東京ユニバーサル・フィルハーモニー管弦楽団(代表:河村 隆三)主催、『第一回室内楽演奏会』が2024年10月1日 (火)に大田区民ホール・アプリコ(東京都 大田区 蒲田 5-37-3)にて開催されます。チケットはカンフェティ(運営:ロングランプランニング株式会社、東京都新宿区、代表取締役:榑松 大剛)にて発売中です。カンフェティにてチケット発売中 公式ホームページ 東京ユニバーサル・フィルハーモニー管弦楽団の楽団員による室内楽演奏会。ベートーヴェンの七重奏をメインに、弦楽器と木管楽器のアンサンブルをご堪能頂ける豪華プログラムをお届けします。【プログラム】・シュターミッツ「木管四重奏曲作品8-2」・モーツァルト「フルート四重奏曲ハ長調」・ベートーヴェン「七重奏曲」変ホ長調作品20東京ユニバーサル・フィルハーモニー管弦楽団の楽団員による室内楽演奏会。ベートーヴェンの七重奏をメインに、弦楽器と木管楽器のアンサンブルをご堪能頂ける豪華プログラムをお届けします。東京ユニバーサル・フィルハーモニー管弦楽団(ユニフィル)とはユニフィルは、1973年に結成された日本新交響楽団を前身として、1997年に「東京ユニバーサル・フィルハーモニー管弦楽団」と改称し、同年4月「第一回定期演奏会」を開催。定期演奏会・名曲コンサートなどの自主公演も100回を数え、名曲のより質の高い演奏でクラシック音楽愛好家の支持を得ている。2001年から大田区をはじめ地元諸団体の協賛ではじまった「初夢コンサート」も2022年で第21回を数え、2009年より東京自由が丘ロータリークラブ、目黒区、目黒区芸術振興財団との共催で「親子のためのふれあいコンサート」を開催し、地域に根付いた活動を積極的に展開している。さらに、2009年に文化庁主催による「舞台芸術の魅力発見事業」「子どものための優れた舞台芸術体験事業」の依頼を受け、九州・沖縄の各県において多数の公演を行い地方への感動の輪も着実に広げている。オペラ公演では、東京オペラ・プロデュース、日本オペラ振興会、ミラマーレオペラ、渋谷シティ・オペラでの「ラ・ボエーム」、「じゃじゃ馬ならし」、「愛の妙薬」、「セヴィリアの理髪師」、「カヴァレリア・ルスティカーナ」、「道化師」、「エトワール」等で高い評価を得ている。2009年には一般社団法人として新たな体制として充実をはかり、現在、社団法人日本オーケストラ連盟準会員。開催概要『第一回室内楽演奏会』開催期間:2024年10月1日 (火)会場:大田区民ホール・アプリコ(東京都 大田区 蒲田 5-37-3)■出演者印田千裕(ヴァイオリン)惠藤あゆ(ヴィオラ)松浦健太郎(チェロ)長谷川信久(コントラバス)だてかよこ(フルート)玉田由佳里(オーボエ)坂本由美子(クラリネット)伊藤真由美(ファゴット)松岡邦忠(ホルン)大見川満(ホルン)■スタッフ主催:東京ユニバーサル・フィルハーモニー管弦楽団お問い合わせ:ユニフィル事務局 info@uniphil.gr.jp ■開催スケジュール開場 18:30開演 19:00終演 21:00■チケット料金一般:3,500円、学生:2,000円(全席自由・税込) 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2024年09月15日Musik Wald コンサート企画主催、フランス近現代~詩情豊かな色彩~『佐々木崇 珠玉の室内楽シリーズ vol.VII』が2024年10月19日 (土)にウェスタ川越 小ホール(埼玉県 川越市 新宿町 1-17-17)にて開催されます。チケットはカンフェティ(運営:ロングランプランニング株式会社、東京都新宿区、代表取締役:榑松 大剛)にて8月16日(金)10:00より発売開始です。カンフェティにて8月16日(金)10:00よりチケット発売開始 公式ホームページ クラシック音楽の魅力をピアノ、ヴァイオリン、チェロの室内楽の観点から掘り下げて紹介していくシリーズ。奥の深いクラシック音楽の味わう観点などをその都度紹介しながら、クラシック通はもちろん初心者にも是非聞いていただきたい内容の演奏会です。演奏者は3人とも東京藝術大学を卒業しそれぞれが多方面で活躍する実力者。今回はフランス近現代~詩情豊かな色彩~と題しショーソン、フランク、ラヴェルの作品を取り上げます。ヴァイオリンソロによる曲、チェロソロによる曲、そしてピアノ三重奏曲と贅沢な内容となっております。演奏者としてどのようなことを考えているのか、作品についての解説を交えながら演奏前のトークによって音楽の世界に入り込めるようにしています。会場となるウェスタ川越リハーサル室(小ホール)は小さいながら演奏者の息使いを間近に感じることが出来るのが魅力です。色彩豊かなフランス音楽の魅力を是非会場でお聴きください。<Program>エルネスト・ショーソンErnest Chausson(1855-1899):詩曲(ポエム)(1896年)Poèmeセザール・フランクCésar Franck(1819-1896):ピアノとヴァイオリンのためのソナタイ長調(チェロ版)(1886年)Sonata Pour Piano et Violon en La majeurモーリス・ラヴェルMaurice Ravel(1875-1937)ピアノ三重奏曲 イ短調 (1914年)Trio avec piano en la mineur公演概要フランス近現代~詩情豊かな色彩~『佐々木崇 珠玉の室内楽シリーズ vol.VII』公演日時:2024年10月19日 (土)13:30開場/14:00開演会場:ウェスタ川越 小ホール(埼玉県 川越市 新宿町 1-17-17)■出演者ヴァイオリン:長岡聡季チェロ:森山涼介ピアノ:佐々木崇■チケット料金一般:3.000円、学生:2,000円(全席自由・税込) 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2024年08月16日つくばエクスプレス/東武アーバンパークライン「流山おおたかの森」駅北口直結の好立地に位置する「スターツおおたかの森ホール(2019年4月開館)」を舞台とした新たな音楽祭、「NAGAREYAMA 国際室内楽音楽祭」の開催が発表された。会場となる同ホールの音響設計監修は、世界的に評価の高い永田音響設計株式会社が担当。残響時間1.6 秒(満席時推定値・500Hz)の響きと、494席の客席数は、まさに室内楽に最適の条件と言えそうだ。気になる音楽祭の開催期間は、2024年11月2~4日の3日間。開催地である千葉県流山市在住のピアニストで、同音楽祭の音楽監督を務める、パスカル・ドゥヴァイヨン&村田理夏子夫妻の呼びかけによって、国内外の魅力的なアーティストが集結する3日間は、室内楽の新たな楽しみを体験せてくれそうだ。NAGAREYAMA 国際室内楽音楽祭11月2日(土)、3日(日・祝)、4日(月・休)スターツおおたかの森ホール出演:パスカル・ドゥヴァイヨン、村田理夏子(ピアノ)フィリップ・グラファン、東亮汰*(ヴァイオリン)キム・サンジン(ヴィオラ)、趙静(チェロ)、高木綾子(フルート)、チャールズ・ナイディック(クラリネット)*11/4 のみ出演加羽沢美濃(ナビゲーター)、山口由美(ナレーション)11月2日(土)14:00 オープニング・コンサート・W. A. モーツァルト:フルート四重奏曲 ニ長調 K. 285[高木綾子、フィリップ・グラファン、キム・サンジン、趙静]・R. シューマン:「おとぎ話」Op. 132[チャールズ・ナイディック、キム・サンジン、パスカル・ドゥヴァイヨン]・A. ドヴォジャーク: ピアノ三重奏曲 第4番 ホ短調 Op. 90「ドゥムキー」[フィリップ・グラファン、趙静、村田理夏子]11月3日(日・祝)14:00 エスプリ・ドゥ・パリ・C. ドビュッシー:ピアノ三重奏曲 ト長調[高木綾子、趙静、村田理夏子]・D. ミヨー:組曲 Op. 157b[チャールズ・ナイディック、フィリップ・グラファン、村田理夏子]・D. ミヨー:「スカラムーシュ」Op. 165b[パスカル・ドゥヴァイヨン、村田理夏子]・G. フォーレ:ピアノ四重奏曲 第1番 ハ短調 Op. 15[フィリップ・グラファン、キム・サンジン、趙静、パスカル・ドゥヴァイヨン]11月4日(月・休)11:00 ファミリー・コンサート・M. ラヴェル:「マ・メール・ロワ」[パスカル・ドゥヴァイヨン、村田理夏子]・D. ミヨー:「屋根の上の牡牛」[フィリップ・グラファン、村田理夏子]・F. プーランク:「子象ババールの物語」[パスカル・ドゥヴァイヨン、村田理夏子、山口由美]16:00 ファイナル・コンサート・N. ロータ:フルート、ヴァイオリンとピアノのための三重奏曲[高木綾子、東亮汰、パスカル・ドゥヴァイヨン]・S. ラフマニノフ:2台のピアノのための組曲 第2番 Op. 17[パスカル・ドゥヴァイヨン、村田理夏子]・J. ブラームス:クラリネット五重奏曲 ロ短調 Op. 115[チャールズ・ナイディック、フィリップ・グラファン、東亮汰、キム・サンジン、趙静]
