トー横キッズの“声”を伝える『怪獣は襲ってくれない』
どうすればいいかわからないし、大人になるのを待つしかないから『いま、この瞬間を楽しもう』となる気持ちもわかります」と刹那を生きる登場人物たちの心情を語る。
こっこに“界隈”を案内する、性自認が男性の14歳・夢露(めろ)を演じる葉月も「自分が中学生の頃はそこまでSNSもなかったけど、いまは『寂しい』とつぶやけば『話聞くよ』という人たちがいる。時と場所が違えば、些細なきっかけで自分もトー横キッズになっていたかもしれない」と語る。だからこそ、彼らを異質な存在として捉えるのではなく「寄り添って演じたい」とも。
再演に当たり、新たに2人の“大人”が登場人物に加わるのもポイント。どこか怪しげながらも子どもたちと積極的に交わり、彼らを導くゼウスとNPO法人の理事として若者たちをケアしようとする畑中。異なるアプローチで子どもたちに向き合う2人だが「大人の視点が入ることで、観客の大人たちも『自分はどう子どもたちを見るのか?』と問われる」(岡本)。
歌舞伎町と目と鼻の先の劇場でどんな物語が描き出されるのか。
楽しみに完成を待ちたい。
取材・文:黒豆直樹
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