決して派手ではない落ち着いた舞台。だからこそ、しっかりとそれぞれの“心”を捉えた演出、そして、早霧、咲妃、望海らスターたちの演技で魅せる。早霧は、前作の『ルパン三世』で演じた弾けたキャラクターとは正反対の抑えた演技で、感情を隠しながらも、晴興の孤独や哀しみを表情や佇まいで表現する。また、晴興を想い続けながらも、源太と生きていくことを選ぶ泉の複雑な感情を、咲妃が情感豊かに表現して涙を誘う。さらに、望海演じる源太の優しさも、観客の心を揺さぶる。3人が心を苦しめながら選ぶ道に、客席からはすすり泣きの声。日本人の美しい心を繊細に表現できる面々がそろう、今の雪組だからこそ見せられる作品だろう。晴興と泉はその後どんな人生を送ったのか、観劇後にも余韻を残す物語となっている。
第二幕のショーは、“エメラルド”をイメージしたラテン・ショーで、一幕とは一転して、夏らしい、とびきり熱いステージを展開。エメラルドグリーンの煌びやかなステージで、プロローグからアップテンポでスターたちが歌い継いでいく。他にも、ナイトクラブをイメージしたシーンや火祭りをモチーフにしたシーンなどが、ノンストップで繰り広げられる。