人気アニメ『一週間フレンズ。』の世界観をそのまま舞台に
と祐樹に告げて…。
今作では原作の前半から印象的なシーンを抜き出して構成。香織が特殊な記憶障害になってしまった理由までは語られないだけに、リアルな高校生の日常とファンタジックな設定との擦り合わせが必要となる。脚本と演出を担当した堀江慶は演出をシンプルに、その代わりBGMや照明などで原作に流れる空気感を再現。あとは俳優の力量が舞台の行方を握ることになるのだが、役とおなじ17歳でこれが初主演となる岡山の、飛びぬけてまっすぐな眼差しと愛嬌のあるたたずまいが、リアルとファンタジーの共存を可能にした。一方、ヒロインを演じる岡野は序盤の冷たい表情から、祐樹に心を許し始めたはにかむような笑顔までを大きい振り幅で表現。ちょっとした仕草や声のトーンで心情を細やかに演じ分け、物語の展開につれてその変化もはっきりと伝わってきた。
祐樹の親友でクールな桐生将吾役の戸谷公人や、かなり忘れっぽい性格で香織と友達になる山岸沙希役の川上ジュリアは、岡山と岡野をしっかりと脇から支えている。
特にローテンションながら思ったことをズバズバ言うイケメンの桐生を独特のテンポで演じた戸谷は、後半、少しの表情の変化で桐生の内面をきちんと見せた。