2024年08月09日練馬文化センター(公益財団法人練馬区文化振興協会)は、2024年2月11日(日・祝)大泉学園ゆめりあホールにて「フレッシュ名曲コンサート 若き俊英たちによる室内楽コンサート」を開催いたします。昼公演、夜公演ともにチケット好評販売中です! 身近な地域でクラシック音楽を気軽に親しむ機会の提供と、新進演奏家の発掘と育成を目的として、公益財団法人東京都歴史文化財団 東京文化会館と都内の公共ホールが共同で開催する「フレッシュ名曲コンサート」。練馬からは、室内楽をお届けします。ピアノは、第18回東京音楽コンクール第2位(最高位)に入賞し、ソリストとして多数のオーケストラと協演を重ねる大崎由貴。ヴァイオリンは、今年若手演奏家の登竜門であるフランスのロン・ティボー国際音楽コンクールで5位入賞を果たした橘和美優が登場。そのふたりに、神奈川フィルハーモニー管弦楽団首席クラリネット奏者の亀居優斗と、ドラマや話題のアニメ作品等メディアへの出演も多く、来夏ソロデビューリサイタルが決定した菅井瑛斗が、それぞれ昼公演、夜公演で協演します。昼公演はフランスをテーマに、クラリネット、ヴァイオリン、ピアノのトリオによるバラエティ豊かなプログラムをお届けします。中でも演奏機会の少ないプーランク作曲の「城への招待」は必聴です!夜公演はドイツをテーマに、ベートーヴェン、モーツァルト、メンデルスゾーンのピアノ三重奏の王道をたっぷりと味わっていただきます。いま聴きたい若手演奏家のエネルギー溢れる演奏を、室内楽にふさわしい大泉学園ゆめりあホールの170席の空間で贅沢にお楽しみください!【公演概要】■公演名フレッシュ名曲コンサート 若き俊英たちによる室内楽コンサート■日時2024年2月11日(日・祝)<昼公演>14:00開演(13:30開場)<夜公演>18:00開演(17:30開場)■場所大泉学園ゆめりあホール(東京都練馬区東大泉1-29-1)西武池袋線 東京メトロ有楽町線・副都心線直通「大泉学園駅」北口より徒歩1分 ゆめりあ1・6F■出演大崎由貴(ピアノ)橘和美優(ヴァイオリン)亀居優斗(クラリネット・昼公演のみ)菅井瑛斗(チェロ・夜公演のみ)■曲目<昼公演>フランセ/主題と変奏サン=サーンス/序奏とロンド・カプリチオーソ Op.28ミヨー/ヴァイオリン、クラリネットとピアノのための組曲ストラヴィンスキー/組曲『兵士の物語』(トリオ版)プーランク/城への招待<夜公演>ベートーヴェン/ピアノ三重奏曲第4番変ロ長調「街の歌」 Op.11モーツァルト/ピアノ三重奏曲第5番ハ長調 K.548メンデルスゾーン/ピアノ三重奏曲第1番ニ短調 Op.49※各公演曲順、曲目は変更になる場合がございます。■チケット料金(税込)全席指定 ※完全入替制一般 2,500円/各公演車いす席 1,250円/各公演■販売情報好評発売中<プレイガイド>・予約電話:03-3948-9000(10:00~17:00)・WEB: (要利用登録【無料】)・窓口:大泉学園ゆめりあホール(10:00~20:00)■主催練馬文化センター(公益財団法人練馬区文化振興協会)/公益財団法人東京都歴史文化財団 東京文化会館チラシ表チラシ裏大崎由貴(ピアノ)大崎由貴(ピアノ)橘和美優(ヴァイオリン)(C)Ayane Shindo橘和美優(ヴァイオリン)(C)Ayane Shindo亀居優斗(クラリネット)(C)Kosuke Atsumi亀居優斗(クラリネット)(C)Kosuke Atsumi菅井瑛斗(チェロ)菅井瑛斗(チェロ)■問合せ練馬文化センターTEL:03-3993-3311メール: info-neri@neribun.or.jp 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2023年12月25日この数年、日本の若手演奏者による室内楽の躍進ぶりには、目を見張る物がある。12月19日(火)にサントリーホール・ブルーローズで公演を行う「ほのカルテット」は、まさにその筆頭だ。2023年5月に開催された「大阪国際室内楽コンクール」弦楽四重奏部門において、見事第2位に輝いた実力は半端ではない。同コンクールは、世界7大弦楽四重奏コンクールに数えられる日本で唯一の国際的な室内楽コンクールだ。過去の歴史を紐解いてみると、日本人団体としては、1996年の第2回開催回において第2位を獲得したクァルテット・エクセルシオに並ぶ過去最高の快挙なのだから素晴らしい。その背景にあるのが、「サントリーホール室内楽アカデミー」だ。プロフェッショナルを目指す若手演奏家の成長と成熟を図り、修了生のキャリア支援を目標として2010年に開講した同アカデミーは、国内外の第一線で活躍する音楽家とともに、世代を超えて室内楽の喜びや真髄を分かち合う“育成の場”として機能。これまでに「葵トリオ」メンバーや、クァルテット・インテグラなどの優れた室内楽奏者を輩出してきた国内屈指の若手演奏家養成機関だ。「ほのカルテット」は、同アカデミーから誕生した初の「大阪国際室内楽コンクール」入賞団体というのが意義深い。今回のプログラムには、コンクールの課題曲7曲の中からファイナルで披露したベートーヴェンの「弦楽四重奏曲第12番」を筆頭に、ハイドンとメンデルスゾーンの作品が並べられ、弦楽四重奏の多彩な世界を演出する。若い才能のきらめきをいち早く体験してみたい。サントリーホール室内楽アカデミー特別公演大阪国際室内楽コンクール2023弦楽四重奏部門第2位記念ほのカルテット リサイタル■チケット情報月19日(火) 19:00開演サントリーホール ブルーローズ(小ホール)弦楽四重奏:ほのカルテット *サントリーホール室内楽アカデミー第7期ヴァイオリン:岸本萌乃加ヴァイオリン:林 周雅ヴィオラ:長田健志チェロ:蟹江慶行ハイドン:弦楽四重奏曲 変ホ長調 Hob. III:38「冗談」メンデルスゾーン:弦楽四重奏曲第 4 番 ホ短調 作品 44-2ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第 12 番 変ホ長調 作品 127
2023年11月29日スタジオジブリ作品『思い出のマーニー』をはじめ数多くの映画音楽を作曲、竹内まりやが2019年のNHK紅白歌合戦で披露した『いのちの歌』や工藤静香の『勇者の旗』などへの楽曲提供ほか、幅広く活躍している作曲家・ピアニストの村松崇継。今回、3年ぶりとなるソロコンサート『Piano Sings 2023』を開催する。村松崇継(p) チケット情報手掛ける楽曲は、映画やドラマ、舞台の音楽、さらにジャンルもポップスから演歌まで多岐に渡り、オファーが途切れることはない。作品や歌手に寄り添い、その魅力を輝かせる仕事の中で、年に1度、自分自身を見つめるコンサート。自ら提供した『彼方の光』を歌う、天使の歌声で知られるボーイソプラノユニットLIBERAの来日公演に出演した翌日、ソロコンサートへの思いを語った。始まりは映画音楽だった。クラシックを学んでいた大学在学中に自ら売り込み、2001年に天海祐希主演の『狗神』の音楽を担当したのが初仕事。「その後は来たお仕事をやっていったら、どんどん広がっていったんです」。敷居が高いと思っていたポップスは竹内まりやに背中を押され、縁がないだろうと思っていた大好きな演歌や歌謡曲は山内惠介の歌謡曲の話が来て『こころ万華鏡』が生まれた。「オファーはご縁ですね」。作曲家でピアニストの村松は自らを「僕が作ったオリジナルを、自分の手で奏でるアーティスト」と言う。彼の楽曲は優しく温かく、透き通ったメロディが心に染みる。「みんなの心に響くいい曲を作ることが大前提で、それを自分の演奏するピアノで癒しや希望や元気を伝えるコンサートをしたいんです。今回は、いろいろあるけど、みんなで頑張って行こうねっていうのがテーマ」。コンサートは観客と対話しながら展開する。村松のコンサートは通常ではありえないほどMCが多い。「めちゃくちゃしゃべります。1曲終わったら『どうだった?』って聞いたり(笑)」。これも大きな楽しみのひとつだ。「僕も1年に1度、みんなと会うことでパワーをもらい、癒されて疲れが取れるんです(笑)」。即興コーナーもあり、観客が開演前に書いたリクエスト曲を弾いて3曲をプレゼントする。歌は歌わないが、思いはピアノとおしゃべりで伝える。「曲でみんなをハッピーにする、エンタメな感じです」。村松は大阪を「ホーム」と呼ぶ。「アットホームなファミリー感がすごくあって、気取らなくていい。カッコ悪いところを出してもOKみたいなところがあるから、大阪公演ではほんとの自分が出せるんです。だからもう一回、大阪の地で自分のコンサートをやりたいと思って企画しました」。公演は、12月15日(金)東大阪市文化創造館 ジャトーハーモニー 小ホールにて。チケットは発売中。取材・文:高橋晴代
2023年11月15日国内外で注目を集める尺八演奏家・藤原道山と、ウィーン・フィルのコンサートマスターを務めるフォルクハルト・シュトイデが率いるシュトイデ・トリオが待望の再共演。福岡シンフォニーホールにて、福岡では9年ぶり、全国で福岡のみという唯一無二のアンサンブルを披露する。「藤原道山&シュトイデ・トリオ」のチケット情報はこちら「日本の伝統芸能ということで、少し敷居が高いと思われがちな尺八をもっと多くの人に聴いて欲しい」という思いと、「もっといろんな音楽を知りたい」という自身の興味から、伝統音楽の演奏活動や研究とともに、マリンバ奏者SINSKEとのデュオ、妹尾武(ピアノ)、古川展生(チェロ)との『KOBUDO-古武道-』、尺八アンサンブル『風雅竹韻』などのユニット活動、映画音楽、舞台音楽、音楽監修、執筆など国内外を問わず多岐にわたる活動を行なってきた藤原道山。シュトイデとは、2009年にシュトイデ弦楽四重奏団の来日時に共演したのをきっかけに、共演を重ね、彼らとウィーンでレコーディングした楽曲を収録した『FESTA』を2011年にリリース。以降、数年ごとに公演を行なってきた。本公演では、藤原道山による『アメイジンググレイス』、シュトイデ・トリオによるシューベルトの『弦楽三重奏曲第1番 変ロ長調D171』をはじめ、藤原道山&シュトイデ・トリオで『MINORI』(藤原道山作曲)、ルーマニア民族舞曲(バルトーク作曲)、『La Festa』(大島ミチル作曲)他を演奏予定。「洋楽器、和楽器の違いはあれど、音楽家として五線譜という共通言語を通して会話している感じ。数年ぶりの演奏でも、そのブランクを忘れるくらい違和感がないんです。今回の楽曲は公演用にリアレンジされたもの。ですから、以前リリースしたアルバムともまた違う響きになると思います」と語る。「尺八は、竹そのものを素材にしていることから、1本1本が非常に個性的で、音色も吹く時の感覚も違う」という藤原の尺八コレクションはなんと約50本。キーチェンジの役割も兼ねるとのことで、公演では、10本ほどの尺八を曲に合わせて使い分ける。「いろいろな音が出せるため、一緒に演奏する楽器をリスペクトし、融合したいときは近づき、際立たせたいときは離すこともできる」という「尺八」の多彩な音色と弦楽器の調べが融合する極上のアンサンブル、『藤原道山&シュトイデ・トリオ』をこの機会にぜひ味わってみたい。公演は11月27日(月)福岡シンフォニーホール。チケットは発売中
