くらし情報『人生を賭けたふたりの愛の運命は… 実力派・保坂知寿と人気急上昇中の中河内雅貴が舞台で共演』

人生を賭けたふたりの愛の運命は… 実力派・保坂知寿と人気急上昇中の中河内雅貴が舞台で共演

ピストルを振り回したりする、感情の起伏が激しい女性だが、運命に負けまいとする人間の凛とした気品がある。「マンマ・ミーア!」のドナ、あの女性の強さとタフさを思い出す。ヴァルの中河内雅貴は、自分を持て余す青年の未熟さが魅力。30才という設定は中河内の実年齢より上だが、ナイーヴな役は彼の持ち味にぴったり。ぶっきらぼうで抑えたセリフのトーンが、保坂知寿の歌うようなセリフとコントラストを描き出す。舞台上にある椅子やテーブルを動かしながら、岡本健一が、そのまま演技を続行させて、セリフだけを注意深く聞いている。ときおり演技を止めて、友だちのように感想を伝える。スキンシップの多い演出家だ。
何かを語りかけるとき、演出家の手は必ず、役者の肩の上にある。

ふたりの気持ちがひとつに結びつく、この戯曲の有名な「鳥のセリフ」。それが、シーンのラストだった。脚がなくて、一生羽ばたくしかない鳥。眠るときは、風に乗って眠る。地上に降りてくるのはたった一度、死ぬときだけ。
「--あたしもそんな鳥になりたい」
「俺だってそんな鳥になりたい--おおぜいいるよ、自分もそんな小鳥になりたい--腐るのはごめんだってやつは!」

中河内が、翼を広げた鳥のように、両手を顔の前に広げる。

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