田代万里生、ルーツを生かして挑む『マリー・アントワネット』
脚本や音楽を手掛けるのは、『エリザベート』でおなじみのミヒャエル・クンツェ&シルヴェスター・リーヴァイだ。「リーヴァイさんは、クラシックもロックも自由自在に作曲されますが、フェルセンに関しては、クラシカルな歌唱を求められる。僕が学んできたルーツをとても生かせる役柄です。ただ、アントワネットへの無償の愛ゆえに常に自制している役ですが、その表現が難しい。僕は『エリザベート』のフランツ・ヨーゼフや、『ラブ・ネバー・ダイ』のラウルなど自制する役を演じることが多くはあるのですけどね(笑)」。
張りのある歌声と端正なルックスで貴公子的な存在だ。そのイメージを裏切ってみたくはならないのだろうか。「自分であまり決めないようにはしています。
演出家によって自分の知らなかった部分を引き出してもらえる経験をしてきたので、得意なものだけで勝負しようとは思わないし、ないものを出そうとも思わない。目の前にある役に必死に向き合うことで、必然的に出るものが大事だと思っています。今回も新たにわきあがる感情を大切にしたいと思います」。
前回は、『ラブ・ネバー・ダイ』に出演するため、大阪と名古屋公演でフェルセンを演じることがかなわなかった。