2023年11月10日公益財団法人習志野文化ホール(理事長:植松榮人)主催、『習志野シンフォニエッタ千葉 第5回~室内楽演奏会~』が2023年12月8日 (金)にプラッツ習志野市民ホール(千葉県習志野市本大久保3-8-19)にて開催されます。チケットはカンフェティ(運営:ロングランプランニング株式会社、東京都新宿区、代表取締役:榑松 大剛)にて発売中です。カンフェティにてチケット発売中 公式ホームページ 公演詳細ページ オーケストラ「習志野シンフォニエッタ千葉」とは習志野市、千葉県にゆかりのあるプロ奏者を中心に、育った地域に音楽で恩返しすることを目的に結成された。芸術監督を務める横川晴児氏の下に音楽家たちが集い、子どもたちをはじめ、地域の人々に良質な音楽を提供し、生活に豊かさをもたらしたいという思いで演奏会を重ねている。本演奏会はその5回目となる室内楽演奏会。場所をプラッツ習志野市民ホールに移しての開催となる。公演概要『習志野シンフォニエッタ千葉 第5回~室内楽演奏会~』開催期間:12月08日(金)会場:プラッツ習志野市民ホール(千葉県習志野市本大久保3-8-19)■出演者Vn 山岸 努 / 小泉百合香Va 森口恭子Vc 松本ゆり子Cb 佐川裕昭Ob 田邉奏貴Cl 横川晴児 / 眞塩由希子Fg チェ・ヨンジン / 日谷唯斗Hr 大森啓史(習志野市と千葉県にゆかりのあるメンバーを中心に結成したプロ楽団)※やむを得ない事情により曲目、出演者は変更となる場合がございます。予めご了承ください■曲目1) バッハ / 3 声のインヴェンションより第 12 番J.S. Bach / Sinfonia No.12 in A major BWV7982) モーツァルト / ディヴェルティメント第 2 番W.A. Mozart / Divertimento No.2 in B-flat major K.439b3) ハイドン / 弦楽四重奏曲 変ロ長調 作品 76-4 「日の出」F. J. Haydn / String Quartet No.63 (No.78) in B-flat major Op.76-44) ベートーヴェン / 七重奏曲 変ホ長調 作品 20L.v. Beethoven / Septet in E-flat major Op.20■スタッフ芸術監督 横川晴児(Facebook: )■開催スケジュール12月08日(金) 18:30 開場/19:00 開演※終演予定:21:00■チケット料金一般:4,000円 (全席自由・税込)【本件に関する報道関係者からのお問合せ先】ロングランプランニング株式会社 担当:山口電話:03-6228-1240 メールアドレス: otoiawase@confetti-web.com 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2023年11月03日大阪国際室内楽コンクール2023の弦楽四重奏部門で第2位とアンバサダー賞を受賞した、ほのカルテットが、12月19日(火)にサントリーホール ブルーローズ(小ホール)で受賞記念リサイタルを開催する。ほのカルテットは、東京藝術大学在学のメンバーが2018年に結成。国内の弦楽四重奏コンクールで入賞を果たし、メンバーそれぞれもプロとして活動。昨年9月からサントリーホール室内楽アカデミー第7期生として学んでいる。彼らが第2位とアンバサダー賞に輝いた大阪国際室内楽コンクールは、世界7大弦楽四重奏コンクールに数えられる日本で唯一の国際的な室内楽コンクール。日本人団体の入賞は 1996年(第2回)のクァルテット・エクセルシオと並ぶ過去最高位の快挙で、今回の入賞を機にさらに注目が集まることになりそうだ。ほのカルテット 大阪国際室内楽コンクール2023 本選での演奏(©️日本室内楽振興財団)リサイタルでは、コンクールの課題曲7曲の中からファイナルで披露したベートーヴェンの弦楽四重奏曲第12番をメインに、遊び心溢れるハイドンや洗練されたメンデルスゾーンなどを演奏予定。今後さらなる飛躍が期待されている若手演奏家たちの瑞々しい演奏が楽しめる。サントリーホール室内楽アカデミー特別公演大阪国際室内楽コンクール 2023 弦楽四重奏部門第 2 位記念ほのカルテット リサイタル■チケット情報月19日(火) 19:00開演サントリーホール ブルーローズ(小ホール)弦楽四重奏:ほのカルテット *サントリーホール室内楽アカデミー第7期ヴァイオリン:岸本萌乃加ヴァイオリン:林 周雅ヴィオラ:長田健志チェロ:蟹江慶行ハイドン:弦楽四重奏曲 変ホ長調 Hob. III:38「冗談」メンデルスゾーン:弦楽四重奏曲第 4 番 ホ短調 作品 44-2ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第 12 番 変ホ長調 作品 127
2023年10月20日2021年のショパン国際ピアノ・コンクールにて反田恭平と2位を分かちあい、またクリスティアン・ツィメルマン賞(ソナタ最優秀演奏賞)を受賞したアレクサンダー・ガジェヴ。昨年6月~7月のリサイタルではソールド・アウト続出、また「題名のない音楽会」などへの出演でさらにファン層を広げた。ショパン・コンクール後もイタリアで最も権威ある「フランコ・アッビアーティ賞」の2022年ベスト・ソリスト賞を受賞、同年には優れたピアニストに与えられるイギリスのテレンス・ジャッド賞を受賞。また2025年欧州文化首都ノヴァ・ゴリツァの文化大使に選出されるなどなど多彩な活動と芸術性が高く評価されている。ガジェヴの音楽は常に文化的背景や思想を感じさせるもので、新しさと発見に満ちており、とはいえ難解ではなく、常に心をキュンとさせるガジェヴ節でファンの心を捉えて離さない。アレクサンダー・ガジェヴ チケット情報はこちら今回のソロ・リサイタルは11/7(火)東京オペラシティ コンサートホールほか各地で開催。“「心の動き」を巡るプログラム”と題し、バッハの変ホ長調のフランス組曲第4番、フランク「前奏曲、フーガと変奏曲」、ショパンのノクターン(夜想曲)とスケルツォ第3番、ムソルグスキーの組曲「展覧会の絵」をお届けする。全国ツアー以外にも大阪フィルハーモニー交響楽団との共演の公演もあるので、そちらもぜひお見逃しなく。チケットはいずれも好評発売中。【アレクサンダー・ガジェヴ ピアノ・リサイタル】2023/10/23(月) グランシップ 中ホール・大地 (静岡)2023/11/1(水) 札幌コンサートホールKitara 大ホール (北海道)2023/11/4(土) 北九州市立響ホール (福岡)2023/11/7(火) 東京オペラシティ コンサートホール (東京)2023/11/11(土) 住友生命いずみホール (大阪)2023/11/12(日) 東広島芸術文化ホールくらら 大ホール (広島)【大阪フィルハーモニー交響楽団 京都特別演奏会】2023/10/29(日) 京都コンサートホール 大ホール (京都)[指揮]秋山和慶 [ピアノ]アレクサンダー・ガジェヴ
2023年09月19日ドイツを拠点に活躍する本格派ピアニスト、河村尚子とアレクサンドル・メルニコフ。ちょっと思いがけない顔合わせで、この11月、初めてのデュオ・リサイタルがひらかれる。東京芸術劇場コンサートホールの響きのよい空間で、2人のピアニストが向き合うシリーズ「VS」の第7弾にして、外国籍の演奏家が登場する初めての機会だ。「サーシャ・メルニコフとは10年以上知り合いですけれど、共演するのは初めてですし、本当に大スーパースターだから。すごく優しい、いい人なんですよ。でも、ロシア人らしく、口では本当に厳しいことを言う。つねに真剣に、作曲家の意図を理解し、それを表現しようとしている人だと思います」と河村尚子は言う。シューベルト晩年の「幻想曲」で始まり、ドビュッシー自身の4手連弾版による交響詩「海」、ラフマニノフの2台ピアノ版「交響的舞曲」へと時代を進む多彩なブログラム。シューベルトの音楽は近年集中して取り組んでいるが、オーケストラでも名高い2曲は、河村尚子にとって新たな挑戦となる。「シューベルトは掘り下げてきて、また違う顔がみえてきたし。『幻想曲』はすごくシンフォニックで、2手では弾ききれないことがたくさん詰まっていると思うんです。ドビュッシーとラフマニノフはメルニコフが提案してくれました。オーケストラの曲を弾くのは私も好きなので、うれしいなと思って。あまりコンサートでは採り上げていませんが、ドビュッシーは大好きなんです。音を弾くとともに色彩が空気に広がって、なんて素敵なんだろうって。ラフマニノフは聴いていて面白いし、かっこいいし、じーんとくるし。彼の和声がやっぱり私はとても好きなんですね」。ピアニストどうし、それぞれの視点でみつめる作曲家の世界が対話する場でもある。「3人の作曲家にもっている意見や感情が、きっと私とメルニコフでは異なってもいるでしょう。思いが違っていて全然かまわないし、その表現の違いを私は彼から聞きたいと思うんですよ。10月にベルリンでリハーサルをするので、そこで思う存分話して、意見を交わしていければと。いろいろ学びたいですし、コンサートがどういうふうになるのか、すごく楽しみです」。芸劇リサイタル・シリーズ 「VS」 Vol.7 河村尚子×アレクサンドル・メルニコフnoの公演情報はこちら取材・文青澤隆明(音楽評論)
