くらし情報『自分の中のグレーな気持ちを、笑って流してしまっておく』

自分の中のグレーな気持ちを、笑って流してしまっておく

謎の罪悪感でモヤモヤしたときに
自分の中のグレーな気持ちを、笑って流してしまっておく
『孤独な夜のココア』(新潮文庫)/田辺聖子 著/新潮社
主人公の千田サンは、シナリオ学校で出会った裕二という男と5年前まで同棲をしていました。しかし裕二は、仕事はせず無職で、家事をやってくれるわけでもなく、小遣いをもらい、さらに実は浮気までしている。誰がどう見たってダメ男なので、千田サンの友達である多枝子・純子も、「いいかげんにしなさいよ」と主人公を諭します。ずるずると裕二にお金を渡していた千田サンもそこで目が覚め、最終的には怒鳴って裕二を家から追い出します。

しばらくは恋人との別れを悲しむことになっても、厄介なダメ男がいなくなったわけなので、通常ならここで「悪い男から解放されてよかった!」と思うところでしょう。ですが、千田サンはそうは考えません。裕二に半分だまされるような形でお金を渡し続けていたときも、自分自身はまったく嫌ではなく、むしろ友達に諭されるまでは彼との生活を幸福だとすら思っていた。そして裕二と別れて5年経った今も、その幸福だったと思う気持ちは変わらず、ただそれは石のように固まってしまったというのです。


友達の多枝子・純子が悪者というのではありません。

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