東京特別演奏会も開催!神戸市室内管弦楽団の第156回定期演奏会「音の謎かけ」
タイムマシンで少し音楽史を遡るような遊び心も感じさせながら、それぞれの作品が素晴らしい。前半の2曲がモーツァルトの時代独特の音楽である“セレナード”(夜曲)であることも、こだわりの選曲。『アイネ・クライネ・ナハト・ムジーク』では指揮を置かず、鈴木監督自身もオーケストラの中でチェロを弾く。その味わいを感じながらのプロコフィエフとシュニトケである。
「例えばプロコフィエフの交響曲第1番は『古典』という題名が付いていたりハイドンを意識して書かれたということですが、これがけっこうプロコフィエフ自身の音楽だったりする。じゃあここには何がどう混ざっているんだろう、みたいなことを考えてみるわけです。またシュニトケの作品はステージ上の動きを伴う前衛的な作品ですが、聴こえてくる細かいモチーフはハイドンのように、またモーツァルトのように聴こえます。ちょっと歪んだガラス越しに古典派の音楽を眺めるような感じもあって、そのあたりの面白さを感じていただけるとうれしいですね」。
2月13日(月)には紀尾井ホールで東京特別演奏会も行われる。音楽監督就任から2年、全国から注目を集める神戸市室内管弦楽団の現在について、鈴木秀美は「神戸において私たちの個性が育ちつつあるところ」と語っている。
取材・文:逢坂聖也