当初は、東京を舞台とし、北九州出身者によるストーリーを考えていたというノゾエ。稽古中に、出演者全員と北九州の街を3時間ほど散歩して、やはり舞台は北九州にすべきと衝動的に思ったそうだ。「遠く離れたところに来て、普段会わない方々と会って。そこに沸き起こった衝動に従うべき。健全なことが起きたと捉えてます。一からやり直しで若干焦りつつも(笑)、それ以上にワクワクしてます」
113名の応募者の中から選ばれた出演者は16名。特に人数を決めていた訳ではなく、オーディションという短い時間の中で「ちょっと好きになった」役者をセレクト。このシリーズに多数参加している万能グローブガラパゴスダイナモスの椎木樹人は「このシリーズは本当に刺激的。
個人的に大好きなノゾエさんとご一緒できる事も楽しみ」、劇団ショーマンシップの原岡梨絵子は「稽古の段階でも、いろいろな化学反応が起きています。このメンバーだからできる作品にしたい」と笑顔。他14名も、それぞれ熱く意気込みを語った。
抽象度の高い舞台美術と、ビターメルヘン、ビターファンタジーとも言えそうな作風が魅力のノゾエが、北九州という地で何を思い、何を表現するのか。和やかでありながらも緊張感漂う稽古場では、少しの時間でどんどん作品が変化していく様も見せてくれた。