役者の熱演が光るミュージカル『マタ・ハリ』、愛知・大阪で
柚希はメリハリのある美しい身体から繰り出されるしなやかかつダイナミックな動きと、妖艶さで魅せる。高圧的なラドゥー大佐に対して余裕ある表情で応じ、運命的な出会いを果たすパイロットのアルマンの前では無邪気な様子でころころと表情を変え、恋する女性の心の動きを繊細に表現する。一方の愛希が演じるマタは、華奢でありながら生命力にあふれ、オーラを放っているよう。指先まで美しい踊りに魅せられる。さらに愛希が表現するマタから感じるのは“芯の強さ”だ。ラドゥー大佐に脅されても動じず、目に強い力を宿して対する姿を見せる一方で、アルマンといるときには強さを解放し、安らぎの表情を見せるなど、それぞれに異なるアプローチでマタを演じている。
また、ラドゥー大佐は加藤和樹、田代万里生、アルマンは三浦涼介、東啓介のダブルキャスト。ラドゥーはマタを利用しながら自身もマタに惹かれていき、感情を押し殺すがゆえに歪んだ愛情を見せていく人物。
加藤は冷徹で威圧感のあるラドゥーを作り上げ、田代も高圧的に声を張り上げ、これまでの田代の柔らかな印象を覆す。アルマンは軍人として自身の任務を遂行しながら、マタへの想いを深めていく男。三浦が演じればアルマンの“陰”が際立ち、東が演じれば“包容力”が際立って見える。