2024年10月の歌舞伎座公演「錦秋十月大歌舞伎」の『婦系図(おんなけいず)』に出演する片岡仁左衛門と坂東玉三郎の取材会が行われ、本作への意気込み、そして長年にわたり愛され続けてきたコンビについての思いを語った。『婦系図』は泉鏡花の同名小説が原作で、この度は語学者の早瀬主税(仁左衛門)とその内密の妻である元芸者のお蔦(玉三郎)の別れを描く悲恋の場面を中心とした物語を上演する。仁左衛門は2008年以来6度目の主税役、一方、玉三郎にとっては1983年以来、41年ぶりのお蔦役で、『婦系図』での共演はじめてのこととなる。早瀬主税=片岡孝夫(現・片岡仁左衛門)『婦系図』(平成8年2月南座)(c)松竹仁左衛門は、お蔦を深く愛しながらも、自分を拾ってくれた恩義ある師の命に従い、別れを切り出さなくてはならない主税という役を「しんどい役です(苦笑)」と表現しつつ「しんどい役はあんまり好きじゃないんですけど、これ(主税)は好き」とも。では、どのあたりが好きなのか? と問うと「それは申し上げません。(観客が)そこを意識されてしまうので」と静かに笑みを浮かべるが、玉三郎はそんな仁左衛門の心情を「おそらく多面的なところがお好きなんだと思います」と推察。過去に共演した同じ鏡花の『滝の白糸』の村越欣弥や『日本橋』の葛木を例に「(村越や葛木は)多面性はあまりないけど、主税はいろんな面を持っている。“芯”がある役という部分が気に沿うんじゃないかと思います」と語り、仁左衛門もその言葉に深くうなずく。一方、主税に尽くしながらも別れを告げられるお蔦について、玉三郎は「役の魅力というのはなかなか説明できないんですが……」と断りつつ、湯島天神での別れの名場面で、お蔦が主税が師から預かった手切れ金を一度は「こんなもの」と投げつけるも、最後は収め「あなたより先に死ぬまで人の髪を結って暮らします」と口にするシーンに言及。「そういう時代の人間たちというものを感じますね。先代の(水谷)八重子先生が『十三夜』をやる時に『いま、こういうのはわかってもらえないと思うのよ。でもしんみりとわかるというより、こういう人たちがいたんだな…とわかってもらうしかない』とあの時代にすでにおっしゃっていました。どっぷり共感できるかはわからないけど、『こういう恋人たちがいたんだ』と実感していただくことが大事なんじゃないかと思う」と語る。若い頃から“孝玉コンビ”として数々の名作を共につくり上げてきたふたり。印象深い共演作を尋ねると『於染久松色読販』、『桜姫東文章』、『盟三五大切』、『熊谷陣屋』などを挙げつつ「数限りないですね…」(玉三郎)としみじみ。『廓文章 吉田屋』に話が及ぶと、玉三郎は「最初は(仁左衛門が)『イヤだイヤだ』と言っていた」と明かし、仁左衛門も「(初めて演じたのは)27歳かな? まだ演じるのは無理だと思ったんだけど、喜の字屋のおじさん(=玉三郎の養父・十四代目守田勘彌)が「若い間に恥をかけ」と言ってくださって、やらせていただいたんです。『鬼門の喜兵衛』もそうで『イヤだ』って言ったのをおじさんが『やれ!』って(笑)。おじさんから受けた影響は非常に大きかったですね」とそこから役の幅が広がっていったとふり返る。若い頃から、互いに強く意見をぶつけ合うようなことはほとんどなかったというが、いまの年齢になって感じる関係性の変化を尋ねると玉三郎は「お互いを思いやる気持ちが多くなったんじゃないか? 若い時分は、ぶつかりはしないけど『あれがしたい』『これがしたい』というのがあるんです。でも、この歳になったら『何ができるか?』『何をやりたいっておっしゃるか?』と気持ちに寄り添うところが大きい。いまは『ふたりでどれだけのことをできるか?』という時期に入ったんだと思います」と語る。仁左衛門は、玉三郎との相性のよさについて「説明できないですね。なんとなくです(笑)。こういう雰囲気になれるのは、大和屋さん(玉三郎)しかいない。私にとって大切な存在です」と語り、ふたりで演じる『湯島境内』に向けて「いまの私たちを見ておいていただきたいです。半世紀以上、コンビを組ませていただいて、お客様が喜んでくださる――これは本当にありがたいことです。残念ながら体力的に衰えていく、いつまで続くか、いつまでご支持いただけるか不安でもあり、そうならないように頑張らないと……という励みにもなります。刹那、刹那を大事に生きていき、その瞬間、瞬間を見ておいていただきたいです」と静かに意気込みを口にした。取材・文:黒豆直樹<公演情報>歌舞伎座「錦秋十月大歌舞伎」【昼の部】11:00~一、平家女護島俊寛二、音菊曽我彩稚児姿出世始話【夜の部】16:30~一、権三と助十神田橋本町裏長屋二、婦系図(おんなけいず)本郷薬師縁日柳橋柏家湯島境内2024年10月2日(水)~10月26日(土)※9日(水)、17日(木) 休演※昼の部:10日(木)、22日(火)、23日(水)/夜の部:10日(木)は学校団体の来観あり会場:東京・歌舞伎座チケット情報※9/14(土)10:00より発売()公式サイト
2024年09月09日昨年、IMP.のメンバーとして念願のデビューを果たし、新たなスタートを切った影山拓也さん。音楽番組や海外の音楽フェスへの出演のほか、6月には初の単独アリーナ公演を行うなど快進撃が止まらない。目前には、初の単独主演舞台『星列車で行こう』が控えているが、出演が決まったときの想いを伺うと、ニカッと笑って「もう、びっくりしましたよ」と勢いのいい返答。坂東玉三郎演出で舞台単独初主演。「魂をぶつけるつもりで演じます」「初の単独主演っていうだけでもありえないのに、人間国宝で、女形の最高峰といわれる坂東玉三郎さんの演出でやらせていただけるなんて。すごすぎて現実とは思えないですもん。デビューした直後も実感がなかったので、実感するのは本番を迎えてからかもしれないです」熱のこもった口調からは喜びが伝わる。「お芝居することが素直に楽しいんです」と語る。「一生懸命セリフを覚えて、最初はこれを言わなきゃってなるんだけれど、だんだん頭で考えなくても自然に言葉が出てくるようになるんです。役の人生を歩めている感じがして、その瞬間がすごく好きです。舞台は生なので毎回新鮮な気持ちで演じられるのが醍醐味です。僕は頭で考えるより感覚でやっているタイプ。以前共演した渡辺えりさんからは、セリフに緩急がないというご指摘を受けて『ヘタでもいいから自分が訴えかけるように言ってみて』と、キムラ緑子さんからは『うまくやろうとしちゃダメ、魂が大事だから』と言っていただきました。だから今も、気持ち…魂をぶつけることを意識して演じるようにしています」物語は、生まれも境遇も違う3人の青年が、自分の夢を見つけるために星列車に乗車するというもの。「自分らしさとか自分ってなんだろうってことだったり、夢がなかなか見つけられないと悩んでいる方にも観てほしいです。きっと勇気づけられる作品になっていると思うので。だって、僕が台本を読んで勇気をもらっちゃいましたからね」劇中には往年の名曲が挟まれ、歌唱シーンもある。影山さんはIMP.でも曲の重要なパートを担う豊かで伸びのある歌声の持ち主だ。「玉三郎さんとの歌稽古の時に、発声法…息をどこに溜めて喉のどこで声を出すのかという仕組みまで詳しく教えていただきました。家でもひたすらやっていますが、毎日続けていると、今できたかもしれない…と思う瞬間があって楽しいです」自身は、ずっと夢見てきたものがようやく形になり始めたところだ。「メンバーにしつこいくらい言ってるのは、初心をずっと持ち続けようということ。でも、僕らいい意味で、ずっと変わらないんです。もういいだろうっていうくらい振り固め(振り付けの確認作業)するし、時間があるとすぐに『もう一回通してみようか』ってなる。ストイックというより、やらないとソワソワしちゃうからやっておこうという感じ。もはや習慣…ですよね」もともとダンスに定評のあるグループだったが、一作ごとに着実に進化しているのが頼もしい。「まだデビューして1年だということを忘れるくらいいろんなお仕事をさせていただき感謝しかありません。でも同時にまだまだだっていう貪欲さもめちゃめちゃありますよ!」『星列車で行こう』人間国宝・坂東玉三郎が往年の名曲と煌めくダンスで贈る、新たな物語。“自分がないこと”に悩む青年・太郎(影山拓也)、孤独な過去を持つ男・次郎(松田悟志)、歌舞伎俳優を目指すも道半ばの五郎(松村龍之介)…それぞれが苦悩と夢を抱き、「星列車」へ。列車は満天の星の下、彼らを未知の出来事や出会いに運んでゆく。3人はやがて、どんな未来にたどり着くのか。7月27日(土)~8月19日(月)京都・南座、8月23日(金)~26日(月)愛知・御園座脚本/真山仁演出・補綴/坂東玉三郎出演/影山拓也(IMP.)、松田悟志、松村龍之介、石井一孝ほかS席1万2000円A席8500円南座 TEL:075・561・1155かげやま・たくや1997年6月11日生まれ、東京都出身。昨年8月18日にIMP.としてデビューし、現在1stアルバム『DEPARTURE』が好評発売中。6月に行われた初の単独ライブが8月16日よりPrime Videoで配信予定。カーディガン¥35,200シャツ¥22,000パンツ¥37,400(以上ラッド ミュージシャン/ラッド ミュージシャン 新宿 TEL:03・6457・7957)※『anan』2024年7月31日号より。写真・KAZUYUKI EBISAWA(makiura office)スタイリスト・小林 新(UM)ヘア&メイク・前田彩花インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2024年07月28日歌舞伎座「八月納涼歌舞伎」(8月4日初日~25日千穐楽)第一部『ゆうれい貸屋』に出演する坂東巳之助と中村児太郎が取材に応じた。十八世中村勘三郎(当時勘九郎)と十世坂東三津五郎(当時八十助)らが中心となって、平成2年(1990年)から始まり、花形俳優が活躍する夏の風物詩として人気を博してきた「八月納涼歌舞伎」。今年も恒例の三部制で開催し、第一部では、山本周五郎の小説を原作にした『ゆうれい貸屋』を上演。幽霊との暮らしや奇想天外な「ゆうれい貸屋」の稼業など、一風変わった笑いに溢れる展開が繰り広げられる。『ゆうれい貸屋』特別ビジュアル今回、坂東巳之助が桶職弥六、中村児太郎が芸者の幽霊染次と、それぞれ父(十世三津五郎の弥六、中村福助の染次)が勤めた役々を初役で勤めることに。福助も監修として携わっている。長屋を舞台に市井の人々の哀歓を繊細に描いた、味わい深い人情喜劇の傑作に期待が寄せられる。父と同じ役どころに挑むことになった巳之助は、「親子なので、顔や声が似ている部分はあると思いますが、まったく一緒というわけではありません。身長も違えば、声が似ない部分もあるので、そういった違いはあって当然」と、自分のスタイルを追求したいと意気込みを語る。児太郎も「どうせ比べられますから」と気負いは見せず、「一番近くて、信頼している先輩ですから、胸を借りてついていければ。ぜひ、巳之助さんと一緒に作っていきたい」と、昨年の『団子売』に続きコンビを組む巳之助に全幅の信頼を寄せた。また、巳之助は、亡くなった三津五郎さんが同演目に出演した当時を「すごく楽しそうにやっていたという印象がある」と回想。「すごく真面目な人だったので、あまり見かけない姿だった。『また福助ともやりたいな』と言っていたのを覚えていますね」としみじみ語り、「それは叶わなかったので、息子ふたりで実現できれば」と思いを新たにした。そんな巳之助の言葉を受けて、児太郎も「父同士が作ってきたお芝居なので、『また見たいね』と言ってもらって、またできるように頑張りたい」と抱負をコメント。ポスター撮影の際には、監修を務める福助も立ち会ったといい、「人一倍思い入れがあるようで。巳之助とふたりで、いろいろ怒られながら、いいものにしたい」と話していた。役どころについては、巳之助が「怠け者で仕事もしないで、奥さんが出て行っちゃっても気にしない。きれいなお姉さんの幽霊にまんまとハマって『ゆうれい貸屋』という商売を始めるんですけど、働くのも幽霊任せで、ダメな男です(笑)。お客様の反感を買わないようにしないと」と解説。また、児太郎は、巳之助について「兄貴派肌で、みんなが頼る人。やる気がないと言いながら、やる気が入った時のスイッチはすごい」と、弥六とは異なる性格だと明かした。取材・文:内田涼<あらすじ>江戸は京橋。桶屋の弥六(巳之助)は、腕は確かながらも仕事もせず、すっかり酒に溺れている。女房のお兼や家主の平作が戒めるのにも耳を貸さず、遂にお兼は実家へ帰ってしまう。やがて日が暮れて、弥六の前に突如現れた美しい幽霊。成仏できず彷徨う染次(児太郎)という芸者の幽霊は、弥六を見染めると、女房にしてくれと言い寄る。戸惑いつつもまんざらでもない弥六は、幽霊との奇妙な暮らしを始める。そんな弥六と染次が思いついたのが、恨みを晴らしたい人に幽霊を貸し出す「ゆうれい貸屋」。その商いは大繁盛するが……。<公演情報>歌舞伎座『八月納涼歌舞伎』【第一部】11:00~『ゆうれい貸屋』『鵜の殿様』【第二部】14:30~『梅雨小袖昔八丈髪結新三』『艶紅曙接拙紅翫』【第三部】18:15~『狐花 葉不見冥府路行』2024年8月4日(日)~25日(日) ※休演:13日(火)・19日(月)会場:東京・歌舞伎座チケット情報()公式サイト