2023年08月09日東京芸術大学卒業の演奏者佐々木崇(ピアノ)・長岡聡季(ヴァイオリン)・森山涼介(チェロ)が登場Musik Wald コンサート企画主催、『佐々木崇珠玉の室内楽コンサートvol.6~ロマン派の諸相~』が2023年9月15日 (金)にウェスタ川越リハーサル室(小ホール)(埼玉県川越市新宿町1-17-17)にて開催されます。チケットはカンフェティ(運営:ロングランプランニング株式会社、東京都新宿区、代表取締役:榑松 大剛)にて発売中です。カンフェティにてチケット発売中 公式ホームページ 「クラシック音楽は難しい」という方にもクラシック音楽を好きになってもらうために作品の魅力を伝えていく演奏会。出演者はすべて東京芸術大学を卒業した実力者ばかり。多くのクラシックコンサートが有名な曲ばかりを取り上げる中、有名無名に関わらず、色々なクラシック音楽の作品を掘り下げていく。演奏者とのトークを交えて作品の魅力を少しでも発信していきたいと考えています。クラシック音楽は作品自体が作曲家の深い考えの元に作られています。それぞれの作曲家の作品の意味を理解したいと演奏者も沢山練習を重ねます。そうして演奏者は本番でその作品のその時の解釈を伝えます。演奏者はその作曲家の思いを演奏を通じて聴きに来てくださる方々と共有出来たらとても嬉しいです。【出演】ピアノ:佐々木崇ヴァイオリン:長岡聡季チェロ:森山涼介佐々木崇プロフィール埼玉県川越市出身。3歳よりピアノを始める。埼玉県立大宮光陵高校音楽科を経て、東京藝術大学音楽学部に入学。その後、同大学院修士課程を経て、同大学院博士課程に進み、論文「R.シューマンの初期ピアノ曲のモットー構想-象徴的核音型の回帰手法をめぐって-」で博士号を取得し2011年に卒業。在学中には東京藝術大学ピアノ科のティーチングアシスタントを務める。1997年、第5回ヤングアーチストピアノコンクールEグループ金賞をはじめ、同大学在学中には、第3回日本演奏家コンクール大学の部第1位、第12回彩の国埼玉ピアノコンクールF部門銀賞、第6回東京音楽コンクールピアノ部門第3位など数々のコンクールで優勝・入賞を果たす。さらに、第6回ショパン国際ピアノコンクールin Asiaファイナリスト、第1回高松国際ピアノコン クールセミファイナリスト。2008年に川口リリアホールにて、また2011年、2016年に上野の東京文化会館にてソロリサイタルを開催、2015年には日本フィルハーモニー交響楽団と共演し、いずれもその美しい音色と抒情性を備えた音楽性を高く評価された。2015年年末白寿ホールの主催するコンサート「迫昭嘉の第九vol.1」において師である迫昭嘉氏と共演、好評を博す。2012年から地元川越で毎年リサイタルを開催し、2013年には函館公演も実現するなど精力的に活動を拡げている。また2016年より日フィルのメンバーと共演するなど室内楽にも力を入れている。2018年より6年に渡りシューマンの主要なピアノ曲と室内楽すべてを取り上げる佐々木崇シューマンリサイタルを開催中である。ピアノを、故真継豊子、赤間亜紀子、荻野千里、播本枝未子、迫昭嘉、大野眞嗣、ディーナ・ヨッフェ各氏に師事し、アンジェイ・ヤシンスキー、ヴァディム・サハロフ、パーヴェル・ネルセシアン、エフゲニー・ザラフィアンツ、アンナ・マリコワ各氏のレッスンも受講する。元東京藝術大学ピアノ科非常勤講師、ヤングアーチストミュージックアカデミー講師。アルバム「佐々木崇プレイズシューマン」(DLTS0001)「佐々木崇プレイズショパン」(DLTS0002)「R.シューマン交響的練習曲」(KKTS0001)好評発売中。公演概要『佐々木崇珠玉の室内楽コンサートvol.6~ロマン派の諸相~』公演日:2023年9月15日 (金)18:00開場/18:30開演(※上演時間:約2時間)会場:ウェスタ川越リハーサル室(小ホール)(埼玉県川越市新宿町1-17-17)■出演者ピアノ:佐々木崇ヴァイオリン:長岡聡季チェロ:森山涼介■チケット料金一般:3.000円学生:2,000円(全席自由・税込) 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2023年07月24日国内最大規模の室内楽の祭典「サントリーホール チェンバーミュージック・ガーデン(CMG)」が明日、開幕する。2011年から続く初夏の恒例イベントで、今年も多くの観客が足を運ぶことになりそうだ。本イベントは、クラシック音楽の原点ともいわれる室内楽を気軽に楽しむことができるもので、サントリーホール ブルーローズ(小ホール)の親密な空間で演奏者の息遣いや表情を間近に体感できる。会期は6月3日(土)から18日(日)までの16日間で、12企画21公演が開催される予定だ。注目は全6公演が行われる「エリアス弦楽四重奏団ベートーヴェン・サイクル」。1998年に英国で結成され、ベートーヴェンを深く探求してきたエリアス弦楽四重奏団の初来日公演で、創意工夫に富んだプログラムが披露される。ミュンヘン国際音楽コンクール優勝以来、内外で大きな反響を呼んでいる葵トリオは9日(金)に登場。11日(日)には、葵トリオと、現役のアカデミー・フェロー(受講生)が初めて共演し、ピアノと弦楽器の濃密なアンサンブルをトークも交えながら披露する「室内楽のしおり~葵トリオとホープたち」も開催される。そのほか、ホルンの世界的スター奏者ラデク・バボラークが出演する「ラデク・バボラークの個展’23~若き音楽仲間とともに」や、サントリーホールが所蔵する1867年製のエラールを、ガット弦のアンサンブルと共に味わえる「エラールの夕べ~壮年ブラームス」など多彩なプログラムが登場。最終日には豪華出演者たちによるガラ・コンサート「CMGフィナーレ 2023」が行われ、大団円を迎える。さらに会場名のブルーローズ(小ホール)にちなんだオリジナルグッズが、会場ホワイエの店舗とオンラインショップで販売。室内楽の響きを堪能した1日の記念に購入する人が増えそうだ。また、有料オンライン配信(ライブ&リピート配信)を5公演で実施。公演の細部、演奏家の動きの細やかな部分を公演から1週間限定で何度でも繰り返し楽しめる。チェンバーミュージック・ガーデン(CMG)20236月3日(土)から18日(日)までサントリーホール ブルーローズ(小ホール)■チケット情報
2023年06月02日1990年ショパン国際コンクールに歴代日本人として最年少で入賞。以来、クラシック界のトップアーティストとして常に注目を浴び続けるピアニスト・横山幸雄。彼が「自分にとってショパンと並ぶ、演奏活動の柱の一つ」と語るのがベートーヴェンだ。5月21日(日)、福岡シンフォニーホールで行なわれる「ベートーヴェン 5大ピアノ・ソナタ」は、2017年に同ホールで行なわれ大絶賛された公演の再演。今回は、スペシャルゲストにヴァイオリニストの千住真理子を迎え、 夢の共演による『クロイツェル』が実現する。「ベートーヴェンは子どもの頃から好きでした。彼が作品番号を付けて発表した全楽曲を約10か月にわたるシリーズで演奏した20代後半が、演奏家として彼の作品に集中的に取り組んだ最初。以降、2020年の生誕250年に向け、2013年から年1回のベートーヴェン・シリーズを始め、通常のリサイタルでも度々演奏してきました。コロナ禍と重なった2020年の年末にベートーヴェンのピアノ・ソナタ全32曲を2日間にわたり連続演奏した事で、より深く凝縮してベートーヴェンと向かい合うことができたように感じます。彼は耳が聞こえなくなった音楽家として超人的なエピソードも多い人物。20代の頃は同じ人間とは思えない存在でしたが、公演の準備期間約3カ月を経て、『ベートーヴェンもやはり人間。彼がもつあらゆる人間的な側面が、様々な楽曲の端々に全て現れている』と捉えられるようになったのは大きかったです。今は、ベートーヴェンの人生と彼が創った芸術作品を、いかに磨いて、伝えていけるかを考えながら演奏しています」。千住と共演する『クロイツェル』の披露も今回のコンサートの見どころだ。「ピアノとヴァイオリンが対等に対峙するこの楽曲は、彼の金字塔のひとつ。その後“ヴァイオリン・ソナタ”と呼ばれる形式を確立した歴史的な曲でもあります。今回のプログラムは3部構成で、第1部最初の『悲愴』から第3部最後の『熱情』まで全て、28歳から34・5歳までの約7年間に書かれたもの。聴力を失いながら作曲家として生きる決意をし、私たちもよく知る名曲を次々と生み出していった時期で、『クロイツェル』は作曲順でもちょうど真ん中にあたるため、千住さんに登場頂く第2部で演奏するにもぴったりだと考えました」。プログラムには、耳の病を乗り越えていったベートーヴェンと、コロナ禍を乗り越えていかなければならない私たちという現代のテーマも重ね合わせたという。「演奏会にもようやく心置きなく足を運べるようになり始めたこの時期に、人間が持っている潜在的な能力やエネルギーをひしひしと感じさせてくれるベートーヴェンの作品群から何かを感じ取って頂き、明日への活力につなげていただけたら」と力強く締めくくった。公演は5月21日(日)福岡シンフォニーホール(アクロス福岡)にて。チケットは発売中。
