もともと温めていたアイデアのパイロット版として2008年に短編『瞬きさせない宇宙の「幸福」』として上演。改めて長編に書き換え、『獣の柱』として2013年に初演。そこからさらに6年を経たことで、本作はどんな変化を見せていくのだろうか。「最初のアイデアとしては、“宇宙人侵略もの”みたいなイメージで考えていたんです。でも『獣の柱』になった時、この作品で起こる“大状況”みたいなものを、震災の2年後ということもあり、そこに当てはめて観る人が多くて。それに比べると自分自身、もっと落ち着いて、広い視野で書けている気はしますね。ある一個の出来事に対する解釈を巡る話として。ただ柱によって人々は住む場所を移動せざるを得なくなるわけで、そういった意味で言うと、やはりその後の話だとは思います」
中心となる人物は、今回は、双子の兄妹とその友人の3人。
彼らがこの世界で起きている不条理をどう受け止めていくのか。その解釈の物語になるという。「妹はキリスト教の『ヨハネの黙示録』に合わせて、その友人は科学的な知識によって、それぞれがこの“大状況”を解釈していこうとします。そんな登場人物たちの解釈に惑わされつつ、観ている側にもいろいろ考えてもらえたらなと。