2024年07月22日柳楽優弥がTBSドラマ初主演、「RoOT/ルート」「王様に捧ぐ薬指」などの坂東龍汰と初共演する金曜ドラマ「ライオンの隠れ家」が、10月期に放送決定。2人は完全オリジナル脚本のヒューマンサスペンスで兄弟役を演じる。自閉スペクトラム症の弟・美路人と2人暮らしをしている兄・洸人。決まったルーティーンの中で生活する美路人に合わせ、洸人は凪のように何も起こらない平穏な日々を過ごしていた。そんなある日、2人のもとに、突如「ライオン」と名乗る小さな男の子が現れ、預からざるを得ない状況になってしまうところから物語は始まる。慣れないながらもライオンと3人で暮らしていくうち、ライオンが預けられた背景には“ある事件”が関わっていることがわかり、平穏な日々から嵐のような渦にのまれることになっていくーー。主演は柳楽優弥。弟のために平穏な毎日を過ごす青年を演じる自閉スペクトラム症の弟のために毎日を過ごす主人公の小森洸人(こもり・ひろと)を演じる、柳楽優弥。2004年に自身初の映画『誰も知らない』で、日本人初かつ史上最年少でカンヌ国際映画祭最優秀男優賞を受賞したことで、日本だけでなく世界中にその名を轟かせた。近年は「ゆとりですがなにか」シリーズなどの連続ドラマ、蜷川幸雄演出「海辺のカフカ」をはじめとする舞台に出演するほか、ディズニープラス配信ドラマ「ガンニバル」では主演を務め、コメディ作品ではコミカルな芝居も見せるなど、あらゆるプラットフォームで様々な役を自在に演じてきた。柳楽さんは今作がTBSドラマ初主演。TBSドラマへの出演も9年ぶりとなる。本作で演じる主人公の洸人は、市役所で働く平凡で真面目な優しい青年。両親を事故で亡くしてからは、自閉スペクトラム症の弟と2人で暮らしており、朝は弟と決まった時間に家を出て、退勤後も弟と決まった時間に一緒に帰るという、いつも弟に歩幅を合わせ弟のために生きている。そんな兄弟が、謎の男の子「ライオン」と出会ったことで、“ある事件”に巻き込まれ、生活が一変していくことになるーー。これまで演技で鮮烈な印象を残してきた柳楽さんが、今作では弟のために生きる穏やかな兄を、そして幼い男の子を預かってしまったことで巻き込まれる波乱に立ち向かう状況をどう表現していくのか期待される。弟を演じるのは、いま注目の若手実力派俳優・坂東龍汰柳楽さん演じる洸人の弟・美路人(みちと)を演じるのは坂東龍汰。2017年に俳優デビューし、初主演映画『フタリノセカイ』で第32回日本映画批評家大賞で新人男優賞を受賞。最近では瀬々敬久監督の映画『春に散る』へ出演、舞台「う蝕」では舞台初主演を経験し、「RoOT/ルート」で河合優実と共に地上波初主演を務めるなど、柳楽さんと同じくさまざまなプラットフォームで活躍中。TBSドラマへの出演は2023年放送の火曜ドラマ「王様に捧ぐ薬指」以来。柳楽さんとの共演は今作が初となる。美路人はコミュニケーションが苦手だったり、ある面でこだわりが強かったりする自閉スペクトラム症の青年。知覚・芸術の分野で突出したセンスを持っており、小さなアート事務所でアーティストとして働いている。ルーティーン通りの生活を送り、イレギュラーな出来事への対応が難しい美路人にとって「ライオン」がいる生活は混乱の連続だが、これまで体験したことのない日々に美路人自身も変化していく、という役どころ。謎の男の子・ライオンを演じるのは子役の佐藤大空洸人と美路人の前に現れる謎の男の子・ライオンを演じるのは、5か月にわたるオーディションで選ばれた佐藤大空(たすく)。今作でドラマ出演本数5本目。名前かどうかも謎である「ライオン」役を、無邪気に演じる。謎の男の子の正体とは? 完全オリジナルでお贈りするヒューマンサスペンス温かなヒューマンドラマと、先が読めないスリリングなサスペンス展開が心地よく絡み合い繰り広げられる今作は、完全オリジナルで描かれる。脚本は、火曜ドラマ「私の家政夫ナギサさん」や「おっさんずラブ」シリーズを手掛けた徳尾浩司と、今作が連続ドラマデビュー作となる新人・一戸慶乃が共同で担当。編成プロデュースは「私の家政夫ナギサさん」「ユニコーンに乗って」などの松本友香が担当する。キャストよりコメント到着<主演・小森洸人役柳楽優弥>坂東龍汰とは「バイブスみたいなものが似ている」今回、出演するにあたって僕が惹かれたポイントは、ヒューマンドラマという点でした。その中でも兄弟の愛や家族愛が描かれていくというところにすごく惹かれましたし、それがオリジナル脚本で描かれるというので、とても貴重な作品に参加させていただけるなと感じました。僕が演じる洸人は、市役所で働いている安定志向で等身大なキャラクターです。個性的なキャラクターではないのですが、そこに弟がいて…ライオンが現れて環境が変わっていくことで安定志向な洸人がどのようにリアクションしていくのか、その関係性・トライアングルがどういった形で表現されていくのか、今からすごくワクワクしています。弟を演じる坂東さんとは今回初めての共演ではあるのですが、初めてお会いしたときから・・・好きです。僕のほうがキャリア的には先輩ですが、感じるバイブスみたいなものが似ている方なのかなと期待していますし、心強さも感じています。今までにも兄弟の絆を描いている有名な作品がありますが、僕たちならではの良い色が出せたらと思っています。心強い兄弟とここから冬まで『ライオンの隠れ家』の世界にどっぷりと浸かって、素敵な作品にしたいという気持ち一心で一生懸命撮影に挑みたいなと思っております。ぜひご覧ください。<小森美路人役坂東龍汰>「ずっと大尊敬していた先輩…実はすごく緊張しています」オリジナル脚本で男三人の物語と聞いて、すごくワクワクしました。僕が演じる美路人は、柳楽さん演じる洸人の弟で、自閉スペクトラム症の青年です。生活の中で、強いこだわりがあったり、ある分野にすごく知識があったりします。そういった役を演じるのは、自分にとってチャレンジングだと思っています。美路人は、お兄ちゃんとずっと平穏な暮らしをしていたのですが、そこにライオンが現れたことで、大変な事件に巻き込まれていくことになります。そこにはサスペンスな展開だけでなく、笑えるシーンやかわいらしいシーンもあるので、そこをどうチャーミングに演じていこうか、今台本と格闘しているところです。さらに、今回僕のお兄ちゃんを演じるのが柳楽さん。本当にずっと大尊敬していた先輩なので・・・実はすごく緊張しています(笑)。実際にお会いしたらすごく優しくて安心しました。兄弟の絆は、海外の映画や日本でも描かれてきていますが、僕自身すごく好きな題材です。今回はそこにサスペンスが重なってきますが、その中でも兄弟の絆や繋がりは丁寧に、柳楽さんと一緒に話し合いながら、表現していけたらと思っています。一生懸命皆さまにおもしろい作品を届けられるように、これから美路人という役を生きようと思いますので、楽しみに待っていただけたらなと思います。よろしくお願いします!金曜ドラマ「ライオンの隠れ家」は10月、毎週金曜22時~TBS系にて放送。(シネマカフェ編集部)
2024年07月19日永瀬廉、坂東龍汰、前田拳太郎が参加するアニメーション映画『ふれる。』のアフレコの様子が見られる映像が公開された。本作は、『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』『心が叫びたがってるんだ。』『空の青さを知る人よ』という、心揺さぶる青春三部作を手掛けた、監督:長井龍雪、脚本:岡田麿里、キャラクターデザイン:田中将賀が贈るオリジナル長編アニメーション最新作。今回公開された映像では、秋・諒・優太という主人公を演じる3人のアフレコ姿が、初解禁となる本編シーンに合わせて映し出される。3人と「ふれる」が、一つ屋根の下で暮らす何気ない日常が見られる。また、家の縁側で笑顔でくつろぐ、3人の関係性や物語の行方が気になる本ポスタービジュアルも到着。公開初日には、オリジナルサウンドトラックがリリース予定だ。『ふれる。』は10月4日(金)より全国にて公開。「『ふれる。』Original Soundtrack」は10月4日(金)リリース。(シネマカフェ編集部)■関連作品:ふれる。 2024年10月4日より全国にて公開©2024 FURERU PROJECT
2024年07月18日歌舞伎を映画館で楽しむ映像コンテンツ「シネマ歌舞伎」の最新作『ぢいさんばあさん』のチラシ&ポスタービジュアル、予告編が、森鴎外の命日「鴎外忌」の本日公開となった。森鷗外による同名小説を原作とした本作は、幸せに暮らすおしどり夫婦がある事件をきっかけに、37年もの間離れ離れになった末に再会するというドラマチックな物語ながら、さっぱりと簡潔に洗練された短篇小説。この小説に感銘を受けた劇作の名手・宇野信夫は、原作に敬意を払いつつ潤色し、観客の心を揺さぶる良質な人間ドラマにして歌舞伎舞台化した。夫婦役をつとめるのは、片岡仁左衛門と坂東玉三郎。初々しい若夫婦と37年後の老夫婦姿を、時に愛嬌たっぷりに、時にしみじみと、息ぴったりに演じ分ける。共演には十八世中村勘三郎、中村鴈治郎、中村芝翫、片岡孝太郎らが名を連ねた。公開されたポスター&チラシの表面には、若夫婦時代のツーショットを使用。互いを慈しみ合う姿から、時の流れさえも引き裂けない夫婦の固い絆を感じさせるビジュアルとなっている。予告編では、幸せな日々がある事件を境に一変するも、37年の別離を経て感動の再会へと向かう夫婦の姿が映し出されている。シネマ歌舞伎『ぢいさんばあさん』は、2025年1月3日(金) に公開される。【あらすじ】江戸に住む美濃部伊織と妻るんは評判のおしどり夫婦。子どもも生まれ幸せに暮らしていた矢先、伊織は喧嘩で負傷した義弟の久右衛門に代わり1年間単身京都で勤めをすることに。翌年の桜が咲く頃に再会を誓い別れるふたりだったが、伊織は京でふとした弾みから同輩の下嶋甚右衛門を斬ってしまい、越前にお預けの身となり江戸への帰参が叶わなくなってしまう。月日は流れ、ふたりが離れ離れになってから37年。罪を許された伊織とるんはようやく再会の日を迎える――。シネマ歌舞伎『ぢいさんばあさん』予告編<作品情報>シネマ歌舞伎『ぢいさんばあさん』原作:森鷗外作・演出:宇野信夫出演:片岡仁左衛門、坂東玉三郎、中村芝翫、片岡孝太郎、坂東秀調、市川齊入、片岡市蔵、大谷桂三、中村鴈治郎、中村勘三郎 ほか(平成22年2月 歌舞伎座公演)公開日:2025年1月3日(金)詳細はこちら:松竹株式会社
2024年07月09日映画・音楽・舞台など各ジャンルのエンタメ通=水先案内人が、いまみるべき公演を紹介します。【水先案内人 山本益博のおススメ】若手の時代からユーミンはじめ異業種の名手とのコラボを企画し、公演で大成功を収めてきた春風亭小朝が、今回は歌舞伎の坂東玉三郎と歌舞伎座の舞台に立つ。今回の特別公演のプログラムは「落語芝居」と銘打った三遊亭圓朝作『怪談 牡丹灯籠-御札はがし-』と『越路吹雪物語』。『牡丹燈籠』では、落語の高座と歌舞伎の芝居が舞台でコラボするらしい。『越路吹雪物語』は春風亭小朝の新作落語だが、落語の口演中に、越路吹雪に扮した坂東玉三郎が歌うという趣向が入るという。歌舞伎の舞台でもない、落語の高座でもない不思議なコラボ、この公演から新しい芸能のパワーが生まれることを期待したい。<公演情報>『坂東玉三郎×春風亭小朝 歌舞伎座特別公演』7月25日(木) 東京・歌舞伎座【演目】一、落語芝居『怪談 牡丹燈籠』(かいだん ぼたんどうろう)-御札はがし-坂東玉三郎春風亭小朝二、『越路吹雪物語』(こしじふぶきものがたり)坂東玉三郎春風亭小朝詳細はこちら:
2024年07月05日アニメーション映画『ふれる。』のメインキャストに永瀬廉(King & Prince)、坂東龍汰、前田拳太郎(劇団EXILE)が決定。キービジュアルと予告編が到着した。『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』『心が叫びたがってるんだ。』『空の青さを知る人よ』という、心揺さぶる青春三部作を手掛けた、監督:長井龍雪、脚本:岡田麿里、キャラクターデザイン:田中将賀が贈るオリジナル長編アニメーション最新作。本作は、不思議な生き物「ふれる」と暮らす青年3人の心に“ふれる”物語。解禁となったキービジュアルでは、縁側でくつろぐ3人と1匹の姿が描かれ、平和な日常に見えるが、物語の広がりを感じられるデザインになっている。そして、メインキャスト3人のほか、主題歌アーティストも解禁。『映画ドラえもん のび太と空の理想郷』で声優初挑戦し、本作がアニメーション映画としては2度目の出演となる永瀬廉が、言葉でのコミュニケーションが苦手な小野田秋役。アニメーション映画への出演は本作が初めてにして初主演となる坂東龍汰が、秋が不思議な力を持つ生き物「ふれる」と出会うことで、心がつながった幼なじみ・祖父江諒役。同じくアニメーション映画初出演にして初主演の前田拳太郎が、幼なじみの井ノ原優太役を演じる。そんな主人公役3人は、全員オーディションで選ばれた。永瀬さんは「コミュニケーションの大切さ、日常生活での人とのつながりを改めて考えさせられるような作品です。年齢、世代問わず今だからこそ見ていただきたい作品になっています」とアピール。坂東さんは「オーディションを受けた際は、まさか自分に決まると思っていなかったので素直に嬉しかったです」と出演を喜ぶ。前田さんは「元々アニメーションが大好きなので、気合を入れてオーディションに参加しました。とても緊張していたのですが自然に緊張が解れて良い状態で挑めたと思います」とふり返っている。ほかにも、白石晴香(鴨沢樹里役)、石見舞菜香(浅川奈南役)、皆川猿時(脇田役)、津田健次郎(島田公平役)の参加も決定。予告編では冒頭、島で暮らす幼いころの秋、諒、優太が登場。不思議な生き物「ふれる」にまつわる島の伝承。これまでその愛くるしい姿が報じられていた「ふれる」のつぶらな瞳は一転、3人に大きな影を落とす。そして成長し、島から上京した3人は、高田馬場で「ふれる」と共に共同生活中。しかし、彼らの関係性に亀裂が入っていく様も見られる。さらに、主題歌は「YOASOBI」の書き下ろし楽曲「モノトーン」に決定。自身初のアニメーション映画タイアップ楽曲が、本作を彩る。「YOASOBI」は、「作品を通して感じた“人と人との関係性”と、自分自身が生きていく上で感じている孤独や誰かを想う気持ちと向き合いながら制作しました。世の中は日々発展していって、様々なツールでコミュニケーションが取りやすい環境だからこそ、それ故に感じる孤独と上手く向き合うことが大切だと感じているので、そういった想いも込めています」とコメントしている。『ふれる。』は10月4日(金)より全国にて公開。(シネマカフェ編集部)■関連作品:ふれる。 2024年10月4日より全国にて公開©2024 FURERU PROJECT