2023年04月26日オーケストラ奏者、ソリストに室内楽奏者として幅広い活躍を続けるヴァイオリニストの石田泰尚。圧倒的な個性と美しい音色、幅広い音楽性を持つ彼が、信頼する首都圏のオーケストラ奏者を集めて2014年に結成したのが弦楽アンサンブル「石田組」である。今年は彼らが昨年8月に行った演奏会のライヴ録音CDのリリース、そして28か所を巡る全国ツアーが決定し、さらに話題を集めそうだ。「現在60人ほどの“組員”がいますが、ツアーでは会場ごとに違う奏者が登場し、また演奏曲目も変わります。CDの曲も演奏しますが、録音したときとは違う奏者が演奏する場合もあるのでそれぞれ違った音色をお楽しみいただけると思いますし、収録曲以外の曲も色々と盛り込む予定です」石田組のコンサートは彼らが一番大切にしているクラシックを第1部、ロックや映画音楽、演歌など様々な楽曲が第2部で演奏される。そのプログラムの幅広さと曲ごとに変わる演奏スタイルが魅力である。「演奏中は特にジャンルの違いに合わせて演奏を変えるという意識はしていませんが、演奏曲が決定したらその曲を徹底的に聴き込んで、色々な奏法、音圧を試すということはします。あとはテンポやリズムの感じ方は大きく違うので、そこは大切にしていますね。映画音楽でテンポを揺らし過ぎたらおかしいですし、ロックは頭拍が大事なのでそこはぶれないように、というところなど。あとはリハーサルで組員から提案をもらうということもありますね。ある程度の方向性を定めたら、あとは本番でその時の空気感も感じながら演奏していく…という感じです。全員がオーケストラ奏者なので、お互いの音や空気を感じて演奏するというのは慣れていますし、毎回とても楽しく演奏させていただいています」今回リリースされるCDもハードロック・バンドのレインボーやクイーンの楽曲に「ニュー・シネマ・パラダイス」などの映画音楽を経てヴィヴァルディの「4つのヴァイオリンのための協奏曲」、バルトークの「ルーマニア民俗舞曲」などが演奏される色彩豊かなプログラム。改めて石田組の音楽性の広さ、その音色の多彩さを実感できることだろう。CD、生演奏両方でそれを堪能してほしい。なお、ツアーでは時々組長がサプライズをしかけることもある。それが何かを目撃すべく全国追ってみるのも楽しいかもしれない。「今回のツアーでは石田組として初めて北海道、秋田、仙台、福島、京都、佐賀、熊本、鹿児島を訪れます。色々なジャンルをお届けしますので、多くの方にお楽しみいただけるはずです。まずはぜひ一度お越しいただければ嬉しいです」
2023年04月19日4月、「音楽堂ホリデーアフタヌーンコンサート」に出演するチェロの佐藤晴真。意外だけれど、神奈川県立音楽堂にはこれが初登場。しかし実は佐藤、この音楽堂を設計した建築家・前川國男のファンなのだそう。「木のホール」として親しまれる神奈川県立音楽堂は、前川の設計で1954年に開館。日本で初めての本格的な公立音楽ホールだった。「東京文化会館はじめ、前川國男さんの作った空間で弾くのは、演奏とは別の視点の楽しみがあります。コンクリート打ち放しも当時の前川建築の特徴のひとつですが、コンクリートという重たいイメージが、滑らかなカーブを描いて、柔らかで軽やかな印象になる。素材と質感のギャップに魅力を感じています」コンサートはピアニスト谷昂登との共演で、バッハ《無伴奏チェロ組曲第3番ハ長調》、シューベルト《アルペジオーネ・ソナタ イ短調》、プロコフィエフ《チェロ・ソナタ ハ長調》と、ハ長調でイ短調をサンドした、きれいな平行調の構成のプログラム。「谷君との本格的な共演は今回が初めて。曲選びは毎回、誰と弾くのかを同時に考えます。彼の、まるいのに重い音がプロコフィエフにぴったりだと思い、まずそれをメインにすることに決めました。プロコフィエフのソナタは、すごくメロディックでロマンティック。懐が深いというのか、近代の作品ではありますけど、意外と聴きやすい作品だと思います。室内楽の枠組みの中で、でもシンフォニックに作られていて、そのバランスが、谷君の音と繋がるように感じました」ピアノとのアンサンブルに期待するのは、駆け引きならぬ“満ち引き”だという。「満ち引きというか、互いの会話、反応ですね。主役は音楽。その中で互いの反応合戦みたいな感じ(笑)。それによって音楽が一体となって完成するイメージです」日本のチェロ界の若きトップランナーは進化を続けている。コロナ禍を経て、音楽、演奏という営みが何百年も続いている奇跡に、あらためて感慨を覚えるようになったと、力みなく語る。「以前は漠然と舞台に立って、当たり前のように演奏していた。それが一度すべてストップしたことで、その文化の素晴らしさを日々再認識しています。音楽を楽しむ人、楽器を作る人、作品を作る人、それを楽譜として残す人……。演奏家の今も、さまざまな人々の営みの長い歴史の中にあるし、これからも続いていく。さらに大事に取り組もうと思うようになりました」深い、確かなまなざし。(宮本明)
2023年03月31日外山啓介が昨年より行なってきたモーツァルト、ベートーヴェン、ショパンの3つのソナタを軸とした「《3つのソナタ》外山啓介 ピアノ・リサイタル」が3月26日に神奈川県立音楽堂にて開催される。「このプログラムはおそらく最後」と語るリサイタルを前に、外山に話を聞いた。モーツァルトのピアノ・ソナタ第11番「トルコ行進曲」、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第12番「葬送」、ショパンのピアノ・ソナタ第2番「葬送」を軸にした今回のプログラム。3人の偉大な作曲家によるソナタの“つながり”に、外山は以前から興味を持っていたという。「モーツァルトの『トルコ行進曲』は、ソナタでありながらソナタ形式ではなく、第1楽章に変奏曲を置くという新しい試みをしています。ベートーヴェンも同様に第1楽章に変奏曲を置いていますが、彼の音楽を語る上で、重要なポイントがピアノという楽器の進化です。私が教えている学生が『ガラケーからスマホくらいの変化』と言っていて『なるほど』と思いましたが(笑)、ベートーヴェンというのは、楽器の進化と共に音楽の幅をものすごく広げた作曲家なんですね。『葬送』は、重いタイトルですが、どこか前向きで、死を哀しみだけでなく、苦しみからの解放のように捉えているところが魅力的だと思います。一方で同じ『葬送』でもショパンのほうが死に対する哀しみや苦しみの重み、エネルギーの大きさを感じます。モーツァルト、ベートーヴェンと比べ、ショパンって『温故知新』、古典への回帰への思いが強いんです。良い意味での折り目の正しさ――きちんと枠があるからこそ、いろんなことが引き立つという魅力を感じさせてくれます。ひと言でクラシックと言っても長い歴史があり、その中で、過去の作曲家にリスペクトを表しつつ、自分なりの新しいものを生み出していくという姿勢に僕自身、感動を覚えていますし、3つのソナタを続けて聴くことで時代が巡っていることの面白さを感じていただければと思います」。ベートーヴェンのソナタとショパンのソナタの間には、ショパンのプレリュード第15番「雨だれ」、「ノクターン第7番」、「第8番」が組み込まれる。「ショパンのソナタが変ロ短調なので、そこにつながるもので始めたくて入れたのですが、『雨だれ』から『ノクターン第7番』へのcis-moll(嬰ハ短調)とDes-dur(変ニ長調)の流れは、今年のプログラムでも一番うまく組めたんじゃないかと思っています。そこから最後のソナタにつながっていく流れもすごく美しいのでぜひ聴いていただきたいです」昨年から行なってきたこちらのプログラムだが「おそらく、今回が最後になる」とのこと。「プログラムって決める時が一番楽しいんです(笑)。このプログラムにも随分苦しめられましたし(苦笑)、同時に救われもしました。これまでの経験を活かした熟成されたプログラムになると思いますので、ぜひ楽しんでいただけたらと思います」。文:黒豆直樹
2023年02月20日神奈川フィルハーモニー管弦楽団と京都市交響楽団でコンサートマスターとして活躍する石田泰尚(いしだ やすなお)が2014年に企画・結成した弦楽アンサンブル「石田組」。彼らのアルバム『石田組 2023・春』が、満を持して4月26日(水)にリリースされる。「石田組」チケット情報また、アルバムの発売を記念した全国ツアー「石田組ツアー2023/2024『石田組』」のスケジュールも発表。5月3日(水・祝)の兵庫公演を皮切りに、北海道から九州まで全国各地での開催を予定している。「石田組」は、プログラムによって様々な編成で演奏をするスタイルを取っている。メンバー=“組員”は、“石田組長”こと石田泰尚が信頼を置く、首都圏の第一線で活躍するオーケストラメンバーを中心に公演ごとに召集。レパートリーはクラシックから映画音楽、ロックまで幅広いジャンルの名曲の数々を掲げ、組員各々の演奏スタイルが最大限に活きるプログラムが各地で設定される。目の前の公演、その時間、瞬間を最も大事にする石田泰尚が放つ緊張感に、卓越した技術で応える組員たちが創り出す、研ぎ澄まされた空間“ライヴ”に魅了されるファンが増幅中。ぜひ一度、「石田組」を体験してほしい。全国ツアーのチケットは順次発売開始。出演メンバーやプログラムも、決まり次第公式サイト()で発表されるのでチェックを!<石田泰尚よりメッセージ>聴いてくれるお客さんが一人でもいてくれる限り、目の前の1公演に全力投球です。仲間の素晴らしい演奏をぜひ聴きにきてください。
