くらし情報『奇をてらわない──誠実な本格派・外山啓介の挑戦』

奇をてらわない──誠実な本格派・外山啓介の挑戦

だからとても厳しい。非常に清潔で、人を寄せ付けない品格があリます。今回改めて向き合ってみて、その品格を表現するために、少しテンポを落としました。また最近特に、《舟歌》にどうにもならない深い悲しみを感じていて。その意味では重たいプログラムになりました」

「聴きやすいポピュラーな作曲家」と受け取られがちなショパンだが、決してそうではない。「すごく冷静にコントロールして弾かないと、自分の感じた良さを伝えにくい作曲家です。キラキラと美しいかけらがあちこちにあるので、それを全部拾ってしまうと、ただの自己満足になってしまう。だから常に客観的でいることが大事。
もちろんどの作曲家もそうですが、特にショパンの場合は、美しさについ溺れてしまって、そこを見失いがちだと思います」

10年間変わっていない信念は「奇をてらわないこと」。「奇をてらうのは好きじゃないんです。シンプルに弾きたい。必要以上にドロドロ歌わせたくないし、絶対に力技にしてはいけない。まっすぐ勝負したいというのは変わっていないかな」
女性に大人気のイケメン・ピアニストというイメージが強いので、男性陣はつい色眼鏡で見てしまうかもしれないが、実に誠実に語ってくれる気持ちのいい好青年。

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