ユースケ・サンタマリアがラップに初挑戦、岩井秀人のミュージカル『おとこたち』で
を観て、話のスケールが小さければ小さいほどミュージカルにする必然性があると感じたんです」と続く。
2011年に岩井が作・演出を手がけた「その族の名は『家族』」に出演しているユースケは「岩井くんの演出方法や舞台に込める熱、作品内容……すべて好印象で、またあの感じを味わいたいと思ってオファーを受けました」と信頼を寄せる。そのユースケに岩井が託したのは、人生との距離感がうまく取れない「山田」。共演の藤井隆、吉原、橋本さとしの演じる山田の友人たちが起伏に富んだ人生を送るのに比べて、ドラマ要素の少ないキャラクターだ。
「傍観者に徹するしかない山田って、実はいちばん哀しい存在。マエケン(前野の愛称)のつくる楽曲にもメロディが無くてさ」と心なしか淋しそうなユースケ。すると岩井が「山田を除く登場人物には、大きな葛藤を抱え裏切りにも遭うような人生のドラマが盛りだくさん。だからおのずと旋律も豊かになるんです。
一方でユースケさん扮する山田の“漂うしかない切実さ”はラップに込めようと思っていて」と構想を語る。これを受け、ユースケは「もうこうなったら“ラップのようなもの”を新しく創作するつもりでやります。僕に求められているのは歌のうまさではなく、きっと“僕にしか歌えない歌”でしょうから」