2023年01月31日桐朋学園大学ソリストディプロマコースを経て、ザルツブルク・モーツァルテウム大学在学中にミュンヘン・フィルハーモニー団員となった三井静。国際コンクールでの入賞も重ね、ソリストとしても圧倒的な存在感を示す彼が、ヨーロッパのオーケストラ奏者となった経緯を尋ねた。「プロになることを目指してから師事した最初の2人の先生がオーケストラに所属していたため、自然と自分も将来はオーケストラ奏者になるだろうと思っていました。また、父親が大のクラシックファンであったため、幼少期から演奏会やCD、レコードで交響曲などを耳にする機会が多く、特にオーケストラに馴染みが深かったのも大きいかもしれません。留学中、ソロの演奏活動に専念している時期もオーケストラで弾く事を見据えて勉強していました」三井が留学先に選んだのはオーストリアのザルツブルク。同地を選んだのはなぜだったのだろう。「1番の理由としてはハーゲン弦楽四重奏団のチェリストであるクレメンス・ハーゲンさんの下で勉強がしたかったからです。また、チェリストにとって重要なレパートリーはバッハ、ベートーヴェン、シューベルト、ブラームスとドイツ語圏の作曲家のものが多く、せっかく留学するなら自分の目でその地を見て、空気を感じたいという気持ちもありました。実際に行ってみないとわからないことは多く、同じ国でも都市によって守っている伝統や奏法が微妙に違うことも知ることができました。例えばモーツァルトの演奏スタイルが距離の近いウィーン、ザルツブルク、ミュンヘンで全く違ったのには驚きましたね」そんな彼が文化庁新進芸術家海外研修生としての成果を発表する作品として選んだのはハイドンの「チェロ協奏曲第2番」。コンクールやオーディションでよく演奏される、チェリストの必須曲だ。「奏者の技量だけでなく、度胸やトラブル処理能力も分かるのでオーケストラのオーディションでは必ず課題曲に入ります。しかし、まず音楽としてとても素敵な曲で、古典らしいリリカルさとチェロの明るく澄んだ高音の音色のコンビネーションは他の協奏曲にない魅力です。ハイドンはとても好きな作曲家の1人なので、この曲の持つ魅力を、ぜひこの機会に多くの方にお届けできたらと思い選曲しました。普段はドイツで演奏活動をしているため、久しぶりに日本のお客様の前で協奏曲を弾ける事をとても楽しみにしています。今後もチェリストとしてさらに成長していけるよう研鑽を重ね、音楽が持っている人間的な深みも伝えられる演奏家になっていきたいです」取材・文:長井進之介
2023年01月30日東京藝術大学をご卒業後、すぐに東京都交響楽団の首席ファゴット奏者に就任し、オーケストラ奏者として活躍中の長哲也。オーケストラに所属しながらリヨン国立高等音楽院の大学院に留学し研鑽を積んだ彼の学びと音楽とのかかわりについて尋ねた。「プロのオーケストラ奏者になる事は、子供の頃の漠然とした憧れでした。先生をはじめ、周囲の方々、そして家族のサポートがあり、運良く夢を叶える事ができました。オーケストラ奏者として活動できている事は本当に嬉しく、やり甲斐があります」夢を叶えたあとに海外への留学を決断したのはどのような背景があったのだろうか。「もともと大学卒業後に留学を検討していたのですが、都響に入団することができ、一度計画は白紙になりました。オーケストラ奏者として余りにも足りないことが多く、まずはオーケストラ奏者として充分経験を積みたかったのです。その後、経験を重ねてできることが増えつつも、新たな課題も見えてきました。そのような時期に、Carlo Colombo先生(リヨンオペラ首席ファゴット奏者、フランス国立リヨン高等音楽院教授)と出会い、彼の音色や音楽性、そして人柄に感銘を受け、留学を決意したのです」2019年から文化庁新進芸術家海外研修生として過ごしたリヨン高等音楽院の大学院ではどのようなことを得ることができたのだろう。「Colombo先生のレッスンはもちろん、リヨン国立オペラで彼の演奏を聴いたりする事で、数年間のオーケストラ演奏活動の中で直面していた自分の演奏上の課題の解決の糸口を少しずつ見つけていくことができ、本当に充実した日々でした」今回の演奏会ではその留学で学んだこと集大成ともいえるものが聴けることになる。ファゴットとオーケストラ(弦楽合奏)の共演曲となると曲が限られてくるが、今回ヴィラ=ロボスの「7つの音のシランダ ~ファゴットと弦楽合奏のための~」を選んだ理由は何だったのか。「まずはフランスに関わりのある作曲家の作品を演奏したいという想いがありました。また、ブラジルからフランスに渡り新しいスタイルを探求したヴィラ=ロボスの姿が、日本からフランスへ留学した私自身と重なった事も理由です。ファゴットコンチェルトの演奏機会はかなり稀なので、今回の演奏でお客様にファゴットの魅力をお伝えできればと思っています。そして今後はフランスでの研修で得た経験を、オーケストラでの活動はもちろん、室内楽やソロ演奏も積極的に行い、活かしていきたいです。私自身が2014年のオーチャードホールでColombo先生の演奏に初めて触れて感激したように、聴きにきてくださった方々の記憶に残る演奏をしたい、というのが目標です」取材・文:長井進之介
2023年01月30日パリ国立高等音楽院サクソフォーン科、さらに室内楽科および即興科で学んだサクソフォーン奏者の袴田美帆は、現代音楽や即興演奏など幅広い演奏活動を行っている。美術館や歴史的文化施設で新たな空間芸術を創造するなど、音楽の新しい可能性に挑み続ける彼女がパリを選んだのは必然ともいえるものであった。「もともと“芸術の都”パリに憧れがあり、神戸大学で学んでいるときに同地への交換留学が決まりました。せっかくならサックスも続けたいと思ったところ、向こうでは大学と音楽院の両立が可能ということを知ったので、まず地方音楽院を受験したのです。日々のレッスンや授業など、何もかもが新鮮な毎日の中、“できるところまでやろう”と、その年にパリ国立高等音楽院を受験しました。学費の安さや美術館やコンサートに学生料金で気軽に行けること、なにより新しいことにどんどんチャレンジ出来る自由な雰囲気は、パリならではの魅力だと思います」袴田の幅広い音楽活動はアートマネジメントも学び、様々なコンサートの企画もしてきたことも大きいようだ。「神戸大学は芸術を多角的に学ぶことができるのですが、そこで今もお世話になっている藤野一夫教授のアートマネジメントの授業に出会い、“私がやりたいのは芸術と社会を繋げることだ!”と感じたのです。早速1年生の夏から子どもコンサートを企画するゼミに入れて頂き、“どこで”、“どんな音楽を”、“誰と共有するか”という視点を持ち始め、様々なアートプロジェクトの企画・運営のお手伝いをさせて頂くようになりました。 今後は、歴史文化施設や産業遺産等を利用し、地域文化振興に繋がる企画作りに挑戦したいと思っています」常に挑戦の姿勢を崩さない袴田が文化庁新進芸術家海外研修生の成果発表に選んだ作品はトマジの「サクソフォーン協奏曲」だ。「オーケストレーションが美しく迫力があり、各楽器がそれぞれのシーンを鮮やかに彩る、幻想的で物語のような作品です。いつかオーケストラと演奏したいと憧れていました。文化庁の皆さまをはじめ、たくさんの方に支えて頂いた8年間の留学生活の集大成となるよう、感謝の気持ちを込めて演奏いたします」すでに活発な活動を展開している袴田だが、今後の目標についても尋ねた。「“音楽と社会を繋げるサクソフォニスト”として、多くの人が音楽を通して、新しい発見や挑戦をするきっかけ作りがしたいです。アウトリーチやワークショップ、地域振興に繋がるプロジェクトなど、まずは自分の地元から開催していければと思っています。また若手奏者のみなさんや、進路に迷う学生さんやご家族のサポートも積極的にしていきたいですね」取材・文:長井進之介
2023年01月30日ソリストとして、さらに室内楽奏者としても活躍の幅を広げ、昨年からは東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校にて非常勤講師を務めるピアニストの大崎由貴。東京藝術大学を卒業後、彼女が研鑽の地として選んだのはザルツブルクのモーツァルテウム大学であった。「大学を卒業したらヨーロッパで一から学び直したいという想いを持っていたタイミングで、偶然地元の広島でジャック・ルヴィエ先生のマスタークラスを受講させて頂く機会がありました。そこで先生が自分で課題だと感じながらもなかなか修正しきれずにいた部分を一瞬で見抜き、求めていた方向へ導いてくださったのです。またレッスンの中で先生が隣のピアノで弾いてくださる際の音楽が私の理想とぴったり合致していて…。ほとんど一瞬で心が決まり、マスタークラスの最終日には緊張しながら、“モーツァルテウムで先生のクラスに入りたいです”と伝えたことを今でも覚えています。その後無事入試に合格し、ザルツブルクへ留学が決まったときはとても嬉しかったですね」指導者として後進を育成する中で、自らの演奏にも影響するところはやはり大きいのだろうか。「レッスンで何かを伝える際、自分の中では感覚的にわかっていることも言葉にしてわかりやすいように話すことで、自分の中で様々なことが明確化されるので、自分の演奏にも大きな影響があります。さらに学生とのコミュニケーションを通じて、より良い演奏ができるようになりたいという真摯な熱意に心打たれることも多く、それが自分自身の演奏の原動力の一つになっています」文化庁新進芸術家海外研修制度研修員としてザルツブルクで学んだことを発揮する曲として大崎が選んだのはラフマニノフの「ピアノ協奏曲第2番」。名曲中の名曲を選んだ理由を尋ねた。「何度聴いても素晴らしい名曲で、私自身はもちろん、この曲を大好きな方は沢山いらっしゃると思います。“この曲を自分らしく表現したい”、“お客様とこの感動的な作品を一緒に楽しみたい”と思い選びました。また、2023年はラフマニノフ生誕150周年ということもあり、アニバーサリーイヤーを演奏でお祝いしたいという想いもありました。スケールの大きな作品ですが、今回は抒情的な部分や、ロシアの冷たい空気を感じさせるような繊細な美しさに特にこだわって表現したいと思っています」最後に今後の目標について伺った。「様々な方との出会いや経験を通じて得たことを音として表現できる音楽家になりたいです。そして音楽や作品の美しさを、聴いてくださる方と一緒に愉しんでいきたいと思っています」取材・文:長井進之介