2024年07月05日坂東玉三郎と春風亭小朝による一夜限りの『歌舞伎座特別公演』が、2024年7月25日(木) に東京・歌舞伎座で開催されることが決定した。これまで、2023年7月の京都・南座『坂東玉三郎 夏のひととき』、2024年1月の大阪・大阪松竹座『坂東玉三郎 はるのひととき』での舞台共演が話題となり、好評を博してきたふたり。3度目の共演となる今回は、ついに歌舞伎座での公演が実現する。上演演目は、三遊亭円朝口演『怪談 牡丹燈籠』より「御札はがし」と『越路吹雪物語』。三遊亭円朝の傑作のひとつである怪談噺『怪談 牡丹燈籠』は、歌舞伎でも上演を重ね、玉三郎も演出と主演で度々手がけてきた人気作。浪人・萩原新三郎のもとへ、愛し合う娘のお露が女中お米を連れ立って毎夜訪れる。丑三つ時、「カランコロン」と響くお露の下駄の音。萩原家の下男・伴蔵とお峰夫婦はその正体を知り、家中にお札を貼り付けるが……。夏にぴったりの怪談噺を、玉三郎と小朝が高座で登場人物を演じ分けるのが見どころだ。『越路吹雪物語』は、稀代のエンターテイナー越路吹雪を題材とした小朝の人情話。小朝の語りの間に、玉三郎がシャンソンをはじめとした越路吹雪に所縁の深い曲を歌唱する構成で楽しむことができる。<公演情報>坂東玉三郎×春風亭小朝 歌舞伎座特別公演2024年7月25日(木) 東京・歌舞伎座開演18:00■上演演目:一、三遊亭円朝口演 落語芝居『怪談 牡丹燈籠』―御札はがし―坂東玉三郎春風亭小朝二、『越路吹雪物語』坂東玉三郎春風亭小朝詳細はこちら:
2024年04月17日河合優実&坂東龍汰W主演ドラマ「RoOT / ルート」より、第1話の場面写真と相関図が公開された。映画化、舞台化と展開してきたアニメ「オッドタクシー」の世界から新たに誕生する本作は、漫画「RoOT / ルート オブ オッドタクシー」で展開する若手探偵コンビの奮闘劇を基に、ドラマオリジナルストーリーを展開。第1話では、新人の佐藤(坂東さん)を引き連れ、銀行員の不倫現場を調査中の探偵の玲奈(河合さん)は、いくつかのトラブルに見舞われながらも任務を遂行。しかし、2人の背後には、不気味な影が忍び寄っていて――というあらすじ。本作は、一癖も二癖もあるキャラクターが数多く登場。そんな登場人物の関係性を一気に整理できる相関図も合わせて到着。主人公が所属する指宿探偵事務所の所長・指宿(黒田大輔)と事務員・大谷(福田温子)。調査対象のタクシードライバー・小戸川(篠原篤)。友人の柿花(政修二郎)と常連の居酒屋に足しげく通い、女将のタエ子(吉本菜穂子)とも仲がいいが、ひょんなことからタエ子と知り合った玲奈と佐藤に小戸川の素行調査を依頼したのは、タエ子。素行調査が女子高生失踪事件に繋がっていく。行方不明の女子高生・三矢ユキ(菊池日菜子)は、玲奈の高校の後輩であり、親友の花音(寺本莉緒)とも行動を共にし、同姓同名の三矢ユキ?(小林桃子)が所属するアイドルグループ「ミステリーキッス」を調査する。さらに、得体の知れない裏組織のボス・黒田(渡辺いっけい)、ドブ(三浦誠己)、ドブと犬猿の仲のヤノ(奥野瑛太)、マネージャー・山本(島谷宏之)、裏がありそうな警察官・大門(富川一人)らの存在も気になるところだ。「RoOT / ルート」は4月2日より毎週火曜日24時30分~テレビ東京ほかにて放送、Netflixにて見放題独占配信。(シネマカフェ編集部)
2024年04月02日河合優実×坂東龍汰W主演のドラマ「RoOT / ルート」より予告映像が解禁された。映画化、舞台化と展開してきたアニメ「オッドタクシー」の世界から新たに誕生する本ドラマ。公開された本予告では、冒頭、初解禁となる「Bialystocks」書き下ろしのオープニングテーマ「近頃」に乗せて、主人公2人が謎に迫っていく様が綴られていく。車の中から浮気現場の証拠を押さえようと奮闘し、時にはおしゃれに着飾って懐に入り込み、聞き込み調査も欠かさない。しかし「正直こんなに地味な仕事だとは思わなかったっすよ」と不満を漏らす佐藤(坂東龍汰)。玲奈(河合優実)はそんな後輩に「自覚して、自覚」と注意しながらも少々振り回され気味な様子。そんな佐藤を「あいつ大丈夫か?」と心配する探偵事務所所長・指宿(黒田大輔)に対し「勘は悪いけど運はありそうですね」と評価する玲奈。どこか息があっているようであっていないチグハグ探偵コンビに新たな依頼が舞い込む。依頼内容は、小戸川(篠原篤)というタクシー運転手の身辺調査。公園で友人・柿花(政修二郎)と缶コーヒーを飲み、一見なんにもない日常を送る中年男性。しかし、平凡なタクシー運転手の退屈な素行調査だったはずが自体は一変。警察官・大門(富川一人)が小戸川のタクシーを調べ「乗せたんだよ。行方不明の女子高生を」と告げる。なんてことない研修がてらの身辺調査はやがて、世間を賑わす“女子高生失踪事件”に繋がっていく…。行方不明の女子高生の写真を見て玲奈がつぶやく「ユキじゃん。これ」。そこに写っていたのは高校時代の後輩・三矢ユキ(菊池日菜子)だった。真相を探る2人の前に様々な人物が交錯。「お前、何探ってんだよ」とチンピラ・ドブ(三浦誠己)に脅される佐藤。一方玲奈は、後輩・三矢ユキを調べる中でアイドルグループ「ミステリーキッス」の存在を知る。グループには名前も年齢も同じだが別人の三矢ユキがいた。高校の同級生でキャバ嬢の花音(寺本莉緒)も巻き込み、どこかおかしい失踪事件に巻き込まれていく2人。果たして、真相に辿り着くことができるのか?後半からは、こちらも本予告で楽曲初解禁のSIRUP,SUMINによる主題歌「Roller Coaster」が流れ、不動のセンター二階堂(中村麗乃)をはじめとした「ミステリーキッス」の面々、サウナ「赤道」の地下に事務所を構える怪しい便利屋・赤道(紗羅マリー)、ドブを倒すと豪語する世直し系Youtuber・樺沢(遠藤雄斗)、二階堂ルイの大ファンのキャバクラのボーイ・今井(稲葉友)、ドブの後輩・ヤノ(奥野瑛太)、大物落語家・笑風亭呑楽(松尾貴史)、そして裏社会のボス・黒田(渡辺いっけい)も顔をそろえ、真相を探る2人とどのように交わっていくのか?物語の展開も気になるところ。予告の最後では「俺と玲奈さんバディじゃないっすか!ニコイチっすよ!ニコイチ!」と元気よく話す佐藤とは対照に、冷めた表情が印象的な玲奈との探偵事務所でのワンシーンが切り取られている。本格ミステリー調の引き締まった映像と小気味よく笑えるチグハグコンビのやりとりとの魅力的なギャップの良さも存分に溢れた予告となっている。「RoOT / ルート」は4月2日より毎週火曜深夜24時30分~テレビ東京ほかにて放送。(シネマカフェ編集部)
2024年03月07日河合優実と坂東龍汰、最注目俳優の2人がW主演するドラマ「RoOT / ルート」の放送日が、テレ東・ドラマチューズ!枠にて4月2日(火)に決定。併せて、メインビジュアルが到着した。映画化、舞台化と展開してきたアニメ「オッドタクシー」の世界から新たに誕生する本作は、漫画「RoOT / ルート オブ オッドタクシー」で展開する若手探偵コンビの奮闘劇を基にした、ドラマオリジナルストーリー。今回到着したメインビジュアルは、愛嬌ゼロの先輩探偵・玲奈(河合優実)と凶運のポジティブ新人・佐藤(坂東龍汰)による、チグハグ探偵コンビが車窓から外を伺う様子を捉えている。その姿は、ミステリアスかつ不穏な展開が待ち受ける物語の展開を予感させるもの。「この街は、どこかおかしい。」と気になる一文が添えられた2人の視線の先、窓ガラスに反射したきらびやかな街の裏に潜む闇、その視線の先に映るのは一体誰、何なのか…。探偵コンビのほかにも、ひと癖もふた癖もあるキャラクターが登場する本作。「踏み込んだら抜け出せない群像“ヒューマン”ミステリー!」とも綴られ、奇妙なタクシー運転手の素行調査から次第に大きな事件へと巻き込まれていく探偵コンビに期待が一層と高まるビジュアルが完成した。本ビジュアルはティザービジュアル同様、写真家・太田好治が撮影、土屋貴史監督がアートディレクションを務めている。あらすじ探偵事務所で働く玲奈(河合優実)は、経験ゼロのポンコツ新人・佐藤(坂東龍汰)を押しつけられ、退屈な浮気調査に。うまくいったかに思えた矢先、ドブ(三浦誠己)と呼ばれるチンピラの男によって、せっかくの証拠を奪われてしまう。意気消沈する2人だが、助けてもらった小料理屋の女将(吉本菜穂子)から、小戸川(篠原篤)というタクシードライバーの謎めいた私生活を解明してほしいという依頼を受け、汚名挽回のチャンスとばかりに動き出す。小戸川の素行調査はいつの間にか、街を牛耳るヤクザ、バズりたい大学生、脳天気な黒服、裏社会の便利屋、地下アイドルと街の人々が複雑に絡み合う、“女子高生失踪事件”へと、2人を巻き込んでいく。「RoOT / ルート」は4月2日より毎週火曜深夜24時30分~テレビ東京ほかにて放送。(シネマカフェ編集部)
2024年02月21日外でのロケから始まったこの日の取材。歩きながらの撮影の合間、カメラマンに話しかけ、しばし楽しそうにカメラ談議に花を咲かせていた坂東龍汰さん。物おじせず人懐っこいキャラクターに、取材はほのぼのムードでスタート。――先ほどカメラマンと写真の話題で盛り上がっていましたが、カメラ、お好きなんですか?坂東龍汰さん(以下、坂東):そうなんです。自分でもよく撮ります。今日のカメラマンさんは、この間僕が撮影を担当した雑誌の同じ企画で撮っていらしたので、その話をしてました。――学生時代には映像を撮ったりもされていたそうで、そういうクリエイティブなことに興味が?坂東:写真には昔から興味があって。一眼レフを手に入れて人を撮ったりしているうちに映像に興味が湧いて、学生時代には映画を撮ったりもしていました。高校3年生のときの卒業制作では、クレイアニメを撮っていましたし。――ご家族もそういうクリエイティブなことがお好きなんですか?坂東:家族みんな好きですけど、父は昔、映画監督を目指してアメリカに渡ったり、アニメーションが好きで作っていたこともあるそうで、影響は絶対にあると思います。――学生時代にやった演劇がきっかけで俳優を目指したとか。坂東:もともとは人前に立ったりすることがすごく嫌だったんです。小4から、演劇塾っていう地元の小さい劇団みたいなところに入っていたんですが、ずっと“やらされている”感覚でした。それが中3くらいになってから変わってきて、ちょっと大きい役をやらせてもらったときに演劇の楽しさを知って。高校生のときに立った舞台で、感情が自分のコントロール外にあるみたいな瞬間があって、それがすごく気持ちよかったんです。死に物狂いでセリフを覚えたり、そのときの自分の限界までやって、アドレナリンが最大限に出たんだと思います。これまでスノーボードや歌、社交ダンスといろいろやってきて、それぞれに感動したり興奮したりする瞬間がありましたけど、その中で一番がお芝居だった。これで食べていけたら幸せだなと思ったんです。――俳優になられてからは映像作品が中心でしたが、いま控える舞台『う蝕』で、久しぶりに演劇の世界に戻ってきますね。坂東:2018年に出演した岩松了さん作・演出の『三人姉妹はホントにモスクワに行きたがっているのか?』が、ほぼデビュー作みたいなもので、それ以来です。でも、舞台を避けていたわけではなくて、たまたまタイミングが合わなかっただけのこと。だから今回、機会をいただけたことが嬉しいです。と同時に、あまりに久しぶりだから大丈夫かなみたいな心配もあるんですけど…。――劇作は、現代の社会と絡めながら市井に生きる人々の心情を丁寧に描く横山拓也さん。演出は、社会的な作品を取り上げ、骨太な演出で見せる瀬戸山美咲さんです。坂東:この舞台をやるにあたって、横山さんの舞台『多重露光』と『モモンバのくくり罠』を拝見したんですが、どちらも観た後の満足感がすごかったです。