2022年8月23日 15:00
ららら♪クラシックコンサートVol.14 實川風が描く“ドゥムカ”の世界
極寒の季節に家の中でウオッカを飲むおじさんの歌……悲しさや、やるせなさがそこはかとなく広がっていきます。中間部はテンポを上げて、お酒の力で元気になった人々が無骨なダンスを踊り始める。そんなシーンに続いて猛吹雪が吹いてきたり、さまざまな情景が目の前に広がっていきます。オペラやバレエ音楽を切り取ったような世界が、8分くらいの間に次々と展開していく。コンクールだったりコンサートだったり、演奏するたびに新しい風景が見える曲です。
――ピアノの魅力について教えてください。
一人で、同時に色々な音楽の要素を表現できるところでしょうか。メロディーを弾きつつベースのラインも作り、内声のタイミングや呼吸もコントロールしながら、一人で音楽の世界を描き出せるのが魅力ですね。
反面、そこがこの楽器の難しいところでもあるのですが……。僕はオーケストラが好きなので、一人ではできないことへの憧れがあるのですが、ピアノソロの素晴らしさは「この人はどういう人で何をしてくれるのか」という、“ピアニスト一人だからこそ到達できる音の世界”にあると思います。――本公演への思いをお聞かせください。
やはり生のコンサートで、自分が思い入れを強く持っている曲を会場全体と共有できる時間は特別です。