ファゴットの魅力を伝えたいー新天地で道を切り拓いた作曲家に自らを重ねて
2019年から文化庁新進芸術家海外研修生として過ごしたリヨン高等音楽院の大学院ではどのようなことを得ることができたのだろう。
「Colombo先生のレッスンはもちろん、リヨン国立オペラで彼の演奏を聴いたりする事で、数年間のオーケストラ演奏活動の中で直面していた自分の演奏上の課題の解決の糸口を少しずつ見つけていくことができ、本当に充実した日々でした」
今回の演奏会ではその留学で学んだこと集大成ともいえるものが聴けることになる。ファゴットとオーケストラ(弦楽合奏)の共演曲となると曲が限られてくるが、今回ヴィラ=ロボスの「7つの音のシランダ ~ファゴットと弦楽合奏のための~」を選んだ理由は何だったのか。
「まずはフランスに関わりのある作曲家の作品を演奏したいという想いがありました。また、ブラジルからフランスに渡り新しいスタイルを探求したヴィラ=ロボスの姿が、日本からフランスへ留学した私自身と重なった事も理由です。ファゴットコンチェルトの演奏機会はかなり稀なので、今回の演奏でお客様にファゴットの魅力をお伝えできればと思っています。そして今後はフランスでの研修で得た経験を、オーケストラでの活動はもちろん、室内楽やソロ演奏も積極的に行い、活かしていきたいです。