初のベスト盤リリース&全国ツアーで話題の小曽根真 featuring No Name Horses
それを喜びとするか、「いや、そうではない」と、あくまで自分に聴こえている音だけに固執するのか。たとえばデューク・エリントン楽団は、当時のアメリカの第一線のミュージシャンばかりが集まっていました。必ずしもみんなが譜面に強いわけではないので、間違えて吹くこともある。それをリーダーのエリントンが聴いて、「その音。そっちでいこう」となることがよくあった。それくらい、音楽というのは“出た音”が真実なんです。それしかない。その音から次の音につないでいくのも、僕のやり方。
アメリカでやっているときに教わりました。人の力を借りることの大きさというか、色んな人のアイデアやクリエイティビティを選べる幸せが、リーダーにはある。自分ひとりでやっても、たかだかしれているんです。
——小曽根さんくらいの人がそんなことをおっしゃるなんて、なんだか感動します。いや、本当ですよ。マニュアルがあって「このとおりやれ」といったらできるのは当たり前だけど、そうではなくて。どう工夫したらもっと面白くなるのか、こうしてみたらやりやすくなるんじゃないか。そういうクリエイティビティというのは、やるなかでおそらく失敗もあるでしょうが、それにもまた価値があります。