でも、どちらもうまくいってなかった。私もその作品に参加していたから、きっと『コーラスライン』もあまりうまくいかないだろうな、と思っていたの(笑)」。
ところが、「アンビリーバブル!」な結果が待っていた。しかも「私たちそれぞれの物語が観客にインパクトを与えたの」と、興奮気味に続ける。「ひとりのダンサーが語ったわ。自分は神様から踊るという才能を与えられたのだから、才能を活かして感謝をもって愛を表現しなければいけないのだと。劇中に『愛のためにしたことは』という曲があるけど、伝えたいのは、いま自分がやっていることを好きになって、愛をもって一生懸命取り組んでほしいということ。情熱を込めて生きていこうという作品のメッセージを感じてもらえたら」。
初演ではマイケル・べネットの右腕として天才のひらめきを傍らで書き留め、ダンスキャプテンとしても活躍した。そこで得た知恵と技術をいま、惜しみなく後輩たちに伝える。「若い出演者たちは、ツアー先で寝起きを共にすることで家族のように協力し合い、社会人としての言動を学んでいく。作品に関わることで役者としての基礎を築き、豊かな人間性も磨ける」。本作は単なるショーを超えた作品だと力を込める。