と言われ、50歳になった愛之助は「若さが大事というのは難しい役なんだと今回初めて感じました」と語る。
本作は文楽から歌舞伎となった義太夫もの。今回は「もう一回初心に戻って調べたい」と文楽の音源を聞いているところだ。「文楽の語りとはセリフや息が違いますけど、根っこは一緒とよくわかりました」。見どころは、油まみれで転び回りながらの殺害シーン。「油で滑るのがわざとらしく見えないように」という仁左衛門の教えの中「最初はわあっとやりますが、だんだん目つきが変わってくるんです」。今年は『夏祭浪花鑑』、『日本怪談歌舞伎(Jホラーかぶき)』に本作と「ずっと殺し続けている。来年はいい人の役もしたいな(笑)」。
今、歌舞伎俳優は東京勢が圧倒的に多く、上方歌舞伎の演目がかかることも少ない。「だから僕は上方歌舞伎がしたかったし、観ていただきたいんです」と愛之助。南座で初舞台を踏んだ時には夢にも思っていなかったという「顔見世」での主演演目。「上方の役者にとって非常に大切な「吉例顔見世興行」で、きっちりお役を勉強して勤めるのは非常に大事。これからも顔見世に出続けたいと思っています」。仁左衛門、そして昨年亡くした父の片岡秀太郎。