新国立劇場が贈るバレエ『シンデレラ』で過ごす、夢のクリスマス!
舞踏会は八幡顕光が冒頭から瞬発力の高い道化で登場。相変わらずの高い跳躍とピルエットで舞台を盛り上げていた。福岡雄大は絵の中から抜け出してきたような理想の王子様で、着飾って登場した美しいシンデレラに惹かれ、一瞬のうちにふたりの恋が始まるのも無理はないだろう。義理の姉たちがオレンジを持って、元気に踊るバリエーションは圧巻で、舞踏会のハイライトのひとつとなっている。
アシュトン版は最終幕で、シンデレラと家族に絆を与え、王子と幸せなエンディングを迎えるラストシーンで幕を閉じるが、どこか憎めない姉たちが改心し、シンデレラの幸せを受け入れる温かさは、アシュトンならではの演出だろう。また、特筆すべきは新国立劇場のダンサーたちが持つクォリティの高さで、繊細で美麗な衣装に身を包み、真摯な情熱を持って舞台を創りあげていた。
休憩時間もロビーでは夢の続きのように、サンタに扮したダンサーたちが、ガラスの靴を持って観客に声を掛けて廻り、ネイルやメイクの無料サービスで少女たちがお姫様の気分を味わえるような演出が行われていた。劇場が一体となって観客へ贈ったクリスマスの贈り物。
それほど愛が溢れた舞台であった。公演は12月24日(月・祝)まで。チケット発売中。
取材・文:高橋恭子(舞踊ジャーナリスト)
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