれを連続して3本上演するのが、東京芸術劇場の<3×3(さんかけるさん)>シリーズだ。その第1弾として、世界的演出家でパフォーマーのロベール・ルパージュ作『ポリグラフ 嘘発見器』を、吹越満が新演出で舞台化する。カナダ・ケベックを舞台に若手女優ルーシーと政治学の学生フランソワ、そして犯罪学者デイヴィッドの奇妙な三角関係が、スタイリッシュかつミステリアスに描かれる。演出と共にデイヴィッド役で出演する吹越、また本作にキャスティングされた森山開次(フランソワ役)、太田緑ロランス(ルーシー役)の3人に話を聞いた。「ポリグラフ~嘘発見器~」公演情報同じく演出と出演を兼ねる<ソロアクト>シリーズで、その身体表現が注目を浴びてきた吹越。本作では初めて他者の戯曲を演出することになる。「ルパージュの作品は台本を書いてからキャストに演じてもらうのではなく、先に舞台が出来上がって、それを記録したものを台本と呼ぶらしいんです。オリジナル公演の台本はト書きが具体的すぎるので、それを取っ払うところから始めました」と吹越。そうすることで「場面場面を切り取ってつなげてゆく展開が、他人の夢の中に入っていくような不思議な感覚」と太田が表現する台本へと変貌していったという。吹越に加え、フランス人と日本人の血を引き独特の存在感を放つ太田、ダンサーとして国内外で高い評価を得る森山と、まさに“フィジカルシアター”(身体と言語が融合した作品)と呼ばれるルパージュ作品に相応しい3人。取材時、稽古はまだ前半戦だったが「ダンスでは時間や場所を飛び越えるのが当たり前。でもこの作品のように、現実的な役柄を演じる中で、自在に時空を行き来するというのは珍しいと感じます。だからどういうアプローチで作り上げようかと考えることが面白くて」と森山。吹越も「今は映画でいうと“撮影”の段階。僕の気持ちとしてはカメラをどんどん回して、役柄と素の両方でふたりを撮りまくっているところです」と、それぞれに創作の過程を楽しんでいる様子を明かした。過去の殺人事件が次第に明らかになるストーリーについては、「三人芝居ならではの絶妙なバランスを意識したい」という森山の言葉にうなずきつつ、「意外とシンプルですよね」と言う太田。続けて、「でも合間に挟まれる身体的な表現によって“共感覚”(色彩が音として聞こえるなど、ある知覚が別の知覚でも感じられるという一部の人間に起こる現象)をお客さんに体感してもらえる舞台になる気がします」と話した。その横で「稽古場で“撮影”した素材が“編集”の段階でどうなるのかは…まだ未知数だけどね」と笑う吹越。抜群のチームワークで見せるその本番を、今から楽しみに待ちたい。公演は12月12日(水)から12月28日(金)まで東京芸術劇場 シアターイースト、2013年1月13日(日)から14日(月・祝)までまつもと市民芸術館(長野)、1月20日(日)えずこホール(宮城)、1月26日(土)から27日(日)までシアター・ドラマシティ(大阪)にて上演される。
2012年11月22日世界的に有名なバレリーナのシルヴィ・ギエムが10月20日に会見を開き、『HOPEJAPANTOUR』に込めた思いを語った。シルヴィ・ギエムのチケット情報会見でギエムは「3月11日、私はロンドンでリハーサル中に東日本大震災のニュースを聞きました。日本にはたくさんの友人達がいますが、何もできない自分への葛藤から、日本への支援へと動き出しました」と今回の来日意図を説明。また、日本では封印した、ギエムの代名詞とも言える『ボレロ』をガラ公演と岩手・福島公演に選んだ理由についても触れ、「私にとって特別な日本ツアーになります。大好きな作品だし、精神的にもポジティブで、パワーを与えられる作品だからこそ選びました。今までは肉体的な『ボレロ』でしたが、今回は感情的な『ボレロ』になったかもしれない」と話した。また、同じく日本を愛した振付家の故モーリス・ベジャールについても「彼が生きていたら、来日して同じこと考えていただろう」と述べ、「ひとりの人間として、今後も(日本に対し)深い支援をしていきたいと思っています。これからも関係者と手を携えて、被災者への精神的な支えになりたい」とコメントした。ギエムの日本に対する熱く希望に満ちた『HOPEJAPANTOURシルヴィ・ギエム・オン・ステージ2011』は、10月22日(土)より東京文化会館大ホールにて開幕。その後、被災地の岩手、福島で特別プログラムを上演し、愛知、兵庫、広島、福岡と全国を回る。なお、11月17日(木)から20日(日)まで、18世紀、ルイ15世統治下で軍人、外交官、スパイとして活躍し、人生の前半を男性、後半を女性として生きたと言われる「エオンの騎士」を題材にした新作『シルヴィ・ギエム&ロベール・ルパージュ&ラッセル・マリファント「エオンナガタ」』も東京・ゆうぽうとホールにて上演。ギエム、ルパージュ、マリファントの天才3人が火花を散らし、数奇な運命を表現する舞台。チケットは両公演とも発売中。
2011年10月21日