それを知ったピーターパンはティンカーベルとともに海賊船へむかう――。
まるで絵本のようなかわいいセットの中で、お馴染みのキャラクターたちが、歌い、踊り、空を飛ぶ。タイガー・リリーやインディアンたちは抜群の身体能力でバク天やバク宙をしながら動き回り、フック船長や海賊たちがどこか間の抜けた“悪さ”を仕掛けて失敗し……次々と目の前で広がる世界に、子供から大人まであっという間に引き込まれてしまう。音楽もキャッチ―で、子供たちは幕間でもう1幕の曲を歌っていた。
唯月が「優雅だと思っていただけるように飛びたい」と話したフライングは、実に滑らかな動きで“釣られている”と感じさせない。ピーターパンがふわりと空に舞い上がり、魔法の粉を散らすと、客席からは「わぁ!」と歓声が上がっていた。
遊ぶのが大好きなピーターパンを唯月が心から楽しそうに演じるので、観ているだけでワクワクした気持ちになる。吉野圭吾の新・フック船長も本当に魅力的で、最後のピーター対フックのシーンの華やかさはさすがだった。
幼い頃から知っている人が多いストーリーだが、大人になって観てみると実は胸に刺さるエピソードがそこかしこに隠れている。