劇団ヒトハダいよいよ旗揚げ、鄭義信の最新作で座長・大鶴佐助が躍動
鄭義信が結成し、大鶴佐助が座長を務める劇団ヒトハダの旗揚げ公演『僕は歌う、青空とコーラと君のために』が、4月21日に開幕。前日に行われたゲネプロの様子をレポートする。
戦後の米軍御用達キャバレーに集う人々の切なくもおかしい人間模様が、1940年代のアメリカンポップスに乗せて綴られる本作。いつか日劇アーニーパイルの舞台に立つことを夢見るロッキー、ファッティー、ハッピーによる3人組のコーラスグループに、キャバレーのママが連れてきたゴールドが加わる。順調に活動するも、ハワイの日系二世であるハッピーの朝鮮戦争出兵によって、ルーツの異なる4人の絆は大きく揺らいでいく──。作・演出を鄭が手がけ、キャストは大鶴のほか、団員の浅野雅博、尾上寛之、櫻井章喜、梅沢昌代が名を連ねている。
事前のインタビューで、鄭が「キャスト一人ずつソロ歌唱シーンを設けた」と話していた通り、群像劇の見せ場をヒット曲が彩る。中でもハッピー役の大鶴は、言葉と音の数が膨大な「Boogie Woogie Bugle Boy」(The Andrews Sisters:1941年)を英語詞で披露し、序盤から客席を湧かせた。
朝鮮戦争から戻ったあと、心身ともに満身創痍の状態でこの陽気なナンバーをどうリプライズするか、鮮やかに揺れ動く感情の行方をぜひ見届けて欲しい。