を作り上げていくテオ。どんなことがあっても揺らがない映画への熱い想いや、目的を共にする仲間を大切にする様は、舞台を愛し、星組を率いる紅の姿にも重なる。トップ娘役・綺咲愛里(きさき・あいり)演じる女優ジル・クラインとのロマンスや、礼真琴(れい・まこと)演じる絵本作家エーリッヒ・ケストナーとの友情は、ナチスが社会に暗い影を落とす緊迫した状況の中で、より温かく、強い絆として浮き立って見える。
綺咲が演じるジルは、自信を持てないレビューガールから、テオによって秘めた実力と美しさを引き出され、一躍注目を集める。ジルが内面から成長していくその様を、綺咲は初々しさをまといながら繊細に表現している。礼のエーリッヒは、柔らかい空気感。テオとは強い信頼関係を持ち、お互いに支え合っているような存在だ。また、専科の凪七瑠海(なぎな・るうみ)は、ナチス宣伝全国指導者のヨーゼフ・ゲッベルス役。
表情を変えずに淡々と、冷酷な人物として時にゾクッとするような存在感を放っている。第二幕のレビューは、“タカラヅカレビュー90周年”のステージとして、パリのレビューを中心に、華やかなムードで展開。『モン・パリ』などの名曲と共に、幻想的なシーン、ポップなシーン、ジャジーで大人っぽいシーンなど、多彩に繰り広げられていく。