今作では、鼓童の根幹を作り上げてきたベテラン、それを継承し発展させてきた中堅、これからの鼓童を担う若手の3世代でツアーを回る。「以前、『村や共同体は、4世代目からがその真価を問われる』と言われたことがあって。鼓童は今、最初の世代を直接知らないメンバー、つまりその4世代目がだんだん入ってきているんです。だからこそ60代となった第1世代が引退する前に一緒にやりたかった。その中で、先輩から後輩に伝えてもらいたいし、後輩から先輩にどんどん聞いてもらいたい。ツアーを一緒に回ることで得るものもたくさんあると思いますし。鼓童は続けることに価値が出てきていると思うので、今この舞台を通して、次の第4世代に残せるものをつくっていきたいなと考えています」。
もちろんただ受け継ぐためだけの舞台ではない。
「ここ何年か玉三郎さんに斬新で自由な舞台をつくっていただいて、さまざまなものを取り入れた今、脈々と続いてきたものをやるとどういった表現になるのかを感じたい」と言い、「3世代が揃うことで今の解釈での『道』を作る」と各世代がアイデアを出し合いながら稽古中だ。船橋自身が楽しみにしているのは何かと聞いてみると「自分が思う“鼓童のかっこよさ”を体現できる舞台なんです。