疾走感あふれるダンスで島のひと夏を描く「梅棒」新作
ある日、都会からひとりの女性・曽野田ゆうき(野田裕貴)がやってきたことで、島の日常に変化が起きる。
白いレースの服に白い帽子やパラソルといったいでたちで、絵に描いたようなマドンナぶりを発揮する曽野田は、島の男たちを次々とノックアウト。筧との間に恋が芽生えそうな雰囲気も。毎夏恒例の夏祭りに島民たちが沸き立つ中、砦は筧を陥れ、曽野田をさらおうとするが――。織田信長の家臣だった梅沢荘六の霊(梅澤裕介)や、イソップ寓話「金の斧、銀の斧」の神様的役割を果たす池の主・イケビッシュ(伊藤今人)も登場し、舞台は混迷を極めながら怒濤のクライマックスへと向かっていく。
DJ OHのトークや、本能寺の変を再現した劇中劇をのぞき、台詞はナシ。全編、J-POPの名曲と共に、弾むようなダンスが繰り広げられる。あの曲をこんな場面で!という、梅棒ならではの驚きや可笑しさも健在だ。
荒唐無稽な物語に息を吹き込む、出演者の熱量と疾走感にご注目あれ。
高校野球、スイカ、花火、海水浴、恋、祭り……。夏がぎっしり詰まった梅棒『クロス ジンジャー ハリケーン』を観ずして、今年の夏は終われない。公演は8月30日(日)まで。
取材・文:高橋彩子
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