10年以上にわたり夫婦役を務める陣内と室井の息はぴったり。子どもたちと祖母(音無美紀子)をも巻き込んだ歯に衣着せぬユーモアたっぷりの小気味良いやりとりが、会場を笑いの渦に。そんなドタバタ劇から一変、普段口には出さないが家族への愛情と絆が見える菊次郎とさきの情に満ちたシーンが、観る者をホロリとさせる。
また、全キャストによる歌やダンスも物語の中に散りばめられ、ミュージカルのような賑やかな演出も。さらに、ツービートの漫才さながらの客いじりや、世間を騒がせている時事ネタも盛り込んで、どこまでが台本なのかわからないようなやりとりも満載。陣内は、ここが見せ場とばかりモノマネメドレーも披露し、会場を沸かせた。
貧乏ながらも元気いっぱいにたくましく生きていた当時の日本の姿がここにある。2020年の東京オリンピック開催まで5年という同じ状況の中で、日本がなくしてしまった大切なものを北野一家が気づかせてくれる。
東京・EX THEATER ROPPONGは1月18日(日)まで。その後、兵庫、名古屋、福岡、岩手など、全国15都市で開催。チケット発売中。
取材・文:門 宏
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