とくに『モモンバ~』は、自分の境遇とリンクする部分があり、刺さりました。舞台では自給自足の暮らしを営む母親が出てきますが、僕の親も自給自足の生活をしようと北海道に来た人で、周りから見たらだいぶ変わっている家族だったから、共感する部分が多くて。会話劇でテンポよく進むけれど、緻密に計算された高度な作品だなと思いました。瀬戸山さんは『ある都市の死』を拝見して、いろんなアイデアを盛り込んで緻密にディレクションされているはずなのにすごく自由な感じがして、演劇を超えてアート作品に触れた感覚でした。そんなおふたりの世界を今度は自分が体現して届ける側になるわけですから、心して取り組まないとな、と思っています。――ちなみに坂東さんは、演出家の意向に寄せていくタイプですか。それとも自由にやりたい?坂東:どうだろう…演出家さんのやりたい方向性やテイストを、すごく感じようとするかもしれないです。現場には、自分がこうしたいっていうものは持っていきますけど、監督なり演出家さんがそれを求めているのかどうかはわからない。最初にそこを伺いながら、まずは自分のアイデアもぶつけてみることはしてますね。とはいえ、自分ひとりのアイデアだけでは到底辿り着けない場所があって。共演のみなさんや監督さんの言葉、脚本の中から、一生懸命ヒントを探っている感じです。坂東さんの出演する舞台『う蝕』は、2月10日(土)~3月3日(日)三軒茶屋・シアタートラムで上演されるほか、兵庫、愛知でも公演。劇作はiakuの横山拓也、演出にミナモザの瀬戸山美咲。共演は、近藤公園、綱啓永、正名僕蔵、新納慎也、相島一之。世田谷パブリックシアターチケットセンター TEL:03・5432・1515(10:00~19:00)ばんどう・りょうた1997年5月24日生まれ、北海道出身。2017年より活動をスタート。ドラマや映画で徐々に頭角を現し、‘22年の初主演映画『フタリノセカイ』で日本映画批評家大賞新人男優賞を受賞。2月9日公開の映画『一月の声に歓びを刻め』に出演するほか、4月には主演ドラマ『RoOT/ルート』(テレビ東京系)の放送が控える。コート¥85,800ニット¥50,600(共にMARGARET HOWELL)パンツ¥31,900(MHL.) 以上 MARGARET HOWELL/MHL. TEL:03・5785・6445ジャケット¥38,500(VETRA)スカーフ¥14,300(Fratelli Luigi)共にBshop TEL:03・5775・3266※『anan』2024年2月14日号より。写真・木村和平スタイリスト・李 靖華ヘア&メイク・後藤 泰(OLTA)インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2024年02月10日ドラマ「不適切にもほどがある!」で話題の河合優実と、「きのう何食べた?」でも注目を集めた坂東龍汰がW主演する新ドラマ「RoOT/ルート」から、個性豊かなキャラクターを演じるキャスト陣&キャラクタービジュアルが解禁となった。映画化、舞台化と展開してきたアニメ「オッドタクシー」の世界から新たに実写ドラマが誕生。河合優実本作で地上波ドラマ初主演の河合さんと、地上波連続ドラマ初主演となる坂東さんを迎え、漫画「RoOT/ルート オブ オッドタクシー」(原作:P.I.C.S./此元和津也)で展開する若手探偵コンビの奮闘劇を基に、ドラマオリジナルストーリーを描く。坂東龍汰探偵事務所で働く玲奈(河合優実)とポンコツ新人・佐藤(坂東龍汰)は、ひょんなことからタクシードライバーの素行調査を請け負うことに。簡単に見えた依頼は、街の人々を巻き込む“女子高生失踪事件”へと繋がっていく――。そんな本作で描かれる“オッド”(奇妙)な世界を彩る出演キャストと併せて、キャラクタービジュアルが一挙解禁。玲奈と佐藤が働く、指宿探偵事務所の所長・指宿役は黒田大輔。調査を助ける謎の便利屋・赤道は紗羅マリーが演じる。玲奈の高校の同級生で親友の売れっ子キャバ嬢・花音役に、世界的ヒットで大反響を巻き起こしたNetflix日本オリジナルシリーズ「サンクチュアリ-聖域-」で強烈なインパクトを残した寺本莉緒。そして、失踪した女子高生役は菊池日菜子。また、ドラマには、アニメでもお馴染みのキャラクターたちも登場する。メジャーデビューを控えた3人組アイドルグループ・ミステリーキッスのセンターで、負けず嫌いで気が強い・二階堂ルイ役に、新ヒロインを演じ反響を呼んだ「Endless SHOCK」「Endless SHOCK -Eternal-」など、数多くの舞台・ミュージカルの出演で注目を浴びる中村麗乃(乃木坂46)。大人しそうに見えて野心を秘めた・市村しほ役に伊藤友希。無邪気で天真爛漫な三矢ユキは小林桃子が演じる。加えて、マネージャー・山本役に鳥谷宏之。アイドル・二階堂の大ファンでキャバクラの黒服・今井役に、原作アニメ「オッドタクシー」の大ファンでもあり、映画にドラマ、ラジオとマルチに才能を発揮し出演作が絶えない稲葉友。そして、アニメ「オッドタクシー」の主人公で、ドラマでも事件の鍵を握ることになる、奇妙なタクシードライバー・小戸川を演じるのは、主演を務めた映画『恋人たち』でアカデミー賞新人賞をはじめ数々の賞を受賞し、実力派俳優として注目作の出演が続いている篠原篤。ほかにも柿花、ドブ、ヤノと人気キャラクターのキャストも併せて発表。大御所落語家・笑風亭呑楽を松尾貴史、黒田役を渡辺いっけいが演じるなど、実力派俳優はもちろん、アニメ「オッドタクシー」で声優を務めた「ダイアン」津田篤宏とユースケも名を連ねている。キャスト6名よりコメント到着【花音役:寺本莉緒】花音役を演じさせていただきました、寺本莉緒です。実写版オッドタクシーということで当初はどのような形になるのかわかりませんでしたが、キャストの皆様と本読みをした瞬間から新しい感覚が生まれ、撮影がとても楽しみになりました。個性豊かなキャラクターとキャストの方々に刺激を受けながら日々楽しく撮影ができました。花音の高校時代とのギャップや目まぐるしく進んでいくストーリーに是非魅了されてください!【二階堂ルイ(ミステリーキッス)役:中村麗乃(乃木坂46)】二階堂ルイ役を演じさせていただきました、中村麗乃です。お話をいただく前からアニメを拝見していたので、動物で描かれていたあの世界がどう実写化されるのかとてもワクワクしました。普段アイドルグループを中心に活動させて頂いている身として、二階堂ルイの抱えるものや葛藤に共感できる場面も多くありました。どんな風に完成されているのか、是非楽しみにしていただけたら嬉しいです。どうぞよろしくお願いいたします。【小戸川役:篠原篤】お話を頂いたとき、まずソファーに横になり穴が空くほど天井を見つめました。いったいあの小戸川をどうやって演じるんだ?脚本を読みました。そこには「オッドタクシー」に寄り添うように最高でおもしろい新たな銀河が広がっていました。あとはもう、毎日コツコツと準備を進め、撮影を楽しみました。主演のお二人がその明るい性格で現場を牽引して下さいました。先輩方のキャラクターが皆さん濃い!胸をお借りしました。土屋(貴史)監督が笑っていると場が和みました。エンターテイメントが人々の心の灯りであり続けますように。そしてきっと、ドラマ「RoOT/ルート」がその一端を担えますように。そう願っております。【今井役:稲葉友】今井役を演じました稲葉友です。世界観もキャラクターもデザインも台詞も脚本の構成も、と挙げたらキリがないですが、何から何まで「好き」にズバリとハマった作品である大好きなオッドタクシーの世界に飛びこめてとても幸せなお仕事でした。演じるにあたり今井という人と改めて向き合ってみると、なんだかもう底抜けに良いやつで愛おしく感じられました。生身の人間だからこそ感じられる面白さもギッシリと詰まっていると思います。「RoOT/ルート」是非ともお楽しみください。【黒田役:渡辺いっけい】不思議な現場でした。ひとつひとつバラバラのピースを嵌め込んでいくような撮影。ドラマとも映画とも違う空気感。「オッドタクシー」の世界が三次元に拡がっていく面白さを体感させてもらいました。ヤクザの親分を演じるのは初めてではありませんが今回は少しポップな味付けというか中々に魅力的な親分で・・主役お二人の掛け合いが見事だと伝え聞いておりますが、箸休めに親分のキャラクターも楽しんで頂ければ幸いです。【笑風亭呑楽役:松尾貴史】落語家の役を演じたのは、カメオ出演を除いては33年ぶりでした。前の時は実話に基づくもので明確なモデルがいたのですが、今回は「いそうでいない」架空の存在、どこからキャラクターの要素を持って来ようかと思案する楽しみがありました。若く才気煥発な共演の皆さんに混じって明るく楽しい現場で、どんな世界観になっているのか出来上がりを見るのが非常に楽しみです。ドラマ「RoOT/ルート」は4月、テレビ東京にて放送予定。(シネマカフェ編集部)
2024年01月31日吉高由里子が紫式部を演じる大河ドラマ「光る君へ」より、坂東巳之助、本郷奏多、塩野瑛久の扮装写真が公開された。5日連続で扮装写真を公開中の本作。ラストとなる今回は、64代~66代の天皇3人の姿が公開。巳之助さんが演じるのは、道長の姉・詮子が入内し、懐仁親王(のちの一条天皇)をもうける円融天皇。円融天皇役/坂東巳之助本郷さんが演じるのは、東宮のころから藤原為時による漢籍の指南を受ける花山天皇。懐仁親王が東宮となると、早々の譲位を画策され、大事件が起きる。花山天皇役/本郷奏多そして塩野さんが演じるのは、道長の甥で幼くして即位する一条天皇。入内した定子を寵愛するが、のちに彰子も入内し、世継ぎをめぐる政争に巻き込まれることになる。大河ドラマ「光る君へ」は2024年1月7日(日)より放送(初回15分拡大)。NHK総合/日曜20時(再放送 翌週土曜13時5分)、BS・BSP4K/日曜18時、BSP4K/日曜12時15分。(シネマカフェ編集部)
2023年12月15日坂東玉三郎が主演した泉鏡花作の舞台『海神別荘』、『高野聖』、『天守物語』、『日本橋』の4作品が10月から11月にかけて全国の映画館で上映される。9月28日(木)、記者懇親会が行われ、玉三郎が改めて鏡花作品の魅力や舞台公演の思い出などについて語った。『日本橋』より(C)岡本隆史今回上映されるのは、2009年に歌舞伎座で上演された『海神別荘』と『天守物語』、2011年に博多座で上演された『高野聖』、2012年に日生劇場で上演された『日本橋』の4作品。今回のようにまとめて上映されることを見越して撮影を行なっていたわけではなく「こういうキャストで次にいつ上演できるかと思った時、撮っておいた方がいいと思った」とのこと。特に『日本橋』と『高野聖』は劇場の制約などもあり、実際の上演では撮影できなかったため、終演後に改めて撮影をしたこだわりの映像も収録。「まさかこういう企画になるとは思ってもなかったですが、ありがたいです」と驚きと喜びを口にする。今年生誕150周年を迎える幻想文学の大家・泉鏡花。玉三郎は10歳の時、養父の守田勘弥が出演する『天守物語』で初めてその世界に触れた。当時は「遊園地感覚で見ていた」、とのことで「女形の成駒屋さん(六代目・中村歌右衛門)ばかり見ていて、申し訳ないんだけど父のほうは全然覚えていない」と苦笑交じりに明かすが、改めて、その魅力について問うと「あまりひと言では言いたくないんだけど、幻想的なところ、現世でないものが出てくるところ。めくるめく非現実な空間が渦巻いている。あまり“悪”のほうにいかないけど、全くの“善”とも言えない、人間の汚濁を嫌っている人たちが、美文でつづられているのが魅力」と語る。『高野聖』より(C)松竹株式会社決して大団円で終わりを迎えるという単純な物語とは言えないため「明治・大正の頃は、わかってもらえなかったと思う。花柳(章太郎/昭和の新派の名優で女形として鏡花作品に数多く出演)先生が現われて、やっと具現化してくれる人ができたし、花柳先生の初演の頃も理解されなかったと思う。不思議な作家です。『好き』というよりも、時を超えている日本の戯曲という感じがします。どの時代にも上演できる日本の“魂”を描いているけど、難解でポピュラーになりにくいので、役者や演出で見やすくしてあげないといけない」とも。1973年の『滝の白糸』に始まり、今回上演される4作品はもちろん、『稽古扇』、『通夜物語』、映画『夜叉ヶ池』(1979/篠田正浩監督)など、毎年のように様々な作品に出演してきた。上演回数としては『天守物語』が最多となるが、演目については「巡り合わせですね」と語る。「例えば『日本橋』は新派の俳優さんがいないと、歌舞伎の俳優だけではなかなか難しい。以前は片岡孝夫(現・仁左衛門)さんにも出てもらいましたが、主役は女だけど、それに対抗する純な男が必要なんです」と説明する。『天守物語』より(C)福田尚武共演者という意味では、今回上演される4作品のうち『海神別荘』と『天守物語』で市川海老蔵(現・團十郎)を相手役に抜擢している。当時の海老蔵との思い出を尋ねると「『(稽古で)わかんない』って言うからね(笑)。わかるまで説明するという感じでした」と明かし「もちろん、その時はその時で理解していたと思うけど、(その後)いろんなものをやって、改めて(『海神別荘』が)素晴らしい作品だったと理解しているみたいです。『こういうものはなかなかない』と。きっと(当時は)古臭い作品だと思っていたでしょう。だけども、新作をやったり、違うものやったり、書き下ろしの作品をやったりして、(鏡花作品が)バランスが取れている作品だと理解したんだと思います。(劇中で)地上の美しさを褒める時の言葉や、美女と問答をする場面の言葉の美しさとかね。他の作品と巡り合って、こんなにバランスの取れた作品はなかなか出会えないとわかったんじゃないかと思います。鏡花先生の作品は1回(セリフを)覚えるとすらすらと出てくるんですよ、すごく音楽的にできているので。やった人にしかわからないけど、そういう作家ってなかなかいないと思います。三島(由紀夫)先生のセリフもキレイだけど、幾何学的なので、違う魅力ですね」と当時の海老蔵のエピソードを交えつつ、改めて鏡花の言葉の美しさに言及した。『海神別荘』より(C)松竹株式会社各作品で衣装の美しさもまた大きな見どころであるが、玉三郎は「言葉にならないけど、衣装の魅力というものにとり憑かれているんでしょうね。なぜなのかはわからないです。着ている時は(自分の姿は)見られないので、展示会で『こんなの着てたんだ』と改めて思うんです」と衣装への情熱を口にしていた。大スクリーンでの上映は、衣裳の細部まで楽しめる。『海神別荘』、『高野聖』は10月20日(金)~11月2日(木)、『天守物語』『日本橋』は11月3日(金)~11月16日(木)に上映。取材・文:黒豆直樹<公演情報>シネマ歌舞伎「坂東玉三郎 泉鏡花抄4作品」シネマ歌舞伎『海神別荘』、シネマ歌舞伎『高野聖』2023年10月20日(金)~11月2日(木)シネマ歌舞伎『天守物語』、グランドシネマ『日本橋』2023年11月3日(金・祝)~16日(木)全国の映画館で公開出演:坂東玉三郎ほか公式サイト