2023年01月28日ソリストの個性と優れたテクニック、指揮者や奏者たちとの生きたコミュニケーション、そしてオーケストラの豊かなサウンドを楽しむことができる、協奏曲の世界。2月8日に東京オペラシティコンサートホールで行われる「明日を担う音楽家たち2023~新進芸術家海外研修制度の成果」では、異なる楽器を奏でる4人の若きソリストがステージに立つ。彼らはいずれも厳しい選考を突破してチャンスを掴み、文化庁の「新進芸術家海外研修制度」により海外で研鑽を積んだ、気鋭の奏者ばかり。それぞれが憧れのコンチェルトのレパートリーをもって、角田鋼亮指揮、新日本フィルハーモニー交響楽団と共演する。レアな作品から有名曲まで、オーストリア、フランス、ブラジル、ロシアをめぐる、バラエティに富んだ4つの協奏曲が揃った。チェロの三井静は、オーストリアのザルツブルク・モーツァルテウムとウィーン市立音楽芸術大学で学び、現在は、ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団のチェロ奏者として活動する。彼が研鑽を積んだ地、オーストリアが誇る大作曲家、ハイドンのチェロ協奏曲第2番で、優美で気品あふれる音楽を披露してくれる。袴田美帆は、2022年にパリ国立高等音楽院修士課程を修了、現在も同音楽院の室内楽科と即興科でさらなる研鑽を積みながら活動するサクソフォーン奏者。演奏するのは、20世紀フランスの作曲家、アンリ・トマジの作品。彼女より約100年前にパリ国立音楽院で学んだいわば“先輩”の手によるサクソフォーン協奏曲で、楽曲への共感を示してくれることだろう。東京藝術大学卒業後、フランスのリヨン国立高等音楽院大学院を修了した長哲也は、現在、東京都交響楽団の首席ファゴット奏者として活動する。彼が選んだのは、ブラジルを代表する20世紀の作曲家、ヴィラ=ロボスの「7つの音のシランダ~ファゴットと弦楽合奏のための~」。演奏機会の少ない隠れた名曲を生演奏で聴くことができる、貴重なチャンスだ。大崎由貴は、東京芸術大学ののちザルツブルク・モーツァルテウムで学んだピアニスト。これまでにもソリストとして国内のオーケストラと共演してきた彼女は、今回、ロマンティックな音楽が広く愛されるマスターピース、ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番を演奏する。壮大なスケールの音楽、華麗なピアノのテクニックを存分に味わうことができるだろう。フレッシュなソリストたちが、ヨーロッパの空気を吸い、文化を生き、音楽を学んできた成果を披露する、一夜限りの華やかなコンサートとなりそうだ。
2023年01月13日ヨーロッパで高い人気を誇るピアニスト、マルティン・ヘルムヒェンが来日する。12月19日、20日の2日間、東京都交響楽団の定期演奏会にソリストとして出演、エリアフ・インバルの指揮でベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番「皇帝」を弾く。ヘルムヒェンは1982年ベルリン生まれ。ドイツのハノーファー音楽大学で学び、2001年のクララ・ハスキルコンクールの優勝後に演奏活動を開始している。ソロではシューマン、モーツァルト、ベートーヴェン、シューベルトなどの作品を中心にCDを数多く発表。室内楽にも熱心で、ベートーヴェンのヴァイオリンソナタを全曲録音している。2019~20年にベルリン・ドイツ交響楽団とベートーヴェンのピアノ協奏曲全5曲をアルバムリリースし、グラモフォン・アワードを受賞した。聴いてみると、ピアノパートに出てくるシンプルな音階が、ヘルムヒェンが弾くと輝くように美しく正確で、豊かな音楽になっていることに気づく。余計な装飾がなく完成されたベートーヴェンの書いた音を、圧倒的なテクニックで引き締まった演奏として聴かせる。そんなヘルムヒェンのピアニズムは、大理石のギリシャ彫刻のような存在感があり、独創的な解釈が聴き手を魅了する。指揮のエリアフ・インバルは、イスラエル出身。1991年に東京都交響楽団と初共演して以来、マーラーやショスタコーヴィチなど数多くのライブCDを録音してきた巨匠だ。特別客演指揮者、プリンシパル・コンダクターを経て、現在は都響の桂冠指揮者をつとめている。きわめて高度な演奏力を誇る都響は、難易度の高い要求をインバルが出してもきっちりと音にしてくれることは間違いない。そこに40歳と、演奏家として脂がのっているヘルムヒェンが、ベートーヴェンで正面から組み合う。ピアノとオケの音が端正に、まばゆく、火花を散らしながら疾走する様子が思い浮かぶ。相当に聴きごたえのあるコンサートとなりそうだ。チケットは、好評販売中。(文・音楽ライター山本美芽)
2022年11月10日自由で開放的な音楽。この人が日本びいきなのはうれしい。5月に続いて来日したチェロ奏者のミッシャ・マイスキー。1986年の初来日以来、これでじつに53回目の来日だという。今回の目玉は東京と名古屋でのJ.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲全曲演奏。全6曲を第1、4、5番と第3、2、6番に分けて2日間で弾く。曲ごとの調性の組み合わせや、舞曲の構成の違いなどを吟味して割り振っているのだが、「1+4=5」「3×2=6」という数字遊びも気に入っているそう。東京公演の2日目を聴いた[10月31日(月)サントリーホール]。第3番の冒頭〈プレリュード〉からいきなり豊かな歌が始まる。生き生きと、そしてときに床を足で踏み鳴らしながら激しく。大胆なルバートを用いることもためらわないが、“弾き飛ばす”ようなところは一小節もない。彼はこう言っている。「よくエモーショナルな演奏と言われるけど、こだわりを持って細かく読み込んでいるからこそ自由がもたらされる。それが音楽だと思うんだ」〈サラバンド〉の前で少し間を空けて弾き始めるのは3曲とも同様。この緩徐楽章の深い表現、とくに第2番のそれには心を打たれた。熱演で汗をかくからか、1曲ずつシャツを着替えて出てくるのも彼のスタイルだ。おしゃれ。そしてじつは、アンコールが大きな見どころだった。正直、3曲の無伴奏チェロ組曲だけで大満足。アンコールはなくてもいいのではと感じていたのだけれど、別趣向のサプライズが用意されていた。無伴奏リサイタルなのにアンコールだけ意外にもピアノが用意され、スラリとしたイケメンの若者が現れた(当然のように着替えて出てきたマイスキーとお揃いのシャツ)。マイスキー家には6人の子供たちがいる。その次男のマクシミリアン君だ。「4歳の時に最初に日本に来た彼がもう18歳だよ」とマイスキー。長女リリー(ピアノ)や長男サーシャ(ヴァイオリン)がすでにデビューしているが、マクシミリアン君も続くのだろう。長くしなやかな指で美しい音を奏でた。弾いたのはすべてバッハで、チェロ・ソナタ第3番(3楽章すべて!)、コラール前奏曲 《いざ来たれ、異教徒の救い主よ》、《G線上のアリア》を、30分ほどたっぷり。ほぼコンサート第2部だ。愛息のサントリーホール・デビューを飾る父子共演に、客席もスタンディングオベーションで応える。ハロウィンの夜のサントリーホールが親密であたたかな雰囲気に包まれた。(取材・文:宮本明)
2022年11月08日東京芸術劇場の注目企画「VS」の第5弾は阪田知樹VS高木竜馬[11月10日(木)]。二人のピアニストが相対するシリーズ。今回が一番の「VS」かもしれない。阪田と高木が選んだのはリストとタールベルク。1837年、パリの聴衆の人気を二分していた彼らが競演した「対決」は音楽史のエピソードとして有名だ。つまり、今回のテーマそのものが「VS」なのだ。高木に聞いた。「歴史上の実際の『VS』を現代に蘇らせる。すごく面白いですよね。でも、ヴィルトゥオーゾの二人のピアニストですから、どの曲もすごく難しいです。特にリストの《悲愴協奏曲》は、2台ピアノの域を超えて、お互いのソロが重なり合うような作品。久しぶりに血がたぎっています(笑)」同世代の二人。高木は1992年生まれ、阪田が1993年生まれ。「阪田さんはいつも楽屋がとても賑やかになるほど、ずっとしゃべっています(笑)。それが音楽に関することばかりで、知識量に圧倒されます。ピアノ曲だけでなく、オペラやオーケストラ曲にも造詣が深い。僕も、指揮を勉強していたこともあって、オーケストラ曲を好んで聴きます。なので、僕たちが2台ピアノを弾く意義のひとつとして、大編成のオーケストラが弾いているようなサウンドを出したい。二人で深めていけたらなと考えています」多彩な響きは2台ピアノの醍醐味だ。「2台のピアノが1+1=2ではなく、100にも200にもなる。二人の音楽性が同じ方向ならもちろん楽しいですし、それが違っても、新しい解釈が得られるので、リハーサルの時からとても刺激になって楽しいんです」二人の共演はこれが2度目。今年6月に一度、3台ピアノを弾いた。「こちらの音をものすごく聴いてくれるので、とても自然に呼吸を共有できます。その一方で、本番特有のスパークも眩いばかりです。昨年のエリザベート王妃国際コンクールでのリストのソナタも凄まじい演奏でした。置いていかれないように頑張ります!」生で聴くタールベルクはレア。高木がソロで弾く《エジプトのモーゼの主題による幻想曲》は、史実の二人の対決時に実際に弾かれた曲だ。「ヴィルトゥオーゾな広がりのなかに詩情があって、初めて聴く方にも楽しめる要素が散りばめられています。その魅力を届けるのが僕の責任。阪田さんとバトルなのか一緒に盛り上がるのか、火花が散るような演奏をしたいと思います。ぜひ会場で、それを直接感じてください」(宮本明)
