「普段は舞台のために、役者さんのために音を奏でているのが囃子方。じゃあお客様のために演奏するとなったら何ができるか、それが『お囃子プロジェクト』のテーマになっています」と秀幸は話す。13年前にライブを始めた頃は、古典の曲とコラボレーションの曲が5割ずつだったが、最近はコラボレーションが9割で古典が1割になっているという。左太寿郎も、「ゲストのミュージシャンの方たちに助けていただきながら、洋楽や日本の歌謡曲とミックスしたり、アレンジしたりしてお届けしています。特に美空ひばりさんや西城秀樹さんの曲に、邦楽囃子は合うんですよ」と笑う。「秀樹さんの曲は、アレンジしたときに完成形がパッと思い浮かぶくらい」(秀幸)というから、驚きだ。
バラードの曲では、「湖のほとりで聞こえるような、柔らかい波音を入れています」(左太寿郎)と、サラリ。楽曲作りはもちろん“効果音”の演奏まで当たり前に盛り込めるのは、囃子方ならでは。
他にもクラシックやラテンの曲など、盛りだくさんで展開する本ライブ。トークコーナーでは舞台の貴重な裏話も聞けるというから、興味のある人なら見逃す手はないだろう。公演は9月29日(金)文京シビックホール・小ホールにて。
取材・文/藤野さくら