姉弟と親子、たったふたりで紡がれるミュージカル『ジョン&ジェン』
一方新妻さんはジェンと同い年ですし、お子さんのこともあり、ものすごくリアルにジェンを捉えてくださるんじゃないかと。そしてしっかり技術的に固めてくる万里生さんと、初々しいウィンくん。その対比がまた面白いものになりそうです」
本作の大きな特徴が、姉のジェン役は6歳の少女から人生の問題に直面する母親までと、ひとりの人生を演じ切るのに対し、ジョン役は1幕では弟を、2幕では息子とふたりの人生を演じるという点。「1幕で人生のいろんな苦しさを経験し、そこから2幕が始まるジェンのジャーニーという構造も面白いですし、輪廻転生のように、2幕でもう一度生き直すジョンの視点というのも面白い。ただ結局生きていく上で負った傷と向き合うには、トライアンドエラーを繰り返していくしかない。そんなことをお客さんには感じていただければと思います」
さらに市川の大きな強みは、翻訳・訳詞も担えること。「僕が訳詞で大事にしているのが“一音一文字”。作曲家が書いた音楽の形は、変えるべきではないと思っていて。
それに日本語って音の数で言えば情報量が少ないと思われがちですが、それは言葉自体に漂っている“香り”みたいなもので埋めることが出来る。