というのは加藤だ。安倍も「初めての朗読劇出演がこの作品ですし、色んな意味ですごく思い出深い作品なので嬉しいです」と興奮気味。というのも、前回の出演時には「自分で想像した以上に感情を抑えられず泣いてしまって。あれは自分でもびっくりしました」(加藤)、「実は本番をよく覚えてないんです。とにかく終演後は毎回フラフラになって…。役の余韻がしばらく残ったほど」(安倍)と、“朗読劇”の枠を越えた体験をしたようなのだ。そのことを安倍は、「役の感情が自分の中にグッと入ってきて…薫なんだけど、でも自分でもあるような、不思議な気持ちになることがたくさんありました」と語った。
病気である自分が受け入れられずパニックになる薫、そんな薫に激しく動揺する浩介。
ふたりがどこにでもいる普通の人間だからこそ、その様子は見る者の胸を打つ。さらに演者や組み合わせが替われば、浩介と薫の人物像も変わってくるのが日替わり公演の醍醐味だ。
浩介を「不器用だけど男気のある男性」(加藤)、薫を「強くて弱くて真っ直ぐで…愛に生きた人」(安倍)と表現するふたりだが、再演に向けては、揃って「特に考えてないんですよ。舞台に立った時の感情がどうなるかが大事だと思うので」