2023年10月04日「錦秋十月大歌舞伎」(10月2日初日~25日千穐楽)夜の部に上演される『水戸黄門』に主演する坂東彌十郎が取材会に出席し、「肩の凝らないものを目指したい」と抱負を語った。様々な作品を通し、時代を超えて愛される『水戸黄門』は、日本各地を漫遊し、世直しを行った黄門様の勧善懲悪の物語。今回上演する「讃岐漫遊篇」は水戸光圀公(水戸黄門)が、お供の佐々木助三郎(助さん)と渥美格之進(格さん)と共に、お忍びで訪れた四国の讃岐を舞台に物語が繰り広げられる。今回は、ドラマや映画など活躍の場を広げる彌十郎が“黄門様”として親しまれる水戸光圀を初役で勤めることに。「皆さんが持っていらっしゃるイメージの水戸黄門、歴代の皆さんそうですけれども、そういうイメージに近づけられればなと。キャラクターとしては違和感のない、そして、ほっこりしてにこやかに帰っていただける水戸黄門になりたいなと思っております」と自身が目指す水戸黄門のイメージを語った。また、「子どもの頃からいろいろな方の黄門さんを拝見していました。なんとうちの父(坂東好太郎)もやってたっていうことを後から知ったんですが」と不思議な縁を明かし、「この作品には、必ず人情味のある部分が出てきます。 やはり、勧善懲悪が好きなので、最後はスッキリと終われて、なんか良かったなという気持ちでお芝居を見られる、肩の凝らないものを目指したいなと思っております」と意気込んだ。讃岐の国に自分の長男を養子に出しているという設定で、「長男と黄門様とのちょっとした確執とか、そういう親子の情愛も見ていただければ。最近、そういうほんわかした芝居が少なくなっている気もして。そういう部分を大切にやっていきたいなと思っています」とも。活躍の場が広がるなかでの水戸黄門役に「こんなありがたいことはないです。見に来てくださる方を、絶対に裏切らないようにしたいと思いますので、また彌十郎の芝居を見てみたいなって思っていただけるように、もうこれは本当に日々努力、精進するしかないと思っております」と表情を引き締めていた。<『水戸黄門』讃岐漫遊篇あらすじ>さきの中納言・水戸光圀公(水戸黄門)は、お供の佐々木助三郎(助さん)と渥美格之進(格さん)を引き連れて、お忍びで四国の讃岐にやって来ました。助三郎と格之進は金毘羅宮の境内でお蝶という美しい娘に出会いますが、お蝶が長次という男であることが露見したうえに、財布を掏られてしまいます。一方、水戸の百姓老爺に身分を偽ってうどん屋にいた黄門様は、そこで領主松平頼常に対する領民たちの不満を耳にします。実はこの頼常こそ黄門様の長男。果たして黄門様一行は藩の内部ではびこる悪の根源を成敗することができるのか。歌舞伎座『水戸黄門』特別ポスター<公演情報>歌舞伎座新開場十周年「錦秋十月大歌舞伎」【夜の部】『水戸黄門』讃岐漫遊篇作:宮川一郎演出:齋藤雅文出演:水戸光圀:坂東彌十郎松平頼常:中村歌昇うどん屋娘おそで:坂東新悟佐々木助三郎:中村福之助渥美格之進:中村歌之助娘お蝶実は九紋竜の長次:中村虎之介うどん職人茂助:澤村宗之助目付沢木源之助:中村吉之丞吉太郎妹お光:市川男寅港屋の伜吉太郎:大谷廣太郎山崎又一郎:中村亀鶴港屋辰五郎:片岡亀蔵うどん屋女将お源:中村魁春2023年10月2日(月)~10月25日(水)会場:東京・歌舞伎座チケット情報公式サイト
2023年09月30日坂東龍汰が映画単独初主演を務める『君の忘れ方』の公開が決定。ヒロインは、西野七瀬が務める。放送作家の森下昴(坂東さん)は、付き合って3年が経つ恋人と結婚間近。仕事の傍ら、結婚式の準備に追われていた。式で披露するための、思い出の写真をまとめていた昴。しかし夜になっても、彼女は帰って来なかった――。本作は、『光を追いかけて』『アライブフーン』の脚本を担当した作道雄が、亡き恋人とのラブストーリーを描いたオリジナル脚本の映画化。“死別の悲しみとどう向き合うか”をテーマに、恋人を亡くした構成作家の青年が、悲嘆の状態にある人に、さりげなく寄り添う「グリーフケア」と出会い、自らと向き合う姿を描く。「本当に素晴らしいキャスト、スタッフの方々と映画を作れる事が今から楽しみです」と期待を寄せた坂東さんは、「自分なりの主人公を表現出来るように全力で悩み、答えを決めすぎず、力みすぎず、楽しみながら挑戦できたらと思います。ロケ地でもお邪魔させて頂く、飛騨高山のパワーも全身で感じながら良い映画をお届け出来るように頑張ります。是非完成まで楽しみにお待ちください」と呼びかける。坂東龍汰作道監督は「坂東龍汰さん、西野七瀬さんほか、最高のキャストの方々とお会いして、その結びつきを、力強くも繊細に、皆さんの元に届けることができるだろう、と確信しています」と自信を見せている。また、写真家・松井綾音が撮り下ろしたイメージカットも到着。どういったシーンの一遍なのか、作品への期待が高まる1枚となっている。撮影は東京ではじまり、岐阜県飛騨市と高山市の雄大な自然を背景にも行われる本作。2024年度の国内公開、海外映画祭への出品を目指す。『君の忘れ方』は2025年正月第2弾として新宿ピカデリーほか全国にて公開。(シネマカフェ編集部)■関連作品:君の忘れ方 2025年正月第2弾として新宿ピカデリーほか全国にて公開予定©2024『君の忘れ方』製作委員会
2023年09月13日俳優の坂東龍汰が、映画『君の忘れ方』(2025年正月公開)の主演を務めることが13日、明らかになった。西野七瀬がヒロインを務める。同作は作道雄が監督・脚本を務めるオリジナル作。放送作家の森下昴(坂東)は、付き合って3年が経つ恋人と結婚間近で、結婚式の準備に追われていたが、彼女は帰って来なかった。昴が経験する、不思議な出来事の数々と、て切なくも愛しい追憶の日々を描く。坂東は本作で初めての映画単独主演を務め、西野七瀬がヒロインに。写真家の松井綾音が撮り下ろしたイメージカットも公開された。撮影は東京ではじまり、岐阜県飛騨市と高山市の雄大な自然を背景にも行われ、2024年度の国内公開、海外映画祭への出品を目指す。○坂東龍汰 コメント今回作道雄監督のオリジナル脚本、映画『君の忘れ方』に出演させて頂くことになりました。作道監督の過去の経験も含まれた脚本を読ませていただき共感する部分が随所にありました。その世界観を丁寧に演じるために撮影前から監督と色々な話を重ねて良い準備期間をもって、いよいよクランクインします。本当に素晴らしいキャスト、スタッフの方々と映画を作れる事が今から楽しみです。その中で自分なりの主人公を表現出来るように全力で悩み、答えを決めすぎず、力みすぎず、楽しみながら挑戦できたらと思います。ロケ地でもお邪魔させて頂く、飛騨高山のパワーも全身で感じながら良い映画をお届け出来るように頑張ります。是非完成まで楽しみにお待ちください。○作道雄/監督・脚本難しいテーマでしたので、脚本を書くのにとても苦しみました。いつもは悩むと、一人籠りがちになるし、今作も企画立ち上げの頃はそうでした。が、あまりに苦しんだので、周囲に助けを求めました。するとたくさんの意見や励ましをもらい、3年をかけて脚本を書き上げ、スタッフの力と支えで撮影を開始することができました。その経験はそのまま、人は辛い時に一人になりたがる生き物だが、人の中で生きていく道を消してはならないという、今作のテーマへ結び付きました。坂東龍汰さん、西野七瀬さんほか、最高のキャストの方々とお会いして、その結びつきを、力強くも繊細に、皆さんの元に届けることができるだろう、と確信しています。(C)2024『君の忘れ方』製作委員会
2023年09月13日12月歌舞伎座公演にて、坂東玉三郎演出による『天守物語』が上演されることが発表された。文豪・泉鏡花の戯曲の中でも屈指の名作とされる『天守物語』は、白鷺城(姫路城)の天守閣にまつわる伝説をもとにした、美しい異形の世界の者とこの世の人間との夢幻の物語。天守閣の最上階に棲む美しく気高い天守夫人・富姫と若き鷹匠・姫川図書之助の恋が描かれ、美の本質、真の純粋さを希求した傑作として知られる。歌舞伎では、昭和30(1955)年に六世中村歌右衛門の富姫で初演。近年では、坂東玉三郎が昭和52(1977)年に富姫を初演して以来、自身が演出も勤めながら大切に上演を重ねてきた。そして今年5月には、「平成中村座姫路城公演」にて玉三郎の演出により、中村七之助が富姫を初役で勤め、好評を博した。本公演では、七之助の富姫、中村虎之介の図書之助、中村勘九郎の舌長姥/近江之丞桃六、中村獅童の朱の盤坊の配役に、演出をする玉三郎が富姫の妹分である亀姫役を初役で勤める。<公演情報>「歌舞伎座新開場十周年 十二月公演」公演日程:2023(令和5)年12月会場:東京・歌舞伎座上演演目:『天守物語』ほか一般前売:11月14日(火) 10:00より電話予約・WEB受付開始■出演天守夫人富姫:中村七之助姫川図書之助:中村虎之介舌長姥/近江之丞桃六:中村勘九郎朱の盤坊:中村獅童亀姫:坂東玉三郎
2023年09月12日“いるだけで空気がキリッと締まる”。そんな存在感と演技力で、主演を支える役回りで知られてきた坂東龍太。いずれの作品でも、主人公たちに大きな影響を及ぼす役を好演してきた坂東さんは、現在、横浜流星の前に立ちはだかるボクシングチャンピオン役に挑んだ『春に散る』と津軽塗に没頭する“妹”堀田真由を後押しする『バカ塗りの娘』と出演映画が2作連続公開中。大きな注目を集めている。「リバーサルオーケストラ」「王様に捧ぐ薬指」で注目度急上昇2022年7月期のテレビドラマ「ユニコーンに乗って」で、人付き合いが苦手な天才エンジニア・森本海斗役を演じ鮮烈な印象的を放った坂東さん。その後、2クール連続で放送された「真犯人フラグ」にも参加。そして今年2023年の1月期「リバーサルオーケストラ」では、市の“お荷物”オーケストラ「児玉交響楽団」のヴァイオリニスト・谷岡初音(門脇麦)を一途に思うフルート首席・庄司蒼役、4月期「王様に捧ぐ薬指」では家族のために契約結婚を選んだ羽田綾華(橋本環奈)の初恋の人・神山絢斗役で一気にファン層を広げた。坂東さんはギターとバイオリンは弾けるが、「人生初挑戦」となったフルート。「リバーサルオーケストラ」にあたり「頑張って練習している」と語っていただけに、経験者らしき視聴者からも絶賛が寄せられていた。「王様に捧ぐ薬指」では、当初は新田静(松嶋菜々子)から金と引き換えに、綾華に近づき東郷(山田涼介)との仲を引き裂く命を受けていたものの、高校時代からずっと好きだった綾華のために身を引き、綾華が東郷と一度別れてからはその傍らに寄り添う、という完璧な当て馬を演じて話題となった。周囲から妬まれ、影口を言われたりトラブルに巻き込まれたりする人生を歩んできた綾華に、“そういうことに慣れたらダメだ”とはっきりと言ってくれた神山くん。高校時代の制服姿、物理を愛するメガネ姿などが「似合う」と注目され、続編やスペシャルなどで神山くんの幸せを願う声もファンから上がったほど。北海道出身。1997年5月24日生まれ。2017年にドラマ版「セトウツミ」で俳優デビューし、2018年、NHKドラマ「花へんろ 特別編 春子の人形」にて脚本家・早坂暁が実体験を基に記した名作の特別編でドラマ初主演。田中裕子や尾美としのり、芦田愛菜と共演し、戦後に痛みを背負って生きる青年を演じた。『弱虫ペダル』(20)よりオダギリジョーや光石研、田中哲司ら実力派が揃う「鈍牛倶楽部」に所属。