横浜ダンスコレクション 下村唯が新作で切り込む分断、差別!
撮影:吉田孝幸
横浜ダンスコレクション2021がまもなく開幕する。一昨年のコンペティションIにて審査員賞を受賞した下村唯が世界初演にして、“ハラスメント”をテーマにしたという「亡命入門:声ノ国」を携えて凱旋する。
2019年の受賞作「亡命入門:夢ノ国」は、様々なルーツを持つ者たちの姿を通し「分断と暴力」を表現した。以前から差別や社会問題をダンスを通して表現してきたが、同作に関して「僕の妻が台湾出身で、彼女と知り合い、いろんな話をしたことが大きな転機となりました」と明かす。
演劇畑の出身でもともとダンスを志していたわけではなく「3歳からダンスをやってきたような人には、身体の躍動性や筋肉の使い方といった点では太刀打ちできない」と語るが、鋭い批評性こそ、下村の最大の武器である。新作「亡命入門:声ノ国」では特に、自ら見聞きし、また「無意識のうちに加害者であったかもしれない」というハラスメントに切り込む。
下村と6人のダンサーの計7名での公演として企画はスタート。ハラスメントを作品で表現するにあたって、まずは制作のプロセスにおいてハラスメントが発生しないようにと最大の注意を払った。
「僕が振付家で、みんなはダンサーなので、どうしても稽古場でヒエラルキーが生まれてしまう。