幸四郎が上方狂言、愛之助が五役変化に挑む今年の顔見世
二枚目でありながら三枚目という三二五郎七の生活感が出るように、たくさん笑っていただけるような役を目指して頑張ります」。
この演目で、片岡愛之助がかつては幸四郎が演じた若旦那役を初役で演じる。「すっかり上方俳優の幸四郎さんと一緒に芝居ができること、上方俳優としてすごくうれしく思っております(笑)」。また、今回は片岡仁左衛門の監修で、昭和26(1951)年、十三世仁左衛門の襲名披露公演で上演した際の演出となる。愛之助は「前に成駒家さんの型で若殿を勤めさせていただきました。今回は私の家の本で、成駒家さんとは少し違うようなので非常に楽しみです」。
2作目は、日本を魔界に変えようとする蜘蛛の精と源氏の大将・源頼光らの戦いを描く『蜘蛛絲梓弦』。幸四郎は「年の最後に見納めとして観ていただく歌舞伎狂言としては最たるもの。
その中で凛とした頼光を勤めたい」と話す。見どころは愛之助の五役変化。蜘蛛の精をはじめ、小姓、太鼓持、座頭、そして女方の傾城・薄雲太夫まで、キャラクターのまったく違う五役を早替りで演じ分ける。「南座の劇場に合った出入りをしたいと考えております。楽しみにしていただければ」。愛之助は今年5月に父・片岡秀太郎を亡くした。