2022年10月26日株式会社オーパス・ネクスト主催、『CHAMBER MUSIC PLAYERS OF TOKYO《浄められた夜》国内屈指の室内楽プレイヤーによる弦楽六重奏』が2022年11月1日 (火)にHakuju Hall(東京都渋谷区富ヶ谷1-37-5(株)白寿生科学研究所本社ビル 7F)にて開催されます。チケットはカンフェティ(運営:ロングランプランニング株式会社、東京都新宿区、代表取締役:榑松 大剛)にて9月17日(土)17:00より発売開始です。カンフェティにて9月17日(土)17:00よりチケット発売開始 公式ホームページ 大阪フィルコンサートマスター須山暢大を中心に、国内外で活躍する少数精鋭が集結。弦楽六重奏の珠玉の名曲を、重厚な弦楽器の響きと、生命感あふれる演奏によって、クラシック音楽初心者からマニアまでが楽しめる演奏会をお届けします。【プログラム】リヒャルト・シュトラウス /《カプリッチョ》シェーンベルク /《浄められた夜》Op. 4(弦楽六重奏版)チャイコフスキー / 弦楽六重奏曲ニ短調 Op. 70《フィレンツェの思い出》公演概要『CHAMBER MUSIC PLAYERS OF TOKYO《浄められた夜》国内屈指の室内楽プレイヤーによる弦楽六重奏』公演期間:2022年11月1日 (火)18:15開場/19:00開演会場:Hakuju Hall(東京都渋谷区富ヶ谷1-37-5(株)白寿生科学研究所本社ビル 7F)■出演者Vn 須山暢大・小林壱成Va 横溝耕一・多井千洋Vc 伊藤文嗣・伊東裕■チケット料金一般:4,000円学生:1,500円※学生証をご持参下さい。(全席自由・税込)主催:株式会社オーパス・ネクスト協賛:(一財)100万人のクラシックライブ 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2022年09月21日ピアニスト横山幸雄が2013年にスタートした「ベートーヴェン・プラス」のシリーズ8回目[9月18日(日)東京オペラシティコンサートホール]。ベートーヴェンを軸に、他の作曲家とのさまざまな接点を探る旅だ。午前中から夕方まで続くボリュームたっぷりのコンサート。今回は「変奏曲」をテーマに弾く。「ベートーヴェンのソナタをおおむね時系列に並べて弾いてきました。前回で全32曲を弾き終えて、でもまだ《ディアベリ変奏曲》が残っている。それで今回は変奏曲がテーマというわけです」《ディアベリ変奏曲》とJ.S.バッハの《ゴルトベルク変奏曲》を軸に、ベートーヴェンからは《エロイカ変奏曲》や、ソナタの中に変奏の楽章を持つ第23番《熱情》と第32番、さらにハイドンとモーツァルトの変奏曲を一挙に弾く。「《ディアベリ》と《ゴルトベルク》を組み合わせるのは、プログラムとしてはとてもきれいなのですが、とてつもなく大変で、発表するのをためらったぐらいです」《ディアベリ》と《ゴルトベルク》は変奏曲の歴史の金字塔。そこに《エロイカ変奏曲》も加えて変遷を語る。「《ゴルトベルク》は、バロックの時代にバッハが一人でやり遂げてしまった、芸術的な変奏曲の完成品なんですね。彼の前後にそういう作品はなく、ハイドンやモーツァルトの時代には、即興演奏の一つとして変奏が存在していた。若い頃のベートーヴェンもそういう変奏曲をたくさん作っていますが、ソナタのような真剣勝負の芸術作品としては捉えていなかった。それが《エロイカ変奏曲》で芸術作品としての変奏曲の可能性を切り開いたんです。ベートーヴェンのエネルギーが変奏曲の世界を大きく広げた。そしてあまりにも巨大な《ディアベリ》に到達する。そんな歴史がわかる、非常に良いプログラムだとは思うのですが、弾くのがめちゃくちゃ大変(笑)。これまでのシリーズの中で、間違いなく最も過酷なプログラムです」当初は作曲家生誕250年の2020年で完結予定だったシリーズ。ソナタもディアベリも弾き終え、もしかしてこれで終了?「そういうつもりではないです。終わりにしなくちゃいけない理由もない。ベートーヴェンと何かを関係づける形を見いだしながら、しばらく続けていきたいと思っています」となればゴールは没後200年の2027年か。ともあれ、横山幸雄とともに辿る「ベートーヴェン+音楽史」の旅はまだまだ続く。ご安心を。(宮本明)
2022年08月24日NHK Eテレの音楽番組「ららら♪クラシック」(2012年4月~2021年3月)のわかりやすさと楽しさはそのままに、司会の高橋克典による案内のもと、一流音楽家の生演奏を体感できる「ららら♪クラシックコンサート」。今回は「クラシック界 期待のヴィルトゥオーソ~国際コンクールの受賞者たち~」と題し、ワールドワイドに活躍する日本の若手演奏家6名による贅沢な競演をお聴きいただけます。出演者のひとり、2015年のロン=ティボー=クレスパン国際コンクールにて第3位(1位なし)、最優秀リサイタル賞、最優秀新曲演奏賞を受賞した日本の若手を代表するピアニスト、實川風(じつかわ かおる)さんにお話を伺いました。――今回演奏されるチャイコフスキーの『ドゥムカ』とは、ずいぶん長い付き合いなのだとか。中学3年生の時に先生が勧めてくれたのがきっかけで弾くようになりました。――ロン・ティボーでもプログラムに入れておられましたが、どんな曲なのでしょうか?この曲のドゥムカは「哀歌」という意味なのですが、さらにサブタイトルに「ロシアの農村風景」とあります。僕のイメージでは厳しい冬の農村から物語が始まります。極寒の季節に家の中でウオッカを飲むおじさんの歌……悲しさや、やるせなさがそこはかとなく広がっていきます。中間部はテンポを上げて、お酒の力で元気になった人々が無骨なダンスを踊り始める。そんなシーンに続いて猛吹雪が吹いてきたり、さまざまな情景が目の前に広がっていきます。オペラやバレエ音楽を切り取ったような世界が、8分くらいの間に次々と展開していく。コンクールだったりコンサートだったり、演奏するたびに新しい風景が見える曲です。――ピアノの魅力について教えてください。一人で、同時に色々な音楽の要素を表現できるところでしょうか。メロディーを弾きつつベースのラインも作り、内声のタイミングや呼吸もコントロールしながら、一人で音楽の世界を描き出せるのが魅力ですね。反面、そこがこの楽器の難しいところでもあるのですが……。僕はオーケストラが好きなので、一人ではできないことへの憧れがあるのですが、ピアノソロの素晴らしさは「この人はどういう人で何をしてくれるのか」という、“ピアニスト一人だからこそ到達できる音の世界”にあると思います。――本公演への思いをお聞かせください。やはり生のコンサートで、自分が思い入れを強く持っている曲を会場全体と共有できる時間は特別です。お客様とひとつの空間で音楽の持つ可能性を体験できたら、ということをいつも心がけています。作曲家の音符を理屈だけではなく、“ひとつの体験”として全身が満たされるような時間にできたら理想ではないかなと思っています。(文・坂井孝著)
2022年08月23日仲道郁代のライフワークであるベートーヴェン。その解釈と演奏はますます独自の深みを増している。作曲家没後200年の2027年に向けての横浜みなとみらいホールでの「ピアノ・ソナタ全曲演奏会」は、全32曲を4期(8回)に分けて弾き切るシリーズ。第II期の第3回[12月3日(土)]と第4回[2023年4月8日(土)]について聞いた。番号順に、つまりおおむね成立年代順に弾いていくのではなく、今回の全曲シリーズでは各回ごとにテーマを設け、さまざまな切り口でプログラムを組んだ。「ベートーヴェンの思考のかけらが、時を経て、さまざまな作品に現れる。その共通点をみなさまとともに感じることができればと思っています」全体のラインナップを見て気づくのは、何度か同じ曲を演奏すること。第II期で言えば、12月の第17番《テンペスト》や第23番《熱情》、4月の第8番《悲愴》は、他の回でも演奏する。「32曲のソナタの中にある、ベートーヴェンのいくつもの顔を浮き彫りにするためです。同じ曲でも切り取り方によって私の捉え方も変わると思いますし、お聴きになった印象も変わるのではないかと思います。ベートーヴェンの音楽はそれぐらい豊かな表情を内包している。一面だけの音楽ではないのですね」第3回は「テンペスト~飛翔する幻想」をテーマに、第6番、第17番《テンペスト》、第23番《熱情》、第22番、第28番を弾く。「第28番は、ロマン派の幻想曲の大もとになっている形式です。それだけではなくて、同時期の連作歌曲集《遥かなる恋人に》に込めた思い、ものすごくロマンティックな想念がこの中にもあるんですね。《テンペスト》のストーリー性、《熱情》の幻想的な情熱、第6番の演劇的なコメディのようなやりとりの気配。〝幻想〟がさまざまな形で飛翔しているというのがこのプログラムです」第4回「悲愴~はるかなる憧れ」は第3番、第18番、第8番《悲愴》、《エリーゼのために》、第31番。「悲愴と憧れという、相反する言葉ですが、《悲愴》の持つ、辛さ、悲しみの先に、前へと進もうとするエネルギーを捉えることができるプログラムです」第4回の公演前には、仲道が所有するベートーヴェン時代のピアノを弾きながらのプレトーク&コンサートも。(レプリカでなく)1816年製のオリジナルのブロードウッド。これは2公演セット券購入者限定の特典だ。見逃せない。(宮本明)
2022年08月21日