その確かな演技力は『十二人の死にたい子どもたち』(19)の堤幸彦監督、『閉鎖病棟ーそれぞれの朝ー』(19)の平山秀幸監督、『静かな雨』(20)の中川龍太郎監督、『犬鳴村』(20)の清水崇監督、『峠 最後のサムライ』(22)の小泉堯史監督、さらにヴェネチア国際映画祭銀獅子賞(監督賞)を受賞した『スパイの妻』(20)の黒沢清監督など、錚々たる映画監督とともにしたフィルモグラフィーでも証明されている。『ハニーレモンソーダ』(21)よりFtoMのトランスジェンダー役を演じたラブストーリー『フタリノセカイ』(21)で映画初主演。当事者である飯塚花笑監督のもとシスジェンダーの女性(片山友希)と恋に落ち、“どうしても子どもを持ちたい”と願う真也役を演じて第32回日本映画批評家大賞の新人男優賞(南俊子賞)を受賞する。『フタリノセカイ』より最近は地上派ドラマのほかにも、WOWOWの「杉咲花の撮休」や「ああ、ラブホテルー秘密ー『狐と狸』」といったオムニバスドラマでも活躍。「杉咲花の撮休」では“杉咲花”と6年交際・同棲した恋人役を演じたが、自然体の演技を披露している。奇しくもこの2作はカメラマンの役。趣味の「写真撮影」が活かされ、カメラを構える姿も様になっている。その一方で、「私が撮りたかった俳優展 001」の1人として、注目の写真家・井崎竜太朗から“撮りたい俳優”にも選ばれている。『春に散る』説得力のあるチャンピオン役に『春に散る』メイキング佐藤浩市と横浜流星がW主演、不公平な判定で人生が変わった元ボクサーと若きボクサーの再起を描いた本作で、坂東さんは横浜さん演じる黒木翔吾の前に最初に立ちはだかる現チャンピオン・大塚俊役を演じている。スマートボクシング(考えるボクシング)の余裕すら感じさせるチャンピオンは、翔吾に一度倒されてから、泥くさく奮起する。身体表現が巧くプロライセンスも取得した横浜さんとの対戦に挑む、坂東さんの“本気”は必見だ。『バカ塗りの娘』明るく柔らかい兄に通称“バカ塗り”と言われるほど、手間暇のかかる津軽塗の職人を目指す美也子(堀田真由)と職人の父・清史郎(小林薫)を描く物語で、坂東さんは美也子の兄・ユウ役に。家業は継がずに美容師となり、パートナーである花屋の尚人(宮田俊哉)との未来を思い、明るくおおらか。美也子が津軽塗の道へ一歩踏み込むよう勇気を与える存在である。念願のタッグだった鶴岡慧子監督にゆだね「すごく信頼を置いていた」と言い、「純粋に『尚人と一緒に生きていきたい』気持ちを大事に、自然体で演じられたらとやっていました」とふり返っている。カンヌで上映、北野武監督『首』第76回カンヌ国際映画祭にてワールドプレミアされ、上映後は5分間のスタンディングオベーションが巻き起こった映画『首』。北野監督自らが羽柴秀吉を、明智光秀を西島秀俊が演じるほか、加瀬亮、浅野忠信、大森南朋ら日本を代表する超一級キャストに加わる!さらに、主演舞台「う蝕」の上演(24年2月-3月)も発表されたばかり、5年ぶり2度目の舞台に挑む。ドラマでの坂東さんを知ったなら、ぜひスクリーンや舞台でもその輝きを感じてみてほしい。『春に散る』『バカ塗りの娘』は全国にて公開中。『首』は11月23日(木・祝)より全国にて公開。(シネマカフェ編集部)■関連作品:春に散る 2023年8月25日より全国にて公開©2023映画『春に散る』製作委員会首 2023年11月23日より全国にて公開ⓒ2023KADOKAWA ⓒT.N GON Co.,Ltdバカ塗りの娘 2023年9月1日より全国にて公開※青森県先行あり(C)2023「バカ塗りの娘」製作委員会
2023年09月11日西島秀俊&内野聖陽がW主演を務める「きのう何食べた?season2」が10月6日(金)より放送開始されることが決定。坂東龍汰と朝倉あきが新キャストとして、ドラマでは初登場となる田渕と千波を演じる。原作は、シリーズ累計945万部(電子版を含む)突破のよしながふみによる同名人気漫画(講談社)。2LDKのマンションで同居する、料理上手で几帳面・倹約家の弁護士・筧史朗(通称・シロさん)と、その恋人で人当たりの良い美容師・矢吹賢二(通称・ケンジ)の毎日の食を通して浮かび上がる、ほろ苦くてあたたかな日々を描く。2019年4月クールにseason1が放送され、最終回終了後には“何食べロス”となる人々が続出するなど人気を集めた本作は、2020年元日に正月スペシャルドラマが放送、2021年には映画化もされ大ヒットを記録した。そんな本作に、新キャストとして坂東龍汰と朝倉あきが出演。「王様に捧ぐ薬指」も記憶に新しい坂東さんは、賢二(内野聖陽)が働く美容室「フォーム」のスタッフ・田渕剛を、「それってパクリじゃないですか?」などで知られる朝倉さんは、田渕の彼女・逸見千波を演じる。田渕は誰に対しても思ったことを何でも言ってしまうところがあるものの、裏表がなくさっぱりとした性格。また、千波は出版社で校正の仕事をしており、家事をきっちりこなすが、料理が微妙に美味しくない…という役どころ。田渕と千波のエピソードは、ドラマでは今回が初登場。順調に交際していたはずの田渕と千波ですが、ある日、突然千波が同棲していた部屋を出ていくことに。その原因は“料理”!?坂東さん演じる田渕がつくる1品にも注目だ。「season1から大好きだったドラマ」に出演が決定したことに「ワクワクしました」という坂東さん。「この作品ならではの『食べるシーン』が思っていたよりも難しかったです。美味しくて勢いのまま口に入れすぎると上手く喋れなかったり…!なかなか苦戦しました」と、撮影の様子を明かした。現場の雰囲気がとても心地が良いそうで、「特にケンジ役の内野さんには田渕くんを演じる上でのヒントやアドバイスを沢山いただき助けてもらいました。嬉しかったですし、学ぶことだらけでした」とコメントした。朝倉さんも「長いことよしながふみ先生の一ファンでしたので、まさか自分がその原作のキャラクターを演じることができるとは、まるで夢のようでした」と喜びをコメント。「シロさんとケンジさんに負けず、田渕くんと千波も大変素敵なカップルで、演じながらとても幸せなひとときだなあと感じていました。ドラマ・原作と同じく長く愛されることを願いたいです。見てくださる方にも、千波さんの不器用ながらも芯の通ったところに共感していただけたら」と、演じるカップルをアピールした。「きのう何食べた?season2」は10月6日(金)より毎週金曜深夜24時12分~テレビ東京、テレビ大阪、テレビ愛知、テレビせとうち、テレビ北海道、TVQ九州放送にて放送開始。(シネマカフェ編集部)
2023年09月08日映画『春に散る』(8月25日公開)の大ヒット御礼舞台挨拶が5日に都内で行われ、佐藤浩市、横浜流星、片岡鶴太郎、坂東龍汰、松浦慎一郎が登場した。同作は沢木耕太郎氏による同名小説の実写化作。不公平な判定で負けアメリカへ渡り40年振りに帰国した元ボクサーの広岡仁一(佐藤浩市)と、偶然飲み屋で出会い、同じく不公平な判定で負けて心が折れていたボクサーの黒木翔吾(横浜流星)。仁一に人生初ダウンを奪われたことをきっかけに、翔吾は仁一にボクシングを教えて欲しいと懇願し、2人は世界チャンピオンを共に目指し、“命を懸けた”戦いの舞台へと挑んでいく。○横浜流星と坂東龍汰のボクシングシーンを見守る佐藤浩市作中でボクサーの大塚役の坂東、中西役の窪田正孝とも試合があったという横浜は「撮影前から顔合わせて練習を重ねていました。松浦さんがいろいろ型を作ってくださるんですけど、ボクシングの練習を重ねていくにつれてお互い役になっていくので、松浦さんが作った型から『翔吾だったらこう動きたい』『大塚だったらこう動きたい』というのは、コミュニケーションを重ねてみんなで作っていきました」と振り返る。その姿を見ていたという佐藤は、「スパーリングのところは2人ともヘッドギアをつけてるんで、けっこう当たってるんですよね。俺とか鶴さんとかコーナーで見てるんだけど『ちょっとやばいね』という感じで。『触れてるな、頭』みたいな風に見てました。坂東、危なかったよなあ」と語りかける。坂東は「本当に、目が怖いんですよ。肉体もなんですけど、流星くんは目がキラッて入る瞬間があって、怖かったです」と苦笑。横浜は「当てあってましたよ。恨みっこなしですよ、役なんで」と言いつつ、「でも坂東くんだったから当ててできたいうのはやっぱりありますよね。ボクシングも経験してるし、本当に初心者だったらこちらも躊躇しちゃうし、信頼関係で成り立つものだなと思います」と感謝ししていた。今回演じた大塚について、坂東は「東洋チャンピオンのベルトを持っているという役柄だったので、その前に高校ボクシングのドラマでちょっとやってたんですけど、体も全部見えますし、流星くんと戦わなくてはいけないというので、ボクシングにとことん嘘がないように練習するというところから入りました。松浦さんにお世話になりながら強くしてもらいました」と明かす。横浜が「練習の日が重なったりして、体とかも一緒に鏡見ながら、『いいじゃん』みたいなことやってたよね」と言うと、坂東も「『背中いいな』『胸いいな』とか」と同意。さらに横浜が「坂東くんは特に変わっていきましたよね」と褒めると、坂東は「たしかに最初は全然ウェイトとかやってなかったので、やり始めて(変わった)。流星くんはもう、初めて会った時からバッキバキなんです。常に多分バキバキなんでしょうね、日常から」と語った。
2023年09月05日直近で放送されたドラマにおいて「観ないクールはないのでは?」と驚いてしまうほど、躍進目覚ましい俳優の坂東龍汰。「王様に捧ぐ薬指」では山田涼介の恋敵役を、「リバーサルオーケストラ」では一途なフルート奏者を、「ユニコーンに乗って」ではコミュ障な天才プログラマーを立て続けに好演している。数年前までは顔を指されることもなかったが、近ごろは「あっ、あの作品に出ている…!ですよね?」と声をかけられることも珍しくなくなったと、インタビューで朗らかに話した。多種多様な役を柔軟に渡り歩き、自分のものにする坂東さんの最新出演作は、津軽塗がつむぐ家族の映画『バカ塗りの娘』。通称“バカ塗り”と言われる津軽塗の職人を目指す美也子(堀田真由)と寡黙な職人の父・清史郎(小林薫)の物語において、坂東さんは美也子の兄・ユウを演じた。ユウは父と祖父に期待されながらも家業を継がず、美容師として独り立ち、さらには将来を見据えて花屋の尚人(宮田俊哉)と付き合っている人物。奔放さと繊細さを絶妙に織り交ぜた、坂東さんの演技に魅せられる。青森県弘前市で全編撮影したという本作、坂東さんに撮影中のエピソードや深部まで考え抜かれた役への思い、息抜きの仕方や価値観の変化に至るまでインタビューで聞いた。撮影も心地よく進んだ最新作――最初に『バカ塗りの娘』への出演が決まったときの気持ちから、教えてください。鶴岡(慧子)監督の映画は今まで観ていたので、ご一緒できることが素直にすごく嬉しかったです。物語は、津軽塗というものを軸に伝統工芸をやられている家族のお話。津軽塗がきっかけで家族が離ればなれになってしまい、またその津軽塗を通して元に戻っていくという再生物語なんです。脚本を読みながら画が浮かぶようで、すごく美しい作品になるだろうし、静かで心地のいい空気感の映画になるのかなという印象をまず受けました。――坂東さんは主人公・美也子の兄ユウを演じています。どのような人物という印象で臨んでいかれたんですか?ユウは、お父さんとの関係がだいぶぎくしゃくしていて本音で話し合えない状況にあるけど、美也子のことはすごく気にかけていて、いい関係でいられている…そんな家族との関係性だと思っていました。丁寧に演じていけたら、と意識していました。――ユウは美也子、父、恋人の尚人と3人に見せる顔がそれぞれ少し違いましたよね。その表情がリアルさを帯びていました。脚本を読んだときに、映画に映っていないときの時間…どういうことがあって、みんなそれぞれ何を考えていたのかが、すごく大事な作品だと思っていたんです。映っていないときに人間はいろいろなところでいろいろなことがあって、悩んで、葛藤したあげく、やっと話せる瞬間だけを映画(映るところ)は切り取っていたりするものかなと。相手によって見せる顔が違うのは、僕も普段生活していて同じだなと思うんですよね。マネージャーさんと話すとき、友達と話すとき、親と話すときは違うので。本質は一貫しているけど、そこには別の自分がいるというか。その本質さえちゃんと捉えていれば、ユウもいろいろな表現の仕方があるのかなと思っていました。――その4人が一堂に会す、ユウが尚人を連れて父と美也子に挨拶に行くシーンは印象的でしたね。美也子が「津軽塗をやる」と決意するきっかけにもなるシーンなんですよね。印象的にしたいなと思っていたので、すごく大事に演じました。現場では、いつもみんなすごく話すんですけど、あのシーンに向けてのときだけは口数が自然と減っていました。待ち時間も映画そのままの空気がずっと流れているような感じで、心地よかったです。共演者、その土地との空気感を大切に――坂東さんはユウと尚人の状況について、どう感じていましたか?宮田さんとの空気感も絶妙でしたが、ふたりでお話もされたんでしょうか?特に話し合うことはしませんでした。弘前で撮っているという場所の力と、監督にゆだねている部分があり、そこにすごく信頼を置いていたんです。純粋に「尚人と一緒に生きていきたい」気持ちを大事に、自然体で演じられたらとやっていました。――劇中ではぎくしゃくした親子関係でしたが、小林さんと共演していかがでしたか?僕、薫さんのことが大好きなんです!