市村正親、平田満、益岡徹の初顔合わせで大評判をとった舞台『ART』が、今月末、東京・サンシャイン劇場で16年ぶりに初演と同じキャストで上演される。鋭い筆致で人間の本性をあぶり出すヤスミナ・レザが執筆した本作は1994年にパリで初演、その後35か国で翻訳上演され、世界の名だたる賞を獲得した傑作コメディ。音響効果を一切使わない90分ノンストップの会話劇だけに、俳優同士息のあった芝居がみどころとなりそうだ。4月某日、稽古場を訪ね、あらためて本作に向き合う3人と演出のパトリス・ケルブラに話を訊いた。
舞台『ART』チケット情報
市村は開口一番、「初演のあと、何年かしてからまたこのメンバーでやりたいと密かに思ってたんです」と話す。そんな市村の思いを聞いたパトリスは、初演でも演出を務めた経験からこう語る。「前回の時よりも3人が役者として円熟しましたね。今のほうが登場人物の年齢により近づいていると思いますし、以前にも増して役者が役そのものになっている気がします」。
マーク、セルジュ、イワンの3人は15年来の親友だが、セルジュが買った一枚の高価な現代絵画の価値を巡って大げんかがはじまる。マークにとっては価値のない絵に“友達”のセルジュが大金をはたいた。