斬新で楽しい、大盛り上がりの1人チェロ・パフォーマンス
オリジナリティの大切さを知り、今の演奏スタイルのきっかけをつかんだ。「チェロは男性の低い音域から女性の高い音域まで出せる、人間の声に一番近い楽器。なのに、限られた音楽でしか表現されていない。その枠を誰も越えないなら、自分でやろうと」。4弦のチェロを5弦に、高い音色まで出るよう改造。アンプを用い、新たな電子機器も駆使して「1人弦楽四重奏や、1人ジャスバンドも表現できます(笑)」。
全国津々浦々をキャンピングカーで巡り、土地の空気を肌で感じながら演奏活動を続け、観客の求めるものを学んできた。「演奏曲目も構成も、開演5分前まで決めません。
お客さん次第です」。おとなしく聴いていた観客が、ソーラン節に「どっこいしょ!どっこいしょ!」と大声で合いの手を入れ、笑顔になる。東北出身の宮沢賢治の詩を、自身の故郷・山形県の東北弁で「雨ニモマケズ…」と朗読すると、涙する。演奏スタイルも、曲目も、チェロが持つ既成のイメージやクラシックの常識の枠組みから解き放ち、自由を得た。「僕は、たまたま表現するすべがチェロだったけど、三味線でもなんでもいい。自由に奏でていいんだよっていうこと。いろいろ言われてもいいじゃない。