薫さんは現場で本当にムードメーカーでいてくださって。お芝居をしているとき以外、ずっとしゃべっているんです(笑)。役柄とのギャップがすごくあって、もうギャップ萌えでした。現場ではお芝居の話はせずに、「昨日何を食べたよ」、「あのお酒がおいしい」とか本当に他愛もない話をしていました。――そうした会話や現場での雰囲気は、演じる上で大きく影響するものなんですよね。今回の作品に必要なコミュニケーションだったと、僕は思いました。薫さんと「役者とは」とか「こう演じると、こうなって」という話をしなかったのも、作品と地続きな感じがすごくしていて。現場の空気を薫さんと一緒に吸えているだけでも、本当に学びをもらうばかりなので、お芝居しているときにどれだけこの人のことを感じられるか、というのが今回の僕の勝負でした。――空気を感じてお芝居をするということ、つまり、その土地で撮影することも坂東さんにとって重要な意味を持つし、演技にも響いてきますか?はい。地方で撮影するとき、その土地で撮るということは、そこの街になじんだり、そこの街のものを食べたりすることに意味があるのかな、と思うタイプなんです。この作品に限らず、地方での撮影のときは率先していろいろな居酒屋に行って、地元の人と話すようにはしています。その土地でどういう風に生きているのかがわかる気がするので。弘前で撮ることの意味は、そこで生まれてくるのかなと思いました。「そのとき周りにないものを見つめたりして、価値観は逆転していたり」――ちなみに、オフにどこかに行ったというエピソードもあります?あります!クランクアップしてから、青森を2日間ぐらい車で旅しました。地元の人に「ここに行ったほうがいいよ」とたくさん教えていただいたので、いろいろ行きました。県立美術館に行って、おいしい弘前の天ぷらとおいしい蕎麦屋さんに行って、山の上にも登りましたし、パーキングでソフトクリームも食べた…(笑)。――満喫されたんですね!出演作品も多い中、自分なりの息の抜き方みたいものは芸能生活で身についてきましたか?だいぶ身についてきました。そして、僕にとっては自然の中にいることがすごく必要だということもわかりました。今思い返すと…自然が足りていないと思うときは、よく代々木公園や明治神宮外苑、井の頭公園という自然がある大きな公園に行って、お昼寝したりしていたな(笑)。思い返すと、それはプチ自然充電でしたね。今は休みがあったらすぐ車で地方に行くような感じです。僕、もともと海外に行ったり旅をしたり、知らない土地の人と話したりすることが大好きだったんです。あと、北海道の大自然の中で育ったので、都会にどこか息苦しさみたいなものを感じて生きているんだろうなって、今も感じるんですよ。今、自分がやりたいことを東京でできているということにはものすごく感謝していますし、本当に恵まれた環境に身を置いていると思っています。東京が嫌いということではまったくなく。――自然を摂取されに行く、と。そう、自然を感じに行っています。でも…僕自身、すごい驚いています。北海道に住んでいたときは、そんなことは全く考えなかったんですよ。ないものねだりじゃないですけど、そのとき周りにないものを見つめたりして、価値観は逆転していたりするんだろうな、と最近感じています。(text:赤山恭子/photo:Jumpei Yamada)■関連作品:バカ塗りの娘 2023年9月1日より全国にて公開※青森県先行あり(C)2023「バカ塗りの娘」製作委員会
2023年08月29日今年に入って、市川猿之助容疑者(47)が逮捕され、坂東玉三郎(73)が本興業から引退する意向を発表するなど、花形役者が続々と壇上を去る歌舞伎界。松本白鷗(80)にも体調不安がささやかれ、歌舞伎界にとっては今が正念場といえる。そんななか、またもスキャンダルが起こってしまった。7月26日、歌舞伎界の名家・音羽屋の5代目・尾上菊之助(45)に不倫疑惑が報じられたのだ。「文春オンライン」によると、菊之助は猿之助が再逮捕された3日後の7月21日に19歳年下の女性と高級ホテルにて夜を明かしたという。「週刊文春」の取材に対し、部屋に滞在していたことは認めるも、不倫関係は否定した。「菊之助さんといえば、長男の丑之助くん(9)との共演も多く、子煩悩で有名です。新型コロナの自粛期間中には、子どもたちと毎日のように散歩をしたり、架空のお話を作ってごっこ遊びをしていたそうです。義理の父である中村吉右衛門さん(享年77)との関係も非常に良好で、芸に励んできたこともあり、真面目な印象が強い方でした。吉右衛門さんが亡くなった際には『遺志を継ぎ、家族でがんばって、歌舞伎の道を進んでまいりたいと思います』と、歌舞伎界を盛り上げることを誓っていました。それだけに今回の報道については、多くの歌舞伎ファンが『菊之助さんだけはないと思っていたのに……』とショックを受けています。特に今は猿之助さんの一家心中事件もあって大変な時期ですから」(歌舞伎関係者)歌舞伎全体のイメージダウンにつながりかねない不倫報道をされてしまった菊之助。しかしこれまで女性問題を起こさない菊之助が“特別視”されてきたほど、歌舞伎界には女性にまつわる不祥事がはびこっている。女性問題といえば、まずは昨年3月に4度目の“不倫疑惑”が報じられた中村芝翫(57)だろう。’16年10月に京都の人気芸妓との密会がキャッチされたのを皮切りに、2回目は’21年1月に30代の女性ファンと、3回目は同年12月に40代の女性Aさんとの逢瀬が報じられている。3回目の不倫疑惑の際に「胃の調子が悪かったから胃薬をもらった」と主張していた芝翫だが、その後に再びAさんとの密会が4度目としてスクープされてしまったのだ。「昨年はそのほかにもスキャンダルがありました。6月には香川照之さん(57)がホステスの胸部を触る、キスをするなどの性加害に及び、被害女性がPTSDを患っていたことが報じられています。そして11月には、人間国宝の片岡仁左衛門さん(79)についても、37歳年下の一般女性と“ホテル逢瀬”が明るみに。二人は2年にわたって不倫関係にあるとされ、仁左衛門さんに“噛み癖”があることまで暴露されてしまいました」(芸能記者)さらに、この歌舞伎界を背負うことになる大名跡の市川團十郎(45)にも複数の女性の影が。「一昨年10月には、3泊4日の間に二人の女性と密会するという”二股報道”がなされています。巡業先の岡山・倉敷で若い黒髪の女性と鉄板焼きデートを楽しみ、翌早朝に女性の宿泊するホテルを訪問し部屋へ。そしてその日の夜からは、鳥取・米子の高級旅館の特別室で、別の女性とともに過ごしたというのです。そこから約半年後の、昨年3月にも複数女性との“パパ活”疑惑が報じられています。SNSのメッセージ機能を通して知り合ったという女性は、ホテルの部屋に着くと團十郎から2万円を渡されたそう。さらに、4月には亡き妻・小林麻央さん(享年34)との思い出の家で2人の女性と密会している様子もスクープされていました」(前出・芸能記者)“女遊びは芸の肥やし“と、世間が寛容だったのは昔の話。女性問題が連発する歌舞伎界に、ファンは厳しい視線をむけている。《歌舞伎界もう不倫やめませんか?こんな大変な時に何やってるんですか》《歌舞伎界どんだけよ。もうそろそろこれ系のネタは出ないで欲しい》《歌舞伎界は次から次へ行動が異常すぎます》
2023年07月28日スター役者の市川猿之助(47)が自殺ほう助の疑いで逮捕され、当代きっての女形と評される坂東玉三郎(73)が本興業から退くことを発表するなど、大きな危機に直面している歌舞伎界。そんななか、歌舞伎界を背負って立つ存在として期待されるのが大名跡の市川團十郎(45)だが、その素行には不安がつきまとう。6月下旬、本誌は團十郎が長女・ぼたん(11)と長男・新之助(10)を小学校へと金色の超高級車で送り届ける姿を目撃した。一見2人を思った行動に思えるが、実はこの小学校には車での登下校は基本的に禁止という規則がある。そのため、ルールを守っている保護者からは、“どうしてあの家族だけ”と不満が寄せられているのだ。特に以前は正門の前に堂々と車を停めていたため、保護者から学校側にクレームがはいったこともあるという。今は、停車位置を少し離れたところに変更したものの、本誌が目撃した際も金ピカの車体はよく目立っていた。学校側は、本誌の取材に対し、車の送迎について事情のある場合は認めていると明かしたが、保護者の間で1年ほど前からクレームが上がっているのも事実。この團十郎の振る舞いに対しては、《車送迎可の学校に転校しては》《ルールに従わないと》《世間とずれた俺様行動》などの意見が寄せられていたが、“俺様”ぶりは今にはじまったものではない。’20年12月、襲名を控えていた海老蔵時代、團十郎は頻繁に歯科医院へと通っていた。しかし、そこでもその通い方の評判はよくなかったという。当時、同じ医院に通っていた女性はこのように語っている。「私が懇意にしている都内の歯医者さんには歌舞伎役者の海老蔵さんも通院しています。彼は時間の空いているときは頻繁に来ているようですが、予約なしでやって来ることもあるようです。完全予約制なので、私ももちろん予約してから行くのですが、他の患者さんのなかには海老蔵さんの治療が突然入ったせいで待たされる方もいるようです」歌舞伎界で最高クラスの権威を持つ團十郎の名前を受け継ぐ海老蔵に対し、歯医者としても特別扱いせざるを得なかったのだろうか。しかし、わざわざスケジュールを調整し予約を取っている他の患者としては、たまったものではないだろう。このような振る舞いは、私生活だけでなく歌舞伎の世界でもみられている。ことが起こったのは、昨年12月に東京・歌舞伎座で行われた襲名披露興行。息子の新之助が主役を務める『毛抜』に八剣数馬役で出演していた中村歌昇が、楽屋入りの時間に遅れてしまったため團十郎はその日の舞台への出演を認めなかったという。さらに、その後の團十郎の対応があまりに過剰だったため梨園関係者を困惑させたというのだ。当時、本誌の取材に対し梨園関係者は以下のように語っている。「團十郎さんは翌日以降の歌昇さんの出演に対しても首を縦に振らなかったそうです。結局、歌昇さんは3日間出演できず、多くの歌舞伎役者が、“過剰”処分に戸惑っていました」中村の遅刻自体は、出番には間に合う程度のものだったというが、それでも團十郎襲名という晴れ舞台における遅刻は許しがたかったのだろうか。本誌の取材に対し、松竹は「歌昇が遅刻したのは事実です。團十郎は関わらず、松竹の判断で3日間、謹慎処分にいたしました」と回答していた。「遅刻はいけませんが、自身の怒りから厳しすぎる処分をしていては周りもついてこないのではないでしょうか。歌舞伎の舞台をつくるには、多くの人をまとめなければなりません。團十郎さんが歌舞伎界を背負っていく特別な立場にあることは、歌舞伎関係者なら理解もしているでしょう。ただ、“俺様”的な振る舞いを続けていては、私生活でも歌舞伎の世界でもいずれ足元を掬われかねません」(歌舞伎に詳しい演劇ライター)期待の星だからこそ、周りに配慮した行動が求められている。
2023年06月29日歌舞伎俳優の坂東玉三郎が贈る『坂東玉三郎PRESENTSPREMIUMSHOW』。9月2日(土)~10日(日)は「口上と衣裳解説」、12日(火)~24日(日)は「スペシャルコンサート」という構成で、会場は座席数100席の円形ホール「BAROOM」だ。文字通りプレミアムな公演となるその内容を玉三郎に聞いた。「口上と衣裳解説」は、玉三郎所有の豪華な衣裳を本人がまとい、解説しながら進むステージ。きっかけは、やはりコロナ禍だったという。「舞台が出来ないときでもお客様に楽しんでいただくにはと考えて、一昨年、大阪の舞踊公演から衣裳を見ていただくことを始めました。それで今回は実際にBAROOMで着て皆さまにお見せしてみてはどうかなぁ…ということに。普段は客席から見る衣裳を近くで見ていただくのも楽しいと思いますし、パリコレのランウェイとまではいかないですが、(臨場感を)楽しんでいただければ」と微笑む玉三郎。衣裳は5点の予定だが、「その日によって変えることも」考えているとのこと。「解説も多少の即興性が出るかと思います」というから楽しみだ。また「スペシャルコンサート」では、ピアノとキーボードの生演奏と共に90分で18、9曲を歌う予定。「この空間でどんな歌をお届けできるかと選曲中です。それから今回歌うかは未定なのですが……。淡谷のり子さんが歌って、合間に杉村春子さんが淡谷さんの人生を朗読するレコード(『歌手 淡谷のり子~歌に託した半世紀~』)が本当に素晴らしくて大好きなので、そんな“歌と語り”のようなものを今後もやらせていただけたらと思っています。淡谷さんはご自身の人生を歌っていらっしゃいますが、私が歌うなら“こういう物語がありました”という語り部のようになるかと思います」と玉三郎は話す。客席数100での公演は、以前出演した舞台『ナスターシャ』(1989年、アンジェイ・ワイダ演出)の会場、ベニサン・ピット(閉館)を思い出すという。「客席と近いのは緊張もしますが、お客様と非常に密接な空間での公演だった記憶があります。近頃、そんな空間で楽しんでいただけるものを…と考えていたところでしたので、今回の公演は今まで考えていた事とのご縁を感じていますね。今後も続けていけたらいいですし、歌舞伎やそれ以外の公演でも演出をしたり、若い人に知っていることを伝えたりするのが自分のこれから生きていく道かなと。体力的に叶うところでのお仕事というのをじっくりさせていただければと思っています」取材・文:藤野さくら
2023年06月23日堀田真由と小林薫が父と娘を演じる鶴岡慧子監督作『バカ塗りの娘』より、坂東龍汰演じる主人公の兄・ユウの場面写真が解禁された。津軽塗職人を目指す娘・美也子(堀田真由)と寡黙な父・清史郎(小林薫)が、漆や家族と真摯に向き合う姿を、四季折々の風景や、土地に根付く食材と料理、そこに生きる人々の魅力を織り交ぜ描く本作。坂東龍汰演じる美也子の兄ユウは「お兄ちゃんは昔から明るくて人気者で、みんなから似てない兄弟って言われてました」と劇中で美也子が語るように、内気で引っ込み思案な妹に優しく寄り添う、美也子とは正反対の性格を持つ青年。自分自身は家業を継がず家を飛び出したものの、津軽塗に心惹かれる美也子に一歩踏み込むよう勇気を与える存在だ。そんなユウは実家を出て弘前で美容師として働いており、今回解禁された場面写真からも分かるように、劇中ではメッシュの入った暗い髪色から鮮やかな金髪に変化する姿が見られる。笑顔でピアノを弾く1枚からは、その明るくおおらかな雰囲気が伝わってくる。2017年にドラマ「セトウツミ」で俳優デビューし、いまや映画やドラマに引っ張りだこの坂東さんだが、本作への出演に関して「鶴岡監督の映画がとても好きなので今回お話を頂いた時は素直にとても嬉しく楽しみでした」と語っている。自分の夢・目標と津軽塗職人を父に持つ家族の間で葛藤する姿が印象的なユウの役作りについては「実際に僕の実家もワイン農園をやっていて、僕が継ぐという話まではしませんでしたが役者の道に進むときに感じた感情などはユウにも少し生かすことが出来たかなと思います」と、自身の置かれていた環境とユウの境遇に共通点を見出したことを明かしている。また、妹への深い愛情を忘れないユウという人物を演じたことについては、「美也子との最初のシーンは妹思いなユウの人柄をうまく表現できたらと思って演じました。父親に対しては色々とぶつかる事の多いユウですが根本の人柄は明るくて優しい、という部分を繊細に見せられたらと」とコメント。堀田さんとの共演に関しては「3度目の共演ということもありとても安心してお芝居ができました。普段からほんわかした空気感の堀田さんは常に現場で美也子にしか見えなかったのでとても撮影に入りやすかったです」と撮影時をふり返る。「津軽塗りの美しい職人技、静けさの中に響く音や画面いっぱいに広がる鮮やかな色は見ていて聞いていて一瞬で引き込まれうっとりしてしまいました」と本作の魅力についても語っており、津軽塗の工程を1カット1カット丁寧に漆を塗り重ねるように撮影された本作では、色鮮やかな模様を研ぎ出すように登場人物たちの個性も光っている。この夏は瀬々敬久監督最新作『春に散る』の公開も控えている坂東さん。躍進を続ける彼の新たな魅力を本作で堪能してほしい。『バカ塗りの娘』は9月1日(金)より全国にて公開。※8月25日(金)青森県先行(シネマカフェ編集部)■関連作品:バカ塗りの娘 2023年9月1日より全国にて公開※青森県先行あり(C)2023「バカ塗りの娘」製作委員会
2023年06月21日5月25日(木) に、越谷サンシティホール大ホールにて開催となる『坂東玉三郎~お話と素踊り~』越谷公演に向けて行った、坂東玉三郎の取材会レポートが到着した。“お話と素踊り”がスタートしたのは2021年。「コロナ禍だったから、伺ってもお客様がいらっしゃるかどうか心配をしていたんだけれども、会場がいっぱいで。こういうときだからこそ気楽にというか、長いお芝居じゃなくて、お話を聞きにいらっしゃいたいんだなと実感しました」と開始当時を振り返る。その後、公演は関東以外でも行われ、好評を博している。トークコーナーでは、事前に募集した質問からピックアップして答えていくが、質問内容は当日まで知らないという。「どんな質問が出てくるのかも楽しいし、思わぬことを聞かれて、自分を発見したりすることもある」と話しながら、「驚くような質問もあるけれど、すべて嘘偽りのないことを、はっきりと言います。繕ってるとお客様にもわかるから。質問コーナーがお客様に気に入っていただけるかどうかは分からないけれど、やっぱりコミュニケーションを取ることが、いま一番大事だと思う」と語る。「なるべく親しく、みなさんが普段お聞きになれないような話をしてきましたが、最近は話が重ならないように“化粧”や“衣装”というふうに題材を決めたり、内容を変えたり、映像を出したりしています。お客様も充実したものを聞きたいと思ってらっしゃるので、精いっぱいやっています」と、回を重ねていくなかでの変化を明かした。後半で披露するのは地唄舞の“雪”。この演目を選んだ理由については、「”雪”は代表的な曲だし、知らない方でもどこかで耳にしている曲。14分くらいで完結するものなので、いいと思って選びました」とのこと。衣装や化粧をつけず、磨き上げられた踊りを堪能できる貴重な機会となっている。最後に、越谷公演を楽しみにしている方に向けて「東京の近くでは何度か公演を行っていますが、同じ話にならないよう、楽しく過ごしたいと思っているので、ぜひご来場ください」と、メッセージを寄せた。<公演情報>『坂東玉三郎~お話と素踊り~』越谷公演5月25日(木) 17:30 開場 / 18:30 開演会場:越谷サンシティホール 大ホール【予定演目】坂東玉三郎トークコーナー地唄舞「雪」坂東玉三郎 / 素踊り休憩なし 約90分【チケット料金】SS席:8,500円S席:7,500円A席:6,500円※全席指定・税込※未就学児入場不可チケットはこちら:公演HP:
2023年04月15日歌舞伎座新開場十周年『三月大歌舞伎』が3月3日より開幕し、坂東玉三郎をはじめとする多彩な顔ぶれが趣の異なる演目を上演。その初日レポートが到着した。第一部は、宇野信夫作『花の御所始末(はなのごしょしまつ)』。“昭和の黙阿弥”と称される劇作家の宇野信夫がシェイクスピアの『リチャード三世』から着想を得て、松本白鸚に向けて書き下ろされた本作は、昭和49年(1974) に帝国劇場で初演され、かつて二度演じられたのみの伝説の舞台。40年ぶりに上演される今回の公演では、父・白鸚が勤めた足利義教に松本幸四郎が初役で挑む。舞台は、庭いっぱいに花木が植えられ人々から「花の御所」と呼ばれる足利幕府の室町御所。中央には美しく枝垂れる柳の大木が印象的に佇む。そこへ憤慨しながらやってきたのは太政大臣・足利義満の次男・足利義教(松本幸四郎)。美しく逞しいその姿に人々の視線が惹きつけられる。義教は自身が落馬したのは臣下の安積行秀(片岡愛之助)の責任だと叱責。その様子を見た畠山左馬之助(市川染五郎)は行秀を庇い、自らの命を差し出そうとするも、義教の怒りは収まらない。やがて管領・畠山満家(中村芝翫)と二人きりとなると、義教はある計画を打ち明ける。実は、将軍の座を手に入れるべく計略を巡らせている義教は、満家と手を組むと、自身の妹・入江(中村雀右衛門)と左馬之助を結び付け、世継ぎである兄の義嗣(坂東亀蔵)も陥れる。さらに妾との時間を楽しむ父・義満(河原崎権十郎)を寝所で殺害。義教の白い衣裳に赤い血汐が飛び、不敵な笑みを浮かべる様子が人々に強烈な印象を残す。ついに思惑通り将軍の座を手に入れた義教の独裁はエスカレートし、ついには手を結んでいた満家をも手にかける。月日は流れ、自らが殺めた父や兄らの亡霊に毎晩苦しめられる日々を送る義教のもとに突如一揆の者たちが乱入し……。冒頭から最後までどこか不穏な空気が物語を包み、「花の御所」で次々と繰り広げられる冷酷な殺しの場面。美しさと残酷さが共存し、独特の魅力を放つ。取材会で「父と宇野先生が、お互い持っているものをぶつけ合った作品だと思うので、その精神を大切にしながら、積極的に自分の『花の御所始末』にすることを目指したい」と意気込みを語った幸四郎。暴君と恐れられ、目的のためには手段を選ばぬ冷酷非道な足利義教と男の栄光と末路、劇的な生き様がドラマチックに展開し、「悪の魅力」が歌舞伎らしく、美しく描き出されている。第二部は、歌舞伎三大名作の一つ『仮名手本忠臣蔵(かなでほんちゅうしんぐら)』の「十段目」。討入りを直前に控えた赤穂浪士を支えた人物・天川屋義平を主人公にした物語で、単独での上演は珍しい武士にも勝る義平の義俠心を描く一幕だ。舞台は廻船問屋の天川屋。主人の天川屋義平(中村芝翫)は大星由良之助の依頼を受け、ひっそりと赤穂浪士の討入りに必要な武具の調達する。討入りの情報が洩れぬよう女房と離縁し実家に帰す徹底ぶり。しかしある夜、離縁したはずのおその(片岡孝太郎)がやってきてその理由を問いただす。冷たくあしらいおそのを追い返した義平の元へ、浪士たちへの武具調達の嫌疑により捕手が押しかける。息子の命を引き合いに出されても知らぬ存ぜぬを通す義平。そこへ一人の意外な人物が現れ……。今回初役で演じる義平について、「男のなかの男」と取材会で表現した芝翫。長持の上にどっかと座り「天川屋義平は男でごんす」と、名セリフを聞かせるとその清々しく男らしい様子に客席からは大きな拍手が。松本幸四郎演じる大星由良之助の心情厚い計らい、女房おそのとの夫婦の情愛と共に、討入りを影で支えた人々の姿、討入りの背景を描く熱い一幕が繰り広げられた。続いては、新古演劇十種の内『身替座禅(みがわりざぜん)』。狂言の大曲をもとにした松羽目物の舞踊劇で人気演目として上演を重ねる本作。本公演では、尾上松緑が初役で山蔭右京を勤める。愛人の花子から恋文を受け取った大名山蔭右京(尾上松緑)は、奥方玉の井(中村鴈治郎)の目を盗み会いに行こうとする。右京は一計を案じ、ひと晩持仏堂で座禅をすると嘘をつき玉の井の許しを得ると、家来の太郎冠者(河原崎権十郎)に衾(ふすま)を被らせ身替りにすると花子のもとへと嬉々として出かけていく。しかし身替りを知った玉の井は、太郎冠者と入れ替わって右京の帰りを待ち構えることに……。そうとは知らず浮かれた様子の右京と、怒りに打ち震える玉の井の対比が面白く描かれる。筋書で「右京は非常にチャーミングな二枚目」と語る松緑。鴈治郎も玉の井を「右京に惚れ込んでいる、可愛らしい女房としてお見せできたら」と語った。そして二人そろって大切にしたいと話すのは「品格」「品の良さ」。喜劇味溢れる中にも、松羽目物らしい品格もただよう、歌舞伎らしい可笑しみを堪能できる一幕だ。いつの時代も変わらぬ夫婦のやり取りがユーモアたっぷりに描かれた名作に劇場は明るい雰囲気に包まれた。ひときわ舞台を明るく照らす玉三郎の夕霧第三部は、漂泊の歌人・吉井勇が描いた異色の作品『髑髏尼(どくろに)』。源氏による平家の公家狩りが行われる京都。我が子を殺され泣き叫ぶ者、おびえる人々が行きかう一條万里小路、烏と話すことができるという烏男(市川男女蔵)は、烏は死んだ平家の者たちの血で生きている、戦を呪っていると源氏の武士たちに語りかける。そしてまた一人の子供が源氏の武士に連れ去られていくと、現れたのは我が子壽王丸を探す美しき上臈・新中納言局(坂東玉三郎)。阿証坊の印西(中村鴈治郎)に我が子の行方を聞くと、おぼつかない足取りで壽王丸の血汐をたどっていく。烏男が口ずさむ歌が聞こえる中、印西はこの世の無常を嘆くのだった。時は流れ、奈良の尼寺へ入った局は、亡き息子・壽王丸の髑髏を傍らに過ごす様子から、髑髏尼と呼ばれるように。この寺の鐘楼守の七兵衛(中村福之助)という醜い男は、美しい髑髏尼に恋焦がれる日々を送っている。秘法を手に入れた髑髏尼はついに愛しい夫平重衡(片岡愛之助)に一目会うことが叶い……。昭和37年以来の上演となる本作。当時の上演をよく覚えていると話す玉三郎は、戦乱の為に最愛の夫や我が子と死別した髑髏尼を描く本作で「人間の根源的な部分を見つめ直し、そこに現世では成就できない者同士である髑髏尼と七兵衛の関係性を盛り込み、諸行無常の味を出せたら」と筋書で語っていた。戦乱の非常さ、虚しさ、人々の孤独にスポットを当て再編成され、現代にも通じる普遍的な物語となった本作を、秘法による幻想と現実が美しく混ざり合う、妖しく艶めかしい一幕としてお届けする。続いては、上方和事の名作『廓文章 吉田屋(くるわぶんしょう よしだや)』。大坂新町の吉田屋へやって来たのは、編笠をかぶり紙衣姿に零落した藤屋の若旦那伊左衛門(片岡愛之助)。放蕩三昧で勘当されながらも、恋する遊女夕霧に会いたい一心でやってきた伊左衛門を、吉田屋の亭主喜左衛門(中村鴈治郎)と女房おきさ(上村吉弥)は座敷に迎え入れる。そわそわと待ちわびる伊左衛門のもとへ、ようやく夕霧(坂東玉三郎)が姿を現すが、二人は痴話喧嘩を始める始末……。舞台に、玉三郎演じる夕霧が登場するとパッと華やぎ、ひときわ舞台が明るくなったよう。艶やかさと儚さをたたえた夕霧の美しさに、観客も伊左衛門と共にその登場を待ちわびていたことが分かる拍手に包まれた。本作を自身の家(松嶋屋)の大切な狂言と語る愛之助は、まさに「和事」の主人公の代表ともいえる伊左衛門を、みすぼらしい身なりでも失われない品格と可笑しみたっぷりに勤めあげる。華やかな廓を舞台に、上方の香り漂う美しく優雅な一幕に酔いしれるひとときとなった。『三月大歌舞伎』は3月26日(日) まで歌舞伎座で上演される。写真提供:松竹(株)※無断転載禁止
2023年03月06日