(c)zoetnet
全長13メートルのタイガー・シャーク、巨大なサメが大きな水槽に入れられ、ホルマリン漬けにされている。これまた巨大なガラスケースの内部に牛の頭部が入っており、それに蛆虫から孵った大量のハエがたかっている──などなど、「死」を連想させるグロテスクな作風で知られ、存命中の美術家としては最高額で作品が取引されるともいわれている、デミアン・ハースト。美術館で作品を目にする機会はあっても、そんな人の作品を実際に購入して家に飾って置いておく、なんてことは普通あまり考えません。
……考えないのですが、実は数ヶ月前、都内ギャラリーでこのデミアン・ハーストの版画展がやっていたんですよね。作品自体は版画なので、ハーストの代表作にあるようなグロテスクさはほとんどなかったのですが、それでも、あのデミアン・ハーストの作品です。版画たちに付けられていた値段は、1枚だいたい40~60万円ほど。40~60万円といったら、もちろん気軽にポンと出せる金額ではないですけど、まったくもって手が届かないわけでもないじゃないですか。
デミアン・ハーストの作品って、買えるんだ!? と思ったのが、私にとっては静かな衝撃だったのです。