コロナ禍の今響く「一緒にいたい」『パークビューライフ』開幕
(倉科)。そんな3人の小さい頃からずっと一緒だったことが一発でわかるような会話は、内容もテンポも滑らかで賑やか。成瀬が、彼女たちと鉢合わせし、一緒に暮らすことを提案するまでのやり取りは、3人の小気味よいやりとりと、人と接してこなかった成瀬のテンポが全然合わず、けれどそれが笑わせてくれる。そういった会話劇の面白さに加え響いたのは、岡田ならではのほのぼのとした温かさの中に滲む、今だからこその切実さだ。出会いの次に描かれるのは2021年の春で、まさに今となる。この1年、新しく人と出会っても、同じ時間を過ごしたり、仲を深めたり、そういうことがしにくかった。その感覚は多くの人が持っているものだろう。だからこそ、去年出会った彼らが一緒に暮らす選択をすること、その暮らしの中での様子、そして劇中で叫ばれる「一緒にいたい」という気持ちは、強烈なものとして感じられた。
柔らかなストーリーの中で、噛めば噛むほど味が出るこの作品をぜひ堪能してほしい。
上演時間は約1時間40分。公演は4月7日(水)から18日(日)まで東京・世田谷パブリックシアター、4月23日(金)・25日(日)に大阪・サンケイホールブリーゼ、5月1日(土)・2日(日)愛知・ウィンクあいち 大ホールにて上演。取材・文中川實穂
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