という猿之助の言葉は、続いて行われたゲネプロで、真実であることが証明された。“スーパー歌舞伎”の代名詞・宙乗りはもちろんのこと、滝(本水)の中での大立廻り、巨大クジラ(!)の登場、フライング、プロジェクションマッピングなどの最新技術を用いた映像……。各キャラクターの必殺技も、歌舞伎的なアナログさと斬新なアイデアの融合で、様々に表現される。従来の歌舞伎の概念を覆すようなセット、衣裳、演出も多数。例えばサーフボードに乗った猿之助ルフィが3階席にも届くダイナミックな宙乗りをする二幕ラストでは、ゆずの北川悠仁が書き下ろした主題歌「TETOTE」が流れ、客席を巻き込んでの大合唱という、音楽ライブさながらの光景が繰り広げられた。そうした革新の一方、4時間50分の大作を見終えて最も感じたことは、歌舞伎ならではのカッコよさ!“麦わらの一味”が行う七五調の名乗り、アッと驚く早変わり、花道を颯爽と駆け抜ける様、ビシッとキメる見得。「これぞ歌舞伎!」な表現のワクワク感が、全編通して響き渡る柝の音とともに記憶に焼きついている。衝撃的に斬新だが、歌舞伎から逸脱していない。
『ONE PIECE』という誰をも魅了する冒険心にあふれた原作が、歌舞伎に新たな可能性を示した。
公演は11月25日(水)まで東京・新橋演舞場にて。
取材・文/武田吏都
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