クラシックのリングの上で戦うジャズ・ルールの他流試合といったところか。
山下「ジャズマン同士でも一回一回が他流試合ですからね。相手が何をやってくるか、それに応じてこっちが何をやるか」
鈴木「VSですし、事前の打ち合わせはほとんどないです」
山下「最初のテーマだけ決まっているとかね。曲に寄りつつも勝手なことをする」
鈴木「前に一度2台ピアノで手合わせしていただいたのが、僕にとっては革命的だったんです。お客さんを巻き込んで即興して、会場の空気を作品の色にしていく。目の前の正しい音符を弾くよりインパクトのほうが大事なんだという。すごい教えがありました」
メインは《ラプソディ・イン・ブルー》を2台ピアノで。
鈴木「洋輔さんのソロ・パートは独特です」
山下「そうですね。
オーケストラとやる時も、僕のパートはほとんどジャズのイディオムでやってしまいますので」
鈴木「僕のほうはオケ・パートを軸にした、新しいヴァージョンです。本当に楽しみ。今年一番ドキドキする本番です」
山下「どの曲でも、それぞれの個性がくっきりと出てくるはず。僕の立場から言えば、ジャズ・ピアニスト同士がやっているような聴き方ができると思いますよ」