ネルケプランニングが企画する「昭和文学演劇集」の第4弾として、江戸川乱歩の長編小説『孤島の鬼』が舞台化される。乱歩の最高傑作とも言われる作品にいかに挑戦していくのか。若手俳優たちが集う熱のこもった稽古場で、藤森陽太、鯨井康介、崎山つばさの3人のメインキャストに、意気込みを聞いた。
舞台『孤島の島』チケット情報
この日の稽古は、冒頭のシーンから始まった。木遣り歌が流れるなか、全員がスローモーションで歩き、崎山がモノローグを語り始める。30歳にも満たない「私」こと「蓑浦」が一夜にして白髪になってしまった恐怖体験を、これから話すというのだ。そして現れるのは、回想場面の蓑浦を演じる藤森。ふたりでひとりを表現するという演劇ならではの試みである。
「今の蓑浦と過去の蓑浦が、一緒に過去を体験していくんです。ふたりが会話をすることもあるので、ふたりの関係をどう見せていくかが、面白くもあり難しくもある」というのは藤森。今の蓑浦を演じる崎山も、「役者の力が問われる脚本。自分を騙すみたいに、自分をこの物語の世界の人間にしていかないと」と、その責任の大きさを感じている。
一方、蓑浦を愛する同性愛者の「諸戸」